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フィリピン国鉄(PNR)、Calabarzon地方の状況について

2024年02月20日 18時25分08秒 | フィリピン
Bicol地方の状況に続き、本日はCalabarzon地方の状況について述べますが、Calabarzon地方はマニラ首都圏東方から南方にかけて近接する数州のエリアからルソン島南東部に位置するBicol地方に挟まれた地域で、フィリピン国鉄(PNR)の現在運行されている区間においてはCalamba〜San Pablo〜Lucenaがその区間に該当します。


2023年7月27日朝の出来事については前回述べたとおりで、前日と同様に朝食後に再びNaga駅で1時間ほど観察したあと、次の目的地Lucenaをバスで目指します。
LucenaまではNagaからおよそ200kmあり、Lucena17:50発の列車に乗車し、San Pabloまで行くことになっていましたが、バスのチケットは取っておらず、しかも時刻は10時近くということで、この列車に今日のうちに乗車できるかどうか微妙でした。バスターミナルに行ってみるとLegazpi方面からマニラ方面に向かうバスが到着しているので、車掌に聞いてみたところ私ども3人分の席はあるので乗り込み、バスは10時30分頃に出発しましたが、およそ6時間でLucenaに到着できるのか微妙という感じでした。途中、この乗車したバスにはなぜか昼食の食事休憩もなく、パンクなどのアクシデントにも見舞われず済んだことから16時頃にLucenaに到着し、あとはトライシケルに乗車して駅に向かいました。
Lucenaの街は大きな街で、もう少し時間があればLucenaのB級グルメと言われるTasa sa chami(焼きそば、パンシットの一種で、大きなお椀に盛られたもの)を食べて行きたいところでしたが、そのような余裕の時間がなく駅へそのまま直行しました。


Lucena駅は街の中心地から南に位置し、鄙びた感じのところにあり、地元の人でなければわからないところに駅がありました。
切符を購入し、列車の乗務員や駅員に乗務員室添乗許可証を見せると、お待ちしていましたと挨拶をしていただき乗務員室へ案内されました。


今回乗車するのは上の写真のとおりINKA製造のDMU3両編成の8100系(8102)で、PNRではINKA製造の車両としては最も早く導入された車両で、導入当初はマニラ首都圏で使用されていました。
また、今回乗車するこのLucena〜San Pablo間は2013年から運休していたものの2022年6月25日に運行再開し、8本(4往復)の列車が運行されていましたが、訪問時においては2本(1往復)のみの運行となっており、San Pablo6:15発→Lucena7:47着、Lucena17:50発→San Pablo19:22着になっております。
私とウチの子は乗務員室にお邪魔させていただき、ウチの家内はあまり興味がないのか客室に座って眠り込んでしまいましたが、普通の方であればやはり当然なのかもしれません。
列車は定刻17:50に発車すると、Lucena駅が街の南側の外れに位置することからあっという間に市街地の風景から田園風景へと変わりました。
その後はひたすら直線区間を快調に列車は進むばかりでした。


車内はどんな感じかと言うと、Lucena周辺ではある程度の乗客は居るものの徐々に降りていく人ばかりで空席が目立つ程度ですが、途中の駅から乗車する人に対しては下の写真のように車掌が切符を販売しています。


18時30分を過ぎると当たりは暗闇に包まれ、前方の見通しは悪くなるのですが、そのような中で列車は1台の車を発見し急停止しました。
下の写真のように線路脇そばに車が止まっており、このまま列車が進むと車に接触する恐れがありますが、運転士は警笛を鳴らして持主に知らせると、持主らしき人がすぐに現れ、ひたすらPansensiya na ho kayo!(ごめんなさい!)と言って、車はすぐに移動しました。


上記のような軽いトラブルがあったものの1時間半の旅はあっという間に終わり、San Pabloには駅本屋側のホームが6両編成に対応する本線側に入線し、定刻19:22に到着しました。

