虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

ロマン・ロラン

2006-02-22 | 日記
朝日夕刊の「ニッポン人脈記」は、今、早野透という朝日の看板スターといってもよい記者(編集委員)が、「市民と非戦」というテーマで連載を始めている。

この連載記事は、今まで、財界や政界、スポーツ界など有名人たちの人脈を政治的視点なしで書かれてきたが、ちょっと上流階級ばかりの記事でなんじゃいな、と、その意図がつかめなかったのだが、今度は、「市民」の登場?何を書きたいのだろう?

早野透という記者は、昨年の総選挙が終わったあと、無責任な総括対話をのせていたので、あまり期待(信用)はしていないけど(早野氏というよりも大新聞に期待できないということだが)、今日の記事は、政治学者の丸山真男とみすず書房の創立者の一人である小尾俊人が出ていた。

唐突だけど、丸山真男は、ロマンロランのファンだったようだ。そして、みすず書房は、創業して会社の全力をあげて取り組んだ事業が「ロマン・ロラン全集」。
今、ロマンロラン全集はまったく売れず、みすず書房の重荷になっていると思うけど、全集を出し始めたころはそれなりに売れたはずだ。

ロマン・ロランを好きな人って、(調べたことないけど)、ほんとはけっこういたはずだ(たしか、吉永小百合、加藤登紀子、本多勝一、鎌田慧、大杉栄、高村光太郎なども)。しかし、なかなか、人前で、好きとは恥ずかしくて言えないところもある。

あまりにも真摯で理想主義的で・・・。文学の玄人筋からは好まれない。たしかに、トルストイのようなリアリズムに欠けるし、一種、宗教的なメッセージ書にも感じるし、かなりくどいところもある。トロツキーを追放したスターリンソ連を擁護したり、政治社会の分析にも甘いところもある。文学者からも政治学者からも、無視されてしまっている。

でも、実をいうと、恥ずかしいけど、わたしもロマン・ロランのファンです。
しかし、なぜ、恥ずかしがるのだろう!ロマン・ロランのいうようには、生きていないからかもしれぬ。おお、なんと変わり果てた自分よ。かつて、ロマン・ロラン全集を買い求めた人々は、今、どうなってしまってるのだろう?

学生のとき、新聞でロマンロラン友の会があることを知り、訪ね歩いて会合に出たことがある。そのときは、「狭山裁判」の報告会で、なんでロマンロランと関係があるのだと思ってそれっきりになってしまったが、社会問題に目を向けるのは、ロマンロランの友としては当然だったのかもしれない。

京都の銀閣寺のそばに「ロマン・ロラン研究所」があるそうだ。今でも、ほそぼそと読書会を続けているそうだ。いってみたいな、と思うときもあるけど、やっぱり恥ずかしいな。