本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

複雑な数詞

2017-06-30 09:11:11 | Weblog
 マドリッドの銀行で両替した。当時はペセタだったが、渡されたペセタに小銭が足りない。大したカネではない(2百円程度だったか)が、カネと両替のエビデンスを示して不足があると言った。言ったのは日本語だけど、ちゃんと小銭は揃えてくれた。
 銀行員が小銭をごまかすのかい、スペインは油断ならんと思ったものだ。

 金田一春彦著に『ホンモノの日本語を話していますか?』という長ったらしいタイトルの本がある。その中に数についての話がある。
 フランス語では60は「スワザント」。70は「スワザントデイス」で、これを分解するとスワザント(60)+デイス(10)となるようだ。72は「スワザントトドウーズ」で、やはり分解するとスワザント(60)+トドウーズ(12)である。
 80では「カートウルバン」というそうだ。これは20×4のこととか。
 それで80-72の計算は、20×4-(60+12)となるからなんとも複雑である。釣銭勘定が遅くなるわけだ。フランス人はフランス語を自慢するそうだが、数詞に関しては自慢にならない。
 
 スペイン語もフランス語と同様にわからないが、やはり数詞は複雑に違いない。となれば、かのマドリッドの中年男性の銀行員は単なる計算違いだったか。でも、銀行員は数字に慣れているはずだが

漢字とひらがなの使い分け

2017-06-29 09:24:44 | Weblog
 「言う」と「いう」については前にも書いた。つまり漢字とひらがなの使い分けのことだ。
 大まかにいって具体的な内容や事柄を示す場合は漢字を使う。それ以外の抽象的なものや形式名詞がひらがなになる。「~行くものとする」、「~行くことがある」、「~行くところだ」のもの、こと、ところは形式名詞である。

 さて、次は月刊誌の読み物にあったもの。
 ① 「…通算六度目となる核実験も準備していると言われている」
 ② 「正日氏が核について「あんなものは無用な長物だ」と言っていた」
 ③ 「北朝鮮にとっては、トランプ大統領の誕生により、アメリカの脅威が急速に迫ってきていると言えます」
 ④ 「オバマ大統領の責任は重いと言わざるを得ません」

 すべて「言う」は漢字である。しかし、口で話すことが「言う」であって、伝聞や推量や不確かな内容とか事柄はひらがなの「いう」にするのがルールである。
 ① は伝聞、③は推量か不確かな情報だからひらがなにするべきだ。
 筆者は元外務事務次官である。公文書の書き表し方を知らなかったのか。

人口減少後

2017-06-28 09:21:19 | Weblog
 少子と高齢はコインの裏表の関係にあるそうだ。どういうことかと言えば、長生きの生き物は出生率が低いのだ。長生きの象も鯨も子沢山ではない。
 
 人間でも長寿国は人口減少におちいっている。一方、平均寿命が短く、乳幼児の死亡率の高い途上国では逆に人口は増加している。
 途上国では農業が中心になるから働き手がほしい。その働き手が短命だと立ち行かなくなる。それで次々に人手を増やすことに専念するのだ、と思ってしまう。
 
 日本の場合、地方消滅といわれているのは、農業離脱もそうだが、地方の若者が都市部に流動するからだ。なにしろ地方には働き口がふんだんにあるわけではない。加えて、都会のほうが面白いもの。
 年寄りしかいない地方では人口が増えるわけはない。都市部では住宅事情、子育て環境の不備等でじゃんじゃん子供を生めない。
 かくて、チャイナタウンのようにベトナム街やらリトル・インドやらフィリピン集落やらインドネシア・コルホーズが地方に散見されるかもしれない。

将棋こと

2017-06-27 09:14:03 | Weblog
 将棋の藤井四段が29連勝した。テレビの番組名ではないがスゴイデスネ。願わくは、将棋界の「石川遼」になってほしくないな。あれだけ若いうちに大活躍していたのに鳴かず飛ばずになったもの。
 
 28連勝の記録を持っていた神谷八段もその後は低迷している。順位戦ではB級1組に一度昇格しただけだ。今は最低クラスのC級2組で50人中42番目である。ただ、連勝の相手にA級の二上九段、米長八段、青野八段がいた。油がのっている時期があるものだ。

 藤井四段の勝った相手にも八段はいるがA級のトップにはなれなかったし、下り坂の棋士である。加藤九段も引退間際でしかもC級2組のランクである。ちょいとケチをつけたかな。たしかに最近の四段、五段クラスの実力は侮れないらしい。
 
 ところで、今回敗れた増田四段は八王子将棋クラブの師範とある。彼のほかこのクラブから羽生現三冠、阿久津八段、村山慈明七段、中村大地六段など多くの棋士が輩出している。
 
 私も30代の一時期、隣の市に住んでいたので、週末になればこのクラブに通ったものだ。ヘボだったからそのうち足が遠のいた。
 当時、小学生の羽生くんがいたな。ほかの棋士は時代が違うので知らない。

インパール作戦

2017-06-26 09:12:01 | Weblog
 数日前の新聞に「インパール作戦」の記事があった。インド・インパールの攻略作戦のことだ。兵器・弾薬・食糧の補給を軽視した日本軍は英米軍に惨敗した。新聞によると、3万人以上の日本兵が死亡したとある。

 火野葦平の『青春と泥濘』は、インパール作戦に従事した日本軍兵士の物語である。文学全集を引っ張り出して、火野葦平のこの作品をパラパラめくってみた。

 ジャングルの中での悲惨な情景が展開するのだが、その中に米軍の宣伝ビラの話があった。引用する。
 「死ぬるばかりが武士ではないでしょう。日本武士は無理に命をすてる悪癖があるが、諸君を待ちこがれている家郷の人々は、いかに諸君の犬死をなげくでしょう。生きてこそまたお国の役にも立つ。この票を持参して、わが陣営に来る者は、武士として厚く待遇し、日本敗北の折には、無事に諸君を家郷の人々のもとへ送り届けるであろう」
 
 それでも投降しなかったようだ。捕虜になるなという軍律のせいだろう。
 戦闘による死はやむを得ないかもしれないが、兵糧や武器類の補給がないうえに投降できない軍律で餓死や傷病死を余儀なくされた。当時の軍部と政治家は徴兵して国民を殺した大悪人である。安倍首相の爺さん岸信介もそのひとりだ。