らんかみち

童話から老話まで

楽しい時期が長いと成長しない

2012年05月10日 | 陶芸
 陶芸クラブの新人さんたちが本焼きをすると聞いて、窯焚きを教えた先輩がまともなこともできないのに、勉強をしていない彼らにできるわけがないだろう、と頃合いを見て窯場に顔を出した。

 窯を焚いている人がチャレンジャーなのは評価するけど、「窯焚き一生」というくらい難しい行程なのだ。案の定、ぼくが目を離した隙に調整を誤った。煙突から業火とともに黒煙が吹き出したので、たぶん還元がかかってしまったんじゃなかろうか、調整はしてあげたけど……。

 窯に入っているのが、ぼくみたいに自分の作品だけならまだしも、失敗したら仲間の作品も一蓮托生なんだよね。仲間に対する責任もさることながら、自分の作品群に対する責任感ってのは無いのだろうか。
 適当にやって楽しければ良い、というのは理解しないワケじゃないが、その結果が失敗作の山だったとしても楽しいのだろうか。

 陶芸に正解というものは無いそうだから、余計な口出しをして彼らのインスピレーションを殺ぐのは気が咎めるので、ぼくは説教などしない。がしかし、「あの連中に、『駄作の山をこしらえるな』と助言してやりなさい」と、クラブの風紀委員長であらせられる要釉斎先生のお沙汰があったらしい。

 指示を受けた先生のしもべが、そのお言葉を新人さんたちに伝えたかどうかは知らないが、作るだけで楽しい時期が長いと、成長は阻害されると思う。この点では要釉斎先生のシンパなんだが、高い壁を目の前に築いたら、乗り越えずに迂回しそうな人たちなんだよねぇ……。