らんかみち

童話から老話まで

漁師は怒っているんだ

2008年11月25日 | 暮らしの落とし穴
 小型の釣り船には車の車検に似た検査があって、定期検査有効期限6年の間に一度だけ中間検査なるものを実施します。ぼくの船の名義変更と定期検査を同時に済ませるのが今日でした。
 
 車と違って検査場なんて存在しないので、検査官が巡回して合否を判定するんですが、その基準は何かというと、法定備品が装備されているかどうかに尽きると思います。法定備品とは何かというと、財団法人:小型船舶検査機構(以下JCI)が定める物のことです。
 
 細かいこと書く気にもなれないことなんですが、かいつまんで言うと、「JCIのお墨付きの品」のことなんです。例えば救命胴衣ですが、これは客船の救命胴衣を備えても検査には合格しません。命を守るという点では何ら優劣の無いものであっても、JCIの認可したものでなくてはいけないのです。
 
 さて今日の実際の検査はというと、やっぱり何もしませんでした。船は陸に上げているので水の上を走らせて確かめることもできません。つまり浸水しようが舵が利かなかろうが、法定備品さえ整っていれば遭難してもかまわない、あるいは安全である、というスタンスでしょうか。
 
 彼の偉人がお母さんを背負っているイメージを頭に描きながら、つつがなく検査を終えることができたのは、ひとえにJCI様のおかげに他なりません。初めてのことなので、慎重に事を進めたのでお手数をかけました。
 でも終わってみると、何でこんなものに3万円も払わにゃならんのか! と咽元過ぎた怒りが込み上げてきました。
 
「漁師は生かさぬよう、殺さぬよう」と説いたのはどなただったか? もしかしたらそんな言葉は存在しないのかもしれませんが、その心根はお上の間にはびこっているように思えてなりません。
 許認可権限をたてに公的機構が良民を搾取し、お役人が甘い汁を吸っている構図は江戸時代も現代も何ら変わることがありません。小泉改革とは何だったのか、未だに良く分からないぼくです。