本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

「すみやかに」

2011-01-31 10:56:57 | Weblog
 昨日の続き。
 時間的速度を表わす「すみやかに」の法令用語は、その行為をできるだけ速めにしなさいと促しているにもかかわらず、その行為を処理する時間的速度について不当や違反は問われないと解されている。だから、単なる修飾語にすぎないと先に述べた。

 さて、ある裁判の係争点は、この「すみやかに」の解釈にあった。
 一昔前の新聞報道記事によるものだが、県に公文書の公開を求めても多忙を理由になかなか公開しない。そこで、「すみやかに」とあるのに先延ばしするのは、知る権利の侵害として公開を求めて訴え出たとあった。公文書の情報公開条例に「申請がある場合は、すみやかに公開するものとする」という条文があるのだろう。

 その判決は「県の不作為状態は長期かつ原告に公開日時の具体的な予測をも得させないものなので、公開の具体的義務の履行期は到来しているものと評価されてもやむをえない」と原告の主張を認めている。
 つまり、「すみやかに」というところの期限は到来しているので、行政処理を放置してはいけないとの判断だ。

 ただ、その都度、司法に訴求し、判断を下されなければ、立法では「すみやかに」は修飾語のままだろう。


時間的速度の用語

2011-01-30 11:51:24 | Weblog
 時間的速度を表わす法律用語は、「直ちに」、「遅滞なく」または「すみやかに」である。

「直ちに」は、時間的速度が最も速い。消防法第22条に「…気象の状況が火災の予防上危険であると認めるときは、その状況を直ちに…通報」とある。最優先で取り組めということだ。

「遅滞なく」は、「直ちに」よりやや速度が緩和される。裏返しに言えば、他に優先させる正当性や合理性があれば遅滞が許されることになる。やはり消防法の第24条に「…火災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署…に通知」とある。火災の通知よりも火中の人を助けるほうが先ということもある。同じ法律の中の条文でも使い分けしているのだ。

「すみやかに」は、速くすることに違いはないが、遅れたからといって不当や違反にならない。いささか修飾語的な用法である。かつて自民党の選挙パンフレットに「速やかに景気回復」とあった。これでは法的には景気が回復しなくても公約違反とはいえない。それを承知の上の文言ではないかと邪推したものだ。

 ところが、この「すみやかに」もおろそかにできない司法の判断があった。それは次回で。


JALのロゴマーク

2011-01-29 10:55:03 | Weblog
 JALのロゴマークだった「鶴丸」のデザインが復活するそうだ。
 今日の話は、以前にこのブログで書いた気もするので、繰り返しになるかもしれない。

 今は昔、ロスからニューヨークに向かう機内で、手慰みに折り鶴を折っていた。スチュワーデスがやってきて「これはなんですか」と訊いた。
 実は、鶴の英単語を知らなかった。そこで、とっさに「ジャパン・エアラインズ」と言って、両手を頭の上で輪を作った。例の鶴丸のつもりだ。
 スチュワーデスはすぐに応じた。「おお、クレーン」

 起重機をクレーンというのはそういうことだったかと知った。上下に動く鶴の形に似ているわけだ。

 その後、空港で時間つぶしに折った折り鶴を女の子にあげると、子どもたちから私にも私にもとせがまれた。クレーン車なみに首を上げ下げして必死に折ったことが思い出される。

欄間

2011-01-28 13:11:38 | Weblog
 毎日、寒い日が続く。それで、部屋にこもることが多い。ところが、こもっている二階の部屋は容易に暖まらない。隣の部屋とはふすまで仕切っているのだが、鴨居の上は欄間だから密閉とならないのだ。

 欄間は装飾の意味合いが強いと思うが、換気の利点もあろう。風通しがよければ家自体の健康にもよいのだろう。反面、暖気が抜けて困る。人気のない部屋まで暖めることはないのだ。
 わるいことに、家の構造上制限された壁に取り付けたエアコンはそっぽを向いている。温風が攪拌されて部屋の温度が上昇するまで効率が低い。

 窮余の一策で、欄間に古新聞を張りめぐらした。みっともないが「花より暖気」というわけ。どうせ二階に上がってくる者はいない。夏になれば「花より寒気」となろう。


修飾語と被修飾語は直結

2011-01-27 14:14:46 | Weblog
 昨日、「長い修飾語を先に」が原則であると述べた。
 そこで、ついでを言えば、「修飾語は被修飾語と仲良くさせる」ことも原則だ。つまり、両者を接着させるということである。

 「ステキな洋菓子屋のケーキを作っている娘」という文があったとする。すんなり読めますが、「ステキな」という修飾語は何に係るのかはっきりしていない。被修飾語は洋菓子屋かケーキか娘か判然としないのだ。

1. 「娘がケーキを作っているステキな洋菓子屋」なのか。つまり、被修飾語は洋菓子屋となる。
2. 「洋菓子屋の娘はステキなケーキを作っている」あるいは「娘のいる洋菓子屋はステキなケーキを作っている」なのか。どちらにしても主題はケーキそのものだ。
3. 「洋菓子屋のケーキを作っているステキな娘」なのか。これは娘がステキなのだ。
 
  文の主旨は娘にあるようだから、3の文のように接触させたいということである。