本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

李東柱2

2021-02-28 08:43:08 | Weblog
 昨日の続き。判決文はいよいよ罪状を述べる。
*昭和18年4月中旬頃、朝鮮における徴兵制度に関し民族的立場より批判…朝鮮独立実現のため一大威力を加えるものなるべし

*昭和18年4月下旬頃、朝鮮人は従来武器を知らざるしも徴兵制度の実施により新たに武器を持ち軍事知識を体得するに至り将来大東亜戦争に日本が敗戦に逢着する際民族的武力蜂起を決行し独立実現を可能ならしむべき…独立実現に貢献すべく各自実力の養成に専念するの要ある

*朝鮮内学校における朝鮮科目の廃止せられたるを論難して朝鮮語の研究を勧奨し…内鮮一体政策を誹謗し朝鮮文化の維持朝鮮民族の発展のため独立達成の必須を強調

 こうした似たような内容がまだまだ続く。無理やり国家転覆を謀るかのようなこじつけで治安維持法違反に罪をきせた感がある。
 なんだか戦前の日本は習近平やプーチンの国のようだった。実際、27歳での獄死は薬殺だったようだ。

 ある時、ソウルの延世大学のキャンバスにある李東柱の石碑を訪れたことがある。石碑はなかなか見つからず、通りかかった30代らしい男性に尋ねたが知らなかった。大学院生か学務課の職員かわからないが、大学の関係者だろう。私の韓国語がいい加減でも「李東柱」のキーワードで察するはずだ。李東柱とその死因を知らないとすれば、気が楽でもあった。

 やっと石碑を見つけた。小ぶりのちょっと気づきにくい場所にあった。しかし、小学校の高学年とみられる数人の女の子がノートを持って石碑の前にいた。とたんに、女の子たちに贖罪の気持ちになった。

李東柱のこと

2021-02-27 08:53:13 | Weblog
 2月16日から十日も過ぎだ。その日は李東柱(同志社大学に在学中は「平沼東柱」)が獄死した日である。
 治安維持法違反として、昭和19年3月31日に京都地方裁判所の判決を受けている。その判決文の一部を紹介したい。
 私が持っている判決文はオリジナルのコピーである。末尾に裁判長と2名の判事の自署と印影もコピーされているからだ。
 
 主文は「被告人を懲役二年に処す」とある。
 その「理由」をかいつまんで転記する。なお、原文は旧字体とカタカナだが、勝手に新字体とひらがなに書き改める。
 
「被告人は半島出身中農の家庭に生まれ…昭和十七年三月内地(日本のこと)に渡来し…京都同志社大学文学部選科に在学…民族意識を抱懐し…内鮮間の所謂差別問題に対し深く怨嗟の念を抱ける…朝鮮民族を開放しその繁栄を招来せしむ為には帝国統治権の支配より離脱せしめ独立国家を建設するの他なく…」と句読点なしに続く。少し飛ぶ。

「大東亜戦争の勃発に直面するや科学力に劣勢なる日本の敗戦を夢想しその機に乗じ朝鮮独立の野望を実現し得ると妄信して益々その決意を固め…」この記述どおり陳述したかどうか疑わしい。裁判長自身は日本の敗戦を予期して誘導したような気がする。

 長文になったので以下は次回に回す。なにしろ、裁判用紙に7頁あるのだ。余談を挟むと、東京高裁長官だった方のエッセイに「判決文はできるだけ短く、分かりやすく書くように努めた」とある。加えると、重大事件なのに500字でまとめた例を書いていた。

所有者不明土地

2021-02-26 08:45:56 | Weblog
 新聞に「所有者不明土地」の社説があった。調査によると、全国の土地の20%が所有者不明という。不明土地は約410万ヘクタールに達し、九州より広いとある。

 このため公共事業や再開発の用地買収が難航するようだし、災害復興の妨げにもなるとか。相続登記の義務化などの法整備をするらしいが、そもそもの所有者がわからなければ、相続人は相続登記ができまい。

 だいぶ昔になるが、ある町の町長名で「公共用地に係る登記承諾の依頼について」という公文書が届いた。
 相続人は祖父(父方)で、その土地を消防用地などの使用のため町に寄付してほしいという文書であった。土地台帳で所有者は判明したのだろうが、祖父も父も亡くなっており、我ら兄弟はそんな知らない場所にある土地なんぞ知る由もない。

 つまり、登記されていても所有者が二代前、三代前の者のままでは相続人が不明もあり得るし、相続争いも起こりかねない。眠った子を起こさないほうがよいのではないか。
 固定資産の納税義務もあることからそうもいかないのだろうか。

 さて、我ら兄弟はその土地の寄付を承諾し登記承諾書を送付した。厄介なのは印鑑証明書を添付することだ。
 その後、所有権移転登記完了の報告文書が届いた。

クロスオーバードラマ

2021-02-25 08:50:46 | Weblog
 前に書いた米ドラマ「シカゴファイア」で消防士が爆発寸前の5階上の屋上から川に飛び込む場面がある。
 その消防士の妻が「よく助かったね」と言うと、「2020年の東京オリンピックの高跳びで金メダルだよ」と応じていた。
 その東京五輪の開催は雲行きがあやしい。いや、中止こそ晴れ予報ではないか。

 ところで、先月末のブログで書いたが、再度述べれば「シカゴファイア」の消防士物、「シカゴPD」の刑事物そして「シカゴメッド」の医師物の三部作は「シカゴシリーズといわれている。

 この三部作は相互に補完関係にある。例を挙げると「シカゴファイア」のある一話に、発生した火災は放火で焼死者も出る。消防士の活躍は鎮火で終わるが、放火犯のことは断ちきれたままだ。その放火犯人を捜査し、追い詰めるのが「シカゴPD」ドラマである。
 また、救急出動で事故の重症者を医療センターに搬送するが、その後のエピソードは「シカゴメッド」の物語だ。

 当然ながら、それぞれのドラマの役柄を担う俳優は、あっちのドラマ、こっちのドラマに出演している。こんなにクロスオーバーしている作品は珍しい。

 アメリカで、三つのドラマが並行して放映しているはずはないが、一体どういう仕組みなのかと頭をひねる。消防士ドラマの終わりに「この放火犯人捜しのドラマはシカゴPDをご覧ください」とキャプションがあるのだろうか。

 日本では三部作とも遅れてDVD化されたので、例の「シカゴファイア」の放火のDVDの別枠として、シカゴPDの放火犯追跡の物語がサービス的に挿入されている。

地域姓

2021-02-24 09:07:34 | Weblog
 新聞のローカル版に「お悔み」記事がある。時々見聞したことのない苗字がある。
 この地生まれのかみさんに「変わった苗字だね」と言えば、珍しくないそうだ。

 古老に聞けば、その人の姓でどの地域の人かだいたいわかるという。
 私が住む周縁部ではや里山が点在しているが、そこは縁者の家々の集まりで成り立ってきたせいか同姓が多い。十数世帯のはすべて同じ苗字のところもある。
 私は地域姓と呼ぶことにした。

 私は東北で生まれ、永く東京や隣接する都市に住み、今は九州が根城になる。日本縦断したわけだが、その体験から九州には古賀、諌山など独特の姓があるとおもう。むろん、東北に多い小野寺とか及川という姓は地域姓かもしれない。

 日本の姓のランキングトップ3は、1佐藤、2鈴木、3高橋とある。それなのに九州には思いのほか鈴木姓は少ないようだ。地区の100戸ほどの世帯名簿ではその姓の家はまったくない。