本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

鉄道の旅3

2007-06-30 09:10:22 | Weblog
 鉄道の旅の5月5日の項
 フィレンツェ16時5分発ナポリ行きと思って乗った電車が、10分前に発車した。乗り間違えた。この電車、時刻表に載っていない。同席の初老の男性に訊くと、この電車でアテネからベオグラード経由で来たという。ギリシャ語と英語のチャンポン話の解読に気が遠くなったが、アテネからの距離にもっと気が遠くなった。とすれば、この電車、フィレンツェではたまたま臨時停車したのかもしれない。鉄道の旅ではこんなこともあろう。ただ、終着駅はローマだから別に不都合はない。
 
 ローマで20時27分に乗り換える。ナポリ着は22時31分。これ、RPエキスプレスという。Rはローマ、Pはシチリア島のパレルモ、東横や京阪と同じということ。ちなみにパレルモ着は翌朝の9時21分。
 この車中で、パレルモに帰る中年の夫婦と同席。この中年男性の容貌は、あの強面のアーネスト・ボーグナインのそっくりさんで、「ゴッド・ファザー」の片腕という感じ。これはシチリア出身と知って、マフィア映画に毒された勝手な偏見だろうけど。その奥さんは失礼ながら不釣合いなほど気品がある。
 ところがこの男性すこぶる人情味がある。イタリア語を解さなくても、そう判断するところも勝手読みだろうけど。是非、シチリアに来ないかと誘われた。行き当たりばったりの旅だからその気にもなったが、結局止めた。マフィアの抗争に巻き込まれたらどうしようと、最後まで先入観に支配されたのでありました。


慰安婦問題つづき

2007-06-29 09:51:45 | Weblog
 昨日の続き。
 慰安婦も従軍慰安婦も同義と思うが、ことさら「従軍」を冠すると悪意がこもる。兵隊と共に戦場を移動するニュアンスだ。それはないだろう。士気が緩むし、軍事作戦の障害にもなる。第一、足手まといだろう。実際は、戦場から後方の駐屯地に、女衒が遊女を連れてきたのだろう。多分、軍の要請かもしれないが。いずれにしろ「従軍」が一人歩きしている。

 ネットで調べると、軍が作ったものではないが「慰安婦を募集!月給300円以上!3000円まで借金が可能!」と書かれた1944年のポスターの写真があった。その月給の比較の解説がある。警察官の初任給が45円、現在は約20万として上昇率を計算し、月給300円は133万円、前借可能な3000円は1,330万円になるという。
 高給だったから文句を言うなと述べるつもりはない。むしろ、本当にその額を与えたかどうかである。もし、その額を支払ったのであれば、軍が関与していたといえる。募集者は遊女屋か専門業者か知らないが、通常、大幅にピンハネ搾取するだろう。それを抑えられるのは軍しかないはずだ。また、たとえ誇大、甘言のポスターであっても、それを黙認していたのであれば軍にも落ち度がある。とにかく、集めてくれと願った意を汲んでのことでしょうから。つまり、慰安婦集めに軍がそ知らぬわけはない。
 
 他方、兵隊さんのいるところには、慰安施設ができるのは古今東西の歴史の事実。なんたって、世界最古の職業は、売春とスパイ業といいますもの。

 終戦直後、日本でも素人娘を守る防波堤としてパンパンを募集した。その人たちもアメリカに謝罪を求めてはどうだろう。アメリカ軍は関与していない?そうかねぇ。意を汲んでの措置としては同じ。アメリカ兵は大いに喜んだはずだ。それにもっと言えば、提供者より買春行為が非難される。その論理とも同じことと思いますけどねぇ。

慰安婦問題

2007-06-28 08:47:39 | Weblog
 かの慰安婦問題で日本政府は謝罪せよという議決を、米下院外交委員会で可決した。汚い喩えだが「目糞鼻糞を笑う」ですわ。この問題と無関係なアメリカから言われたくありませんな。こと人権問題は、どこの国にも注文をつけて悪いかということですかね。ならば、戦時中の無差別空襲や原爆による民間人の殺戮、国内のKKKのような人種差別、最近ではイラクの捕虜虐待と、人権のための反論の引き出しはいくらでもありますね。人身売買に絞っても、アメリカの奴隷制度はどうなんだとなる。もっとも南北戦争で解放したではないか、これは自浄作用だと開き直るでしょうね。
 議決提案したのは日系議員だが、本で読む限り中国系、韓国系市民のロビイ活動やら選挙地元での後押しやらと胡散臭い人らしい。

 この問題は沈静化しそうだったが、国会議員有志がワシントン・ポストに、軍が関与した証拠はないという意見広告を出した。それで、反発をくった。眠った子を起こした。逆バネになった。やぶ蛇になった。まァ、どんな言い方でもよいけど、国益に反した。新聞紙上で黒白を付けようとするのはどだい無理ですわ。
 続きは明日。

けじめ

2007-06-27 13:28:25 | Weblog
 首相は「けじめをつける」として閣僚賞与の全額を受け取らないそうだ。これ、所得に参入してから寄付となるのでしょうね。つまり、所得税や来年度の住民税の対象になるということ。
 まァ、それはともかく、よく分からないのは「けじめ」ですよ。手元の辞書には「道徳や規範によって行動・態度を示す区分」とあって、例文に「公私のけじめをつける」、「親子の間にもけじめが必要だ」とある。道徳や規範に照らし、これは公の分野、これは私の分野と区別する、あるいはこれは親の権利、これは子の義務と区分けするということが「けじめ」ですな。もっと簡単に言えば、区分することですね。

 では、首相は何と何を区分して、賞与返上という行動を示すのでしょうかね。本来は「とりあえず不祥事の責任の証しとして」か「とりあえず不祥事の償いとして」ではないですかね。「とりあえず」としたのは、不祥事は何一つ解決していない。それどころか問題は根深く「けじめ」はつけようがありませんわ。

ルポを読んで

2007-06-26 10:00:26 | Weblog
 海外に出かけて「カルチャー・ショックを受けたよ」と言いますよね。実際、異文化に触れると圧倒されることもある。しかし、短期の旅行ではその程度で終わる。ところが、移住した人は知らず知らずに「文化ストレス」が蓄積されるらしい。
 年配者はまだ折り合いがつく。家族と一緒の若い人が問題のようだ。何故か。両親は移住後も母国の文化や伝統に固執し、それを子供にも強要する。親にしてみれば、我が誇るべき自国文化を子供に伝承させたいのでしようね。
 一方、子供は、移住国の学校で友人の接点が大きくなり、新しい環境に直面していく。ここに親子のギャップが生ずる。これを「世代間コンフリクト」というそうだ。言わば、文化間の板ばさみですな。 

 また、別の観点で言えば、日本人を含め東洋人は、無口でシャイの性格が多い。自己主張の強い西洋人には、これが奇異に映る。時には無視される。ますます無口になって孤立するという悪循環になる。
 こうして、韓国系アメリカ人のヴァージニア工科大学の乱射事件が起こったとのルポがある。なるほど、一面はそうでしょう。

 ただ、アメリカでは学校乱射は珍しくない。しかもほとんどが東洋系ではない若者が引き起こしている。「文化ストレス」というより銃、競争、格差といういびつな社会の所以でしょう。
 日本は銃社会ではないが、いびつさはアメリカに酷似している。若年層の犯罪が増えるわけだ。