念版屋スケッチブック

日々のスケッチ、星のメモ帳

『草迷宮』に見る寺山修司の才

2017年07月18日 | お勉強

 

 ネットで拾ってきた洋画を整理していると、SYUUJI TERAYAMA という文字を発見。

フランスの“Private Collections 1979”というタイトルがついた 3人監督によるオムニバスのような作品ですが。

真ん中に寺山の作品をはさみ、前後に(エロ系に近い)二作品。

この二作品の真ん中にあったので今まで見過ごしていた。

エロ系?の初めの作品を飛ばして、次の寺山らしき作品に思わず眼が行ってしまった。
画質はそれほど良くありませんがフランス版のノーカット版(映像)、音声はイタリア編が見られた。

『草迷宮』のオリジナル版のようです。

 

 

大駱駝艦(らしい)の男が寺の柱に座って縛られている場面から始まった・・・全裸で足で隠してはいるが男性陰部が一部露呈している。

私が拾ってきたものはイタリヤで焼き直したか女性のイタリヤ語のナレーションが日本語版に覆いかぶさり、初め少しは日本語が聞こえるがその後はイタリヤ語の抑揚のないナレーションに代わる。

そのためかセリフより映像と音楽によるテンポ良い展開が気持ちよく続く。

イタリヤ語のナレーションは何を言っているかわからないが・・・なぜか笑いを誘う。

 

だいたい日本のテント劇場系は(全部見ているわけではありませんが)・・・陰陽で分けると陰系の後味である。

それは映倫とか、ポルノ禁止とかいろいろ制約がある中で作るとどうしても隠す・・・浮世絵や豊穣の女神(土偶)などに見るおおらかさや太陽を感じる陽の部分が欠如するからではないでしょうか。

大島渚の「愛のコリーダ」ほどの露出度はないが、ぼかしもなく自然に少年の性器なども一瞬見える。

大駱駝艦などの演技というより踊り(舞踏)やJ.A.シーザー(外人かと思ったが日本人でした)によるリズミカルな音楽、また鈴木達夫による映像は幻想的で美しい。

この寺山修司の作品(映画)を初めて見て寺山修司は『天才』だを思ったが、見終わって少し調べてみると5、6本映画を作っている。

この前の作品『田園に死す』をAmazonで注文して取り寄せ見てみたが・・・
ぎこちなく、粗野でせっかくの豪華俳優を使っていても素人作品に終わっている。この『田園に死す』の焼き直し版のように思えますが制約のない海外での発表なのでセリフより全体のテンポ、
映像の美しさに重点をおいたのではないか・・・

これだけの才を見せられると早く死んだのが惜しまれる。

このおおらかさ、明るさは(陰的な部分も強烈ですが)・・・自分の中にも取り入れたいという願望もあり、寺山の詩集などを取り寄せ読み始めています。

それに理解できるかどうか分かりませんがついでに泉鏡花の作品(文語体)も4,5冊注文した。


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