このあと、Calamba方面から列車が19:30に到着するのですが、昼食を取っていなかったためかウチの子が駄々を捏ねはじめ夕食にしようよと言い始めました。19時半過ぎても列車が到着しないので、駅員に尋ねてみると列車は遅れているとのことで、10分程遅れてようやく到着しました。
列車からは20人程降車しましたが、思っているほどの利用客は少ないことからなのか2023年12月下旬から運休になっています。
下の写真は左側の列車がLucena〜San Pablo間の車両(8002F)、右側の列車がSan Pablo〜Calamba間の車両(8001F)です。


列車が到着したところで、フィリピン人皆大好きなジョリビーではなく、すぐにマクドナルドへ直行しました。ウチの子はマクドナルドが大好きなようですが、マクドナルドには今や店員に直接オーダーするのではなくタッチパネルでオーダーするのが主流で、あのタッチパネルでオーダーするのが私は不得意で困ります。
また、San Pabloの街はLucenaに比べたら小さいもののある程度の宿泊施設があり、私達も街の中心から北西に1km離れたところにチェックインしました。

翌日朝は5時過ぎに起床し、こんな朝早くから食欲はないので駅にそのまま直行しました。


San Pablo〜Calamba間を走る列車もSan Pablo〜Lucena間の列車と同様に1日2本(1往復)しかなく、時刻は以下のとおりですが、先程も申し上げましたように乗客の少なさ等から2023年12月下旬からCalamba〜San Pablo間の運行は中止されています。


下の写真は左側の列車が6:23発のCalamba行きで、右側の列車が6:15発のLucena行きで、このような顔を付き合わせた姿を見ることができました。


Calamba側から見ると下の写真のとおりで、見た目6両編成のような姿を見ることができました。

昨日と同様に乗務員室添乗許可証を乗務員に見せるとウチの子といっしょに乗務員室へと導かれました。ウチの家内は昨日と同様にあまり興味がないので客室で朝寝タイムになりました。

San Pabloを定刻6:23に発車するとLucenaと同様にすぐに田園風景となりましたが、San Pabloは標高約230mもあり、Calambaへの途中駅Los Bañosに向かって徐々に高度を下げていきますので、途中、 Palicpic-Ayungin BridgeやSitio CurvaのΩカーブのダイナミックな光景や前方には成層火山のMt.Makilingの見事な姿も見られます。


Sitio CurvaのΩカーブを抜けると学園都市内の駅の1つであるIRRIに停車しますが、この駅も簡易な階段で乗り降りすることになります。


また、車内の状況ですが、やはり乗客は少なめで1車両に10人程度、学園都市であるLos Bañosの町内の各駅から生徒らしき方が乗車する程度でした。

およそ33kmの区間を1時間ちょうどで走り抜け、Calambaには定刻7:23に到着しました。
2023年7月28日時点で、Calamba〜San Pablo間、San Pablo〜Lucena間にそれぞれ1日2本(1往復)の列車が運行されていましたが、1日のうちに乗り継ぐことはできず、San Pabloに泊ることが必用でした。
Calamba〜San Pablo間の運行再開予定は早くて2024年9月頃のようで、マニラ首都圏での運休が大前提になるようです。


最後にCalambaのヤード内にも色々な車両が留置されていましたので、撮影許可証をPNR社員に見せて車両をみさせていただきました。
キハ59こがねが留置されていますが、現在、使用できるのかどうかはわかりません。また、14系寝台車も留置されていますが、綺麗な車両は居なかったようです。


この他、DOST(科学技術省)開発のHET(ハイブリット・エレクトリック・トレイン)も留置されており、昨年は試験のため使用されていたかと思いますが、ここ最近使用されているのかどうかはわかりません。


以上でBicol地方とCalabarzon地方の状況について簡単に説明しましたが、次回はマニラ首都圏地域の話題について述べていきたいと思います。