トビオの日々

　トビオは姿形や性格も、本で紹介されているパグ犬そのものだ。
　個人主義の最たるトビオは、食に関するとき以外は動作ものろい。パグ特有の手抜きを心得ていて、今にも倒れそうかと思っていると、おやつの声がするや否や、真剣な眼差しですっ飛んでくる。
　でも決してねだりはしないのが、パグ特有の誇りの高さだ。私のところに擦り寄ってくるのは夜食のときで、嘘だと思われるが、ちゃんと時計の針も見ているのだ。誇り高き甘えん坊が、トビオの正体だ。
　「誰かさんに似ているなあ」と妻に言うと、にらまれてしまった。ちなみに私はメソメソの「クロ」に似ているのかもしれない。