らんかみち

童話から老話まで

昔の人の言うことには訳がある

2014年09月09日 | 酒、食
 成人病検診の何が嫌って、ダントツでバリウムを飲んで便秘に苦しむこと。次に怖いのが採血、というのも血管が浮き出てこないから。採血は当たり外れみたいなもんで、上手な人にやってもらうと一発で血管に注射針が命中する。下手な人にやられると、何度も抜き差しをくり返したあげくバンザイ!

 今回は採血も上手くいったし、バリウムも下剤の力を借りてすんなり排泄できた。実は万が一のことも考えて、いぎす豆腐を作ろうとしていた。いぎす豆腐というのは、今まで食べた中で最も通じに良い食品だと思う。出るわ出るわ、そりゃもうヨーデルなんて下剤を使うよりもよう出る!

 しかしこのいぎす豆腐、単純ではあるけど的を射たような出来上がりになったことがない。それなりの体にはなるし、市販の物よりは美味しいんだが、こんなもんじゃないだろ? 昔、母の作っていたのはもっと美味しかったはず。
 口が傲ったってことも否定できないけど、なにかコツのようなものがあるんじゃないかと、お婆ちゃんたちに聴いて回るが、「地元のエビで出しを取れ」とか、「いりこの出汁が一番じゃ」くらいの答えしか返ってこない。そんなん、コツでもなんでもないじゃん!

 地元の小エビというのは案外と高価で、皮をむいたりするのが非常に面倒。いりこなら頭と腹わたを取るだけ、というか、手間は同じかも知れないけど、エビの皮むきが苦手なもので……。
 いりこを冷蔵庫で水戻しすること20時間。火にかけて数分間の沸騰で普通のいりこ出汁が取れた。

 このいりこ出汁でいつも通りのプロセスでいぎす豆腐を作る。期待はしていなかったけど、的を射た味の出来上がりだった。これでいいんだよ、簡単なことじゃないか、普通に出汁を取るだけで良かったんだ!
 顆粒出汁で一体なんの不足があろうかと思っていたけど、シンプルな料理であればあるほど違いが分かる。年寄りの言うことなんて、と軽ろんじていた自分が恥ずかしい。昔ながらのやり方って、ちゃんとした理由があるんだね。