らんかみち

童話から老話まで

そば打ちの感動を伝えたい

2011年05月06日 | 酒、食
 本を読んで陶芸が上手になるなら陶芸誌はバカ売れすると思うけど、読まないよりは読んだ方がマシ、といっても本の価格に見合うほどではないと考える人が多いのか、あんまり売れない筋の雑誌みたいです。

 同じように、本を読んでそば打ちが上達するなら読む人は少なくないと思うけど、あんまり役に立たないと思います。それなのに今日、季刊「蕎麦春秋」を買ってしまいました。この雑誌のにノウハウは登場せず、有名蕎麦店の探訪記ばかりで、いわゆる提灯記事かと思いますが、そんな蕎麦もありなのか! と気づかされる点において有用です。

 ipadのような端末の登場は、陶芸誌にとって朗報かと思います。陶芸誌はノウハウの紹介誌なので、誌面の写真と文のみでは解説しきれなかった技術を動画をもとに説明できるようになるからです。
 蕎麦雑誌にとってもIT端末が有益であると思うのは、香りを伝えることができるようになるからです。もっとも、現時点で実用化の目途が立っているかといえば……?

 そば打ちというのは誰にでもできます。そば粉とうどん粉と打ち粉と水、それに汁だけで完結するんですから。ラーメンは材料の入手からして簡単じゃないし、パスタに至っては、やってみると自家製麺する意味が分からなくなってしまいます。しかし蕎麦は自分で打ってみたら、たいていの場合は市井の店で食べるよりずっと美味しいのです。

 高いところから物を言うつもりはないけど、蕎麦の美味しさを知らない人に気づかせてあげたいと思う。我々島おこし組にできることは限られているけど、百人にお接待した中で、たった一人にでも強く訴えることができたなら、それは成功だと思います。
 実際、ぼくがその一人で、遍路をしていたとき、あるお寺のご住職が手打ち蕎麦を振る舞ってくれ、そのときの感動が今のぼくの支えになっているのです。