散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

イスラム国を考える~Foreign Affairs Japan News Letter(1/30)

2015年02月06日 | 国際政治
イスラム国を考える」を特集している(1/26)。欧米の専門家・有識者がどのように考えるのか。多様な意見は問題の深さを垣間見ることができる。

イスラム国に参加するトルコの若者たち
        ―過激化するトルコ社会」
 (フォーリン・アフェアーズ リポート 2014年12月号)
ギュネス・ムラット・テズクール ロヨラ大学准教授(政治学)
サブリ・シフチー カンサス州立大学助教(政治学)

約千人のトルコ市民がイスラム国に、数百人がシリアのアルカイダ系組織・ヌスラ戦線に参加しているとメディアは伝えている。だが、トルコとシリアの国境管理がずさんであることを考慮すれば、こうした数字はトルコへのジハード主義の浸透、そしてリクルートの実態を過小評価している。

驚くべきは、トルコからシリアへ向かったジハードの戦士の多くは、貧困に苦しむ、社会から隔絶された若者たちではないことだ。彼らは安定した家族のなかで育まれ、力強い共同体のネットワークのなかで暮らしてきた。

どう考えても、トルコでは非常に特異的な何かが進行している。これは、公正発展党(AKP)が中核的な支持基盤にアピールし、より敬虔な社会を実現しようと、イスラム組織を資金援助したことと関係がある。イスラム主義の社会的活動が盛んになっただけでなく、そのなかで、過激主義も育まれてしまったのだ。・・・

イスラム国のアジアへの拡大
ジョセフ・リョー・チンヨン ブルッキングズ研究所 シニアフェロー
 (フォーリン・アフェアーズ リポート 2014年11月号)
東南アジア諸国がもっとも警戒しているのは、国内のイスラム教徒がイスラム国のイデオロギーに感化されて中東に渡り、イスラム国の一員として戦い、最終的にその過激思想をアジアに持ち帰ることだ。

すでに、世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシア政府は、50人以上がシリアとイラクで戦闘に参加していることを確認している。マレーシアからは30―40人がイスラム国に参加しているとみられる。しかも実際の数はこれよりもはるかに多い可能性がある。

なぜイスラム国に魅了されるのか。一つには、イスラム国の活動に「終末のカリフの国」が誕生するというコーランの予言とのつながりを彼らが見いだしているからだ。「イマーム・マフディ(黒い旗を掲げて戦うとされるイスラムの救世主)の勢力と、ダッジャール(偽預言者)の間で終末戦争」が起きるという予言に彼らは現実味を感じている。

イスラム国と中東の未来
エド・フサイン 米外交問題評議会シニアフェロー(中東問題担当)
ジャニーヌ・デビッドソン 米外交問題評議会シニアフェロー(国防政策担当)
 (フォーリン・アフェアーズ リポート 2014年10月号)
空爆でイスラム国の勢いは止められるかもしれないが、粉砕することは不可能だ。イスラム国がシリアに聖域をもっていることも考えなければならない。イスラム国の問題を簡単に解決する方法はなく、長期的なアプローチをとるしかない。これまでの経験からみて、10-15年という時間が必要になるだろう。
 (J・デビッドソン)

われわれはイスラム過激主義に魅了されるのは愚かで、社会から孤立したアブノーマルな人物だと考えがちだが、彼らは自分のことを過激派とは自覚していなし、アブノーマルだとも考えていない。むしろ「自分はいたってノーマルだ」と考えている。神の期待に即した活動をしていると信じているからだ。
 (E・フサイン)

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