虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

「山中一揆」山中一揆義民顕彰会

2007-03-31 | 一揆
岡山県真庭市の蒜山郷土博物館で販売している「山中一揆」(山中一揆義民顕彰会、平成11年刊)を送ってもらった(1200円)。

「山中一揆」は津山藩だけど、現場は津山市ではなくて、真庭市だった。北は大山国立公園がすぐ近くだ。

約80ページの小冊子だけど、地元の碑の写真や、一揆関係地図などものっていて、貴重だ。内容は、一揆の概要、史跡、各村の一揆時のようす(各村の教育委員会が書いている)など。

地図を見ると一揆の史跡(主に墓だが)は真庭市内に14箇所もある。首無し地蔵というのが2箇所もある。
横溝正史の「八墓村」は鳥取の県境にある岡山の「八墓村」が舞台だが、この地図で見ると、鳥取の県境は「八束村」とある。このへんを舞台に想定して書いたのかも(ただし、あのモデルになった事件は隣の津山の事件)。

処刑者51名とある。百姓一揆の中でもこの犠牲者の数は最大だろう。しかも、その全員の名前(もちろん、村名も)がわかっている。江戸時代から、墓や碑は建てられたようだ。とにかく、すさまじい一揆だ。江戸時代からずっとこの地域では一揆のことが語り続けられたにちがいない。

ネットで偶然にこの本が出ていることを知ったのだけど、地域の百姓一揆の発掘研究は、まずは各町や各村の教育委員会の仕事だろう。郷土の偉人や伝統を学んでほしい、と安部首相はいっているそうだが、百姓一揆を忘れてもらってはこまるぞ。

他の地域でも、市や教育委員会発行の一揆についての解説書がきっとあるにちがいない。しかし、どこで、どんな本が出ているのかわからないのが残念だ。書店には出ていないし。この本だって、ネットで「山中一揆」を検索してみたが、出ていなかった。

愛媛県日吉村の教育委員会では武左衛門一揆を藩士が書きとめた「庫外禁止録」を出し、福島の保原町歴史文化資料館からは「金原田八郎伝」を出しているが、こんな情報を得るのはなかなかむすかしい。だれか全国の市町村に問い合わせて、まとめて教えてくれないものかなあ・・・。