らんかみち

童話から老話まで

秋の支度をムカデに促され

2010年09月16日 | 暮らしの落とし穴
 陶芸クラブに顔を出したら、いつもなら無愛想に出迎えるはずのマスコット犬(柴犬)がグッタリして身じろぎもしません。死んどるのかと、棒でツンツンしたら目を覚ましたものの表情は失ったままじゃないですか。飼い主に聞いたら、「金玉をムカデに噛まれて病院に連れて行ったんよ」と、足を広げて腫れ上がった一物を見せてくれ、おぁ~可哀想に! と、ぼくも思わず自分の一物を握りしめてしまいました。

 本日の作陶は30cmの皿を削り、30cmと35cmの皿を挽き上げました。時間は理想にはほど遠いけど、思い描いている形に成るまでに上達しました。でもこれらは全てクラブの電動ろくろを使えないメンバーの下に嫁がせるつもりです。
「君ゐ、ワシは葬式じゃ、アドバイスはしてやれんが、まあ頑張りたまえ」と、クラブの長老、要釉斎先生。ご自身の葬式であるとしゃれ込んだのかと思いきやご近所さんだそうで、なんだつまらない。

 このところの要釉斎先生は、ぼくに対してあんまり口出ししなくなってしまったんですが、代わってママさんがゴチャゴチャ口を出して下さいます。
「メダカを飼うのにもってこいの皿やねぇ。なに、絵を描くぅ? やめときやめとき、赤土に描いたって……」と、えげつないこと言うてくれます。あんたはムカデか!
 これに描くんじゃなくて、本番は半磁器土っていう真っ白い土でこしらえた皿に描くんだよ。半磁器土は難しそうだから、こうやって赤土で練習しているんじゃないか。

 家に帰ったら、産まれたばかりみたいなムカデがウロチョロしてやがる。こんなやつでも、皮膚の柔らかいところ、つまりあの辺りを噛まれでもしたら腫れ上がるんだろうな。涼しくなったころムカデは活躍し始めるんですよね。夏の終わりを告げに来てくれた幼い命は哀れであるけど、一物を守るために昇天してもらいました。さあ、本格的に秋支度しなきゃ。