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【告知】帯広コンテンポラリーアート「河口」(2018年)は、会期も会場も作家の任意で、道内外やシカゴでも展開する空前の展覧会

2018年07月10日 10時16分33秒 | 展覧会等の予告
 2011年から十勝地方の現代美術作家有志の手で開かれてきた大型展「帯広コンテンポラリーアート」。
 毎回、実行委員長もスタイルも変える方式で開かれてきました。

 1回目は、帯広市郊外の日本庭園と日本家屋を舞台にした「真正閣の100日」。
 2回目は、真冬の、雪が積もった郊外の畑での野外展「防風林アートプロジェクト」。
 3回目は、帯広市の中心にある休業中のホテルの客室(現在はリノベーションして開業中)や周辺で展開した「マイナスアート」。
 4回目は「帯広の森」の、林や草原に作品を設置した「ヒト科ヒト属ヒト」。
 まさに2010年代の道内アート界に大きな刻印を残してきたのでした。

 そして最後の5回目。
 実行委員長の吉野隆幸さんが打ち出した方針は、前例のない、驚くべきものでした。

 会期はことし4月1日(日)から12月31日(月)までのあいだで参加作家が選んだ期日。
 会場は

参加作家が個別に選んだ「河口」

 !?

 これまで4度の展示はいずれも、一定の会期に、特定の場所に、作家数十人の作品が設置されていました。
 っていうか、それがフツーですよね。

 チラシには、こうあります。

ときには複雑に重層し、錯綜する河口の魅力的な物語(ストーリー)に着眼。人もまた己の中に―それぞれの河口―を持っているという前提のもとに、河口が内包する普遍性と特殊性にアートの視点から一歩踏み込んだ展覧会「『河口』展」を開催します。


 どうやら、インターネットの時代に、参加者全員が1カ所に集まらなくてもいいんじゃないかという発想らしいと聞きました。

 でも、これ、もし「現地に行く」という行為をまっとうしようとしたら、むちゃくちゃ大変です。
 現在、作品コンセプトを明らかにしている作家は半数以下ですが、すでに、十勝や札幌近郊だけでなく、新潟県上越市や米シカゴでの展開が予告されているからです。

 参加作家は次のとおり。
 ローマ字は姓→名の順になっています。

阿地 信美智 Achi Nobumichi〈札幌市〉
阿部 安伸  Abe Yasunobu 〈帯広市)
荒井 善則  Arai Yoshinori〈旭川市〉
池田 緑   Ikeda Midori 〈帯広市〉「十勝川河口まで歩く」
池原 浩子  Ikehara Hiroko〈新潟県上越市〉
上ノ 大作  Ueno Daisaku 〈北広島市〉
潮田 友子  Ushioda Tomoko(東京都武蔵野市〉
梅田マサノリ Umeda Masanori〈帯広市〉
大久保 真  Ohkubo Sin  〈帯広市〉「vague」
Okhotsk 4          (北見市〉

伽井 丹彌  Kai akemi   〈帯広市〉「ゆくえ」
カビラヤスオ Kabira Yasuo 〈留萌管内羽幌町〉
熊澤 桂子  Kumazawa Keiko〈横浜市〉
古山 一彦  Koyama Kazuhiko〈十勝管内鹿追町〉「ぼくは神様じゃないよ」

坂口 寛敏  Sakaguchi Hirotoshi〈東京都武蔵野市〉
櫻井 亮   Sakurai Ryo  〈夕張市〉
澁谷 俊彦  Shibuya Toshihiko〈札幌市〉「起源・発生」
鈴木 隆   Suzuki Takashi (十勝管内中札内村〉「 塩 」

高田 K子   Takada Keiko  〈帯広市〉
谷口 大   Taniguchi Dai 〈札幌市〉

内藤 万貴  Naito Maki   〈札幌市〉
長澤 裕子  Nagasawa Yuko 〈上川管内和寒町〉
野口 裕司  Noguchi Yuji  〈石狩市〉「ISHIKARI 」

萩野 明宏  Hagino Akihiro 〈帯広市〉
半谷 学   Hangai Manabu 〈帯広市〉
藤本 和彦  Fujimoto Kazuhiko〈札幌市〉

前田 育子  Maeda Ikuko  〈胆振管内白老町〉
前山 忠   Maeyama Tadashi〈上越市〉「信濃川河口の視界 」
ミニマムライン minimumline 〈オホーツク管内置戸町〉「渦巻の・・・ 」

由良 真一  Yura Sinichi  〈十勝管内池田町〉「シカゴ川河口 」
吉野 隆幸  Yoshino Takayuki〈帯広市〉
 

 いちおう註釈しておくと、オホーツク4とは、林弘尭(Hayashi Hirotaka)、菅恵子(Suga Keiko)、加藤恵理子(Katho Eriko)、五十嵐恵津子(Igarashi Etsuko)の、北見市在住の4人によるユニット。

 また、ミニマムラインは、鈴木順三郎(Suzuki Junzaburoh)、松井淳紀(Matsui Atsunori)、猪股一破(Inomata Kazuha)、大西祐子(Ohnishi Yuko)の4人です。
 ミニマムラインは、北見市常呂町(カーリングで有名になったところ)常南ビーチに7月22日(日)から29日(日)まで作品「「渦巻の・・・ 」 Vortex-circle」を設置し、最終日29日午後6時からライブパフォーマンスをやるそうです。

(見たいけど、見に行ける気がしない…)





 
 また、アートキャンプが、8月4日(土)から1泊2日で、十勝管内浦幌町のうらほろ森林公園(東山町22-1)で開かれるとのこと。
 会費は3千円程度。午後2時からシンポジウム、3時から意見交換・作品紹介、5時からバーベキュー、7時から男女別に用意したバンガローで宿泊という日程です。
 5日朝は十勝川河口に移動し作品を見学するそうですが、浦幌の森林公園から十勝川河口って、相当な距離があります。
(車以外の移動手段がない。ちなみに浦幌駅から森林公園までなら、約1.6キロ、徒歩20分ぐらいです)





 いまのところ決まっている開催地は、大久保真さんが長節湖ちょうぶしこ(遠い…)、古山さんが然別湖しかりべつこ畔、鈴木隆さんが十勝川の浦幌側河口、野口裕司さんが石狩川河口、由良真一さんがシカゴのミシガン湖…などとなっていて、もう、なんというか、コンプリートは絶対にむりですよね。

 まあ、池田緑さんの作品は記録することに意義があるようだし、伽井さんなどはネット配信で見ればよいのだと思います。

 だからといって、ぜんぶインターネットで済ませるというのも、あまりに無精な話なので、札幌の澁谷俊彦さんにお願いして先日、設置箇所に案内していただきました。
 これについては、別項で紹介します。


 とにかく、空間的広がりといい発想といい、空前の「展覧会」になりそうです。


http://tokachiart.jp/index.html

帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト(1)
防風林アートプロジェクト(まとめ) (2014)
【告知】帯広コンテンポラリーアート2011 真正閣の100日


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