本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

短歌二首

2008-10-05 10:14:02 | Weblog
 金田一京助博士といえば、アイヌ語、啄木の恩人、辞書監修だが、横溝正史の小説に登場する探偵金田一耕助は、この人のもじりである。
 小生は博士と同じ町内生まれ、同じ小学校と高校(博士は旧制中学だが)という縁だ。

 さて、紹介したいのは博士から半世紀の前に頂戴した短冊に墨痕鮮やかに書かれた歌二首。
「天地のそきへの極み照り渡る 杉ほきともしび太陽あがる」
「我が道のこごし岩そば踏み分けて 今日の日仰ぐ神のまにまに」

 手紙に解説が添えてあった。
 前の句には「東海の天へ喜々とさしのぼる太陽の光りを巨大な、あめつちのはてからはてまでと照らす、おほきなともしびにたとえて賛美した歌」とあり、
後の句には「私のたどった道は決して坦々たる大道ではなくしてけわしい岩だらけの困難な道だった。幸いにも事なくこうして今日まで生きてこのように安らかな日を仰ぐことのできるのは全く神意によるものだの意」とあった。

 この短冊、どちらも知人にあげてしまった。手紙も紛失した。ただし、当時の高校同人誌に同じく紹介しており、その本は今も持っている。