本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

禁色

2010-06-30 10:57:29 | Weblog
 昔々、位階ごとに着用する衣服の色が決まっていた。それで身分上位の色を染めた衣服の着用はご法度だった。これが「禁色」である。
 長い間、禁色には男色の意味もあると思っていた。が、私の持っているいくつかの辞書を引いてもそんな意味の記述はない。となれば、三島由紀夫の『禁色』により広まった非公認の慣用的意味ということになるか。

 ところで、「色」の漢音読みのショクは、原色、特色、容色のように熟語の下に付く読みになる。一方、呉音読みのシキは、色彩、色調、色情など熟語の上に付く場合の読みになる。こういう現象は他にあるかどうか。
 むろん、例外もあるだろう。禁色(きんじき)や金色(こんじき)はその例のひとつか。景色(けしき)は違う。これは常用漢字表の付表に挙げられている慣用読みである。
 他愛のない色の色々でした。

やらせ旅番組

2010-06-29 10:22:05 | Weblog
 旅番組には、見知らぬ土地をぶらりと訪ね、その土地の名勝や名物を紹介する、といったものがある。
 過日、贔屓にしている古民家風のカフェ・テラスに行くと、何日に旅番組の撮影隊が来て、何日に放映するという連絡があったとか。つまり、あらかじめ撮影日も放映日も決まっていた。

 さて、そのテレビ放映を観た。リポーターが行き当たりばったりという装いで駅に降りると、とある店(私も時々タバコを買う店)のオバサンに「この辺においしい店か珍しい店がありますかね」と尋ねる。おばさんは「すぐ近くに○○という店がありますよ」と教える。
 そこで、探訪して知ったかのように、いよいよカフェ・テラスが登場する。

 旅番組は「やらせ」であることは周知のことだが、裏事情がわかって観ると、その白々しさが倍加する。
 ちなみに、くだんのおばさんは一度もカフェ・テラスに来たことがないそうだ。

新聞投稿の雑誌記事

2010-06-28 09:52:14 | Weblog
 ある雑誌に、朝日新聞の「声」欄への投書は20年前に比べて2割弱増えていると記述していた。しかも、投稿者の高年齢化(50歳以上を対象としている。)も進んでいるという。
 このコメントとして、ウェブの言論のように「発言の気安さ」の風潮が新聞の投書欄に及んでいるとする。また、投稿者の高年齢化は特異だと断じている。

 投稿者の高年齢化は、国全体の高齢化が進んでいるので、当然、投稿者年齢は高くなる。特異でもなんでもない。また、若者の活字離れによる購読減少もあるはずだし、加えて、若者はウェブに向かうだろう。
 投稿数が増えたのは、Eメール投稿が可能になってお手軽になったためだ。「発言の気安さ」ではなく「投稿の手軽さ」である。80円切手を貼ってポストに投函するなんぞは、余程の投書マニアではないと面倒なのだ。

 これ、自明のことでしょうに。

コペンハーゲンの夜3

2010-06-27 10:09:06 | Weblog
 ハイ、再びコペンハーゲンのバーの続き。
 カウンター席からボックス席に移ると、女性が来て「座っていいか」と言う。それまで気がつかなかったが、少し離れたほの暗い壁際の椅子に若い女性が何人か座っていたのだ。カウンターの席に来ないところから酒の相手をするホステスではないようだ。
 
 要するに、メイクラブの女性たちだ。客がボックス席に座るのは、その意思があるということか。そういうシステムならば、知らずにボックス席に座れば、彼女たちの期待に副えないか、眠った子を起こすことになるかのどちらかだ。
 ところで、待機中の女性たちは、文学的に誇張すれば、北欧の淡い陽のように透き通る肌を持つ年の頃、二十代前半と思われた。
 メイクラブ料金は、日本円で1万4千円。ホテル代込みとか。
 
 このデンマークとの決戦、ゴールしたかどうかは教えない。
 

コペンハーゲンの夜2

2010-06-26 09:48:35 | Weblog
 コペンハーゲンの夜の続き。
 あるバーに入った。殺風景でなんの変哲もない酒場である。コの字型のカウンターがあって、そのコの字を囲んでボックス・シートが並んでいる。客はスタンドに2、3人いた。仲間らしく、バイキングひげを泡だらけにして、盛んにスコールを唱えていた。離れた止まり木に腰を下ろしてビールを注文するとツボルグの小ビンが置かれた。当時、150円ぐらいだったか。
 
 喧しいのでボックス・シートに移った。止まり木の脚は高く疲れる。さすが北欧人は背が高いということだ。それに十数時間のフライトの旅、時差、初めての外国という緊張で足を投げたしたいということもある。
 ボックス席でビールを頼むと銘柄はツボルグではなくカールスボルグになった。どうやらカウンターとボックスとでは、銘柄が区別されているようだ。
 その日に費消したビールの空ビンによって場所ごとのビールの売上げがわかる仕組みなのか、あるいは好みの銘柄に合わせて客が座る場所を決めるのか。そんなことを思ったものだ。

 それで、思い出した小話。ちょっと意味がちがうけれど。
 客は盛況のわりに売上げが少ない、と思ったスタンドバーのオーナーはプロの調査員にバーテンダーが売上げを誤魔化していないか調査させた。調査員は天井裏から見張った。その結果、「間違いありません。バーテンダーは三つのレジスターにきちんと売上金を入れています」
 するとオーナーは叫んだ。「レジスターは二つしかない」

 ところで、コペンハーゲンのバーに戻りたいが、続編としよう。