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尻手~武蔵小杉間連続立体交差事業着手は早くても2019年度?

2013年06月04日 19時46分06秒 | 南武線
稲城市内で実施されている第2期区間の矢野口(稲城大橋)~府中本町(多摩川橋梁)間の上り線工事が大詰めを迎えていますが、朝のラッシュ時の1時間に方方向で24本の列車が運転されている川崎方においては、これ以上の増発は無理であり、かつ開かずの踏切が日常化している尻手~武蔵小杉間の踏切では大きな問題となっています。
2000年頃から尻手~武蔵小杉間の連続立体交差事業の基礎調査・検討が行われ、川崎市の都市計画マスタープランにおいてもこの区間の連続立体交差事業の記述が盛り込まれていますが、京急大師線の連続立体交差事業の進捗を見極めながらと記述されていることから、本格的な調査・検討があとまわしにされてきたようです。
しかしながら、今年3月策定の川崎市総合都市交通計画の中では、今後10年以内に事業を着手とすることが記述され、京急大師線の事業の進捗とは別に動くようで、来年度から2年かけて事業調査に取り組み、その後の3年程度で詳細調査を実施し、事業着手は早くても2019年度以降になる見込みとのことです。
この事業の対象区間は約5.5kmであり、駅は矢向、鹿島田、平間、向河原の4駅、踏切は13箇所で、このうち矢向第2、塚越、鹿島田、平間駅前踏切の4箇所は自動車交通の渋滞が顕著化しており、この13踏切の最大遮断時間の平均が40分で、最大が49分となっています。
また、この事業での構造形式は高架方式となるのか地下方式となるのか決定されておらず、検討段階のようですが、高架方式の場合はおおよそ700億円程度、地下方式の場合は高架方式の2倍の事業費が予想されますが、一部、南武線の西側に線路に沿う形で都市計画道路が整備されることやある程度のまとまった用地があることから、武蔵小杉~武蔵溝ノ口(第3京浜)間の第1期区間と同じように仮線高架方式で事業が実施されるのではないかと予想されます。

ということで、この事業の実施までにはまだまだ長い時間がかかりますが、ちょっと興味がありましたので、この区間の沿線ウォッチングに行って参りました。
それでは川崎寄りから見ていきたいと思います。
矢向駅構内はご存知のように昭和35年まで車両の修繕などを行う電車区があり、中原に電車区が設置されたあとも電留線として機能しています。
以前でしたら川崎発この駅止まりの矢向行きや矢向始発の立川方面行きの列車もありましたが、現在では3番線(貨物1番)から立川方面へのポイントも撤去され、矢向始発川崎行きのみが旅客扱いし、川崎発矢向止まりは全て回送扱いとなります。


矢向駅の駅前広場には南武鉄道が開通したのを記念して記念樹がありますが、昭和20年の空襲により矢向駅周辺は焦土化したものの、3本の記念樹のうち楠だけが奇跡的に蘇生し、90年近くが経過する現在でも繁茂し続け、この駅や街の象徴として人々から愛着が寄せられています。


下の写真は鹿島田・新川崎地区にある新川崎三井ビルディングから矢向駅構内を眺めたものです。
私自身の矢向駅の昔の思い出ですが、昭和40年代は3番線に貨車と連結したDE10らしき機関車が止まっており、当時、多摩川近くの河原町団地南側にあった川崎河岸駅で貨物列車が止まっているのを府中街道を走る路線バスから見たことがありますが、この3番線(貨物1番)に止まっていた貨物列車はおそらく川崎河岸へ出入りしていた列車ではないかと思います。
また、ストライキの日に車両が日中でも留置されていましたので、旧型のクモハ73の500番台に乗り込んで、方向幕を回して普段は見れない青梅線の方向幕にして遊んだことも今となっては良い思い出になっております。


話しが昔話になってしまいましたが、この駅周辺において連続立体交差事業で懸念される点について述べますと、矢向駅構内は川崎市と横浜市の境界線上であり、かつ電留線が現在も使用されているということです。尻手駅から矢向駅までは横浜市域ですので、横浜市として連携し事業を実施することが最適であり、一昨年6月に川崎市と横浜市の両市域に関わる交通網について密接に連携協力しつつ、効率的かつ効果的に検討を進めるための覚え書きが交わされていますが、果たして横浜市が連携して事業を一体的に進められるのか懸念されます。電留線の扱いについてはJR側と協議し、矢向以外に車両を収容できる場所を新たに設けるのか、既存の収容能力を維持して矢向駅構内に電留線を設置した場合、行政側の負担が問題になるかと思われます。(さらに電留線施設内に川崎市と横浜市部分がありますので、負担割合の話し合いで時間がかかるかもしれません)
この他、尻手側には尻手短絡線と呼ばれる尻手~新鶴見信号所間の単線の短絡線が、尻手第3踏切と日枝踏切において南武線と平行しており、この短絡線も含めて立体化を行う場合、構造的に問題が出てくることが予想されます。

次は鹿島田以北へと話しを進めていきたいところですが、どうも話しが長くなりそうですので、本日はこのへんで終了し、明日以降とさせていただきたいと思います。


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