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■西辻惠三展 こころ模様―第2章 (2018年8月21~26日、札幌)

2018年08月28日 16時19分11秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 小樽の西辻恵三さんは、札幌での個展を近年は毎年開いています。
 国展と全道展を退会したことも関係あるのか、以前よりも自由さが画面から感じられるような気がします。

 冒頭画像は、モノトーンの絵が集まった一角。
 左端は自信作の「まる」。題のとおり、まるい形が連なり、緊張感と闊達さとがふしぎな共存を見せている1枚。
 その隣は「cross」。
 「かたち」と題した作が何点かあり、白と黒の対比の鮮やかさが、書道の墨象作品を連想させます。


 会場に入り向かって右側の壁面には「滴」と題した連作5点。
 ドリッピングや垂らし込みの技法をオールオーバーに展開させた作品です。
 この画面からは、米国に生まれ、戦後の世界の美術界を席巻した抽象表現主義の代表的画家、ジャクソン・ポロックを思わないわけにはいかないのですが
「まず自分が面白いと思ってやりました。面白い・面白くないというのは、大切な基準だと思います」
と西辻さん。
 あまり計画的になりすぎないよう、偶然性を引き出すことを狙った連作ともいえそうです。


 筆者は、この「象」2点が好みでした。
 茫漠とした灰色の濃淡が画面を覆い、ほとんど何も描いていないようでいて、マチエールの違いが豊かな世界を展開しています。
 とくに左側の作品は、上部に、不思議と平滑で、透明感を漂わせた部分があり、心ひかれます。まるでタブローの中に異世界への入り口があるかのようです。
 西辻さんによると、ひっかいたり削ったり剝がしたりーという行為の繰り返しの末に生まれた作品とのこと。
 表面の絵の具を剝がしたところが、平滑な部分に見えるようです。 


2018年8月21日(火)~26日(日)午前10時~午後6時半(最終日~5時)
スカイホール(札幌市中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階)


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