翌朝は梅雨の晴れ間になりました。明け方少し前の白山がホテルの窓から見えて、薄く赤くなっていました。
朝食会場の最上階からの眺望はこれ。
文字通り、モンブラン、モンテビアンコです。
ホテルの前に「あさがおテレビ」社屋がありました。
市役所に立ち寄って、ジオパーク専門員の方に乗ってもらって車中で沿道の説明を話していただきました。
山に向かってゆるい坂道を上り、不老橋に到着。
手取峡谷の名所です。
切り立った崖から何本かの滝が流れ込んでいます。
橋の真下には、甌穴(おうけつ)と呼ばれる大きな穴がえぐられた岩が見えました。岩のくぼみに捉えられた小石が水流でくぼみの中を転がって穴の壁を削り、何十、何百年かの時間によって大きな穴に成長したものです。この甌穴は、成長しすぎて、割れてしまっています。
今回は時間の都合で、これより上流にはいけませんでした。上流には手取川ダム、白峰地区(重要伝統的建造物の町並み、養蚕業)、白山への登山口、白山白川郷ホワイトロードがあります。
また、化石が多種類発見された桑島化石壁があり、恐竜の骨も産出しています。行けなくて残念。
橋から少し下がってきた場所に、御仏供(おぼけ)杉がありました。(国指定天然記念物)
樹齢680年と伝えられる杉で、枝を横に広げた特異な樹形をしています。
別名、さかさ杉。
次に向かったのは、
水力発電所。「福一」と略称されていますが、福島第1のことではありません。
手取川水系を利用した水力発電所で明治44年に造られました。
レンガ造りの建物が美しく残されています。
建物の中は普通は見学できませんが、今回特別に北陸電力の担当の方に案内していただきました。
ヘルメットを被って入ります。
通常はこの地域の制御センターからの遠隔監視と運転だそうです。
発電形式(落差を得る方法):水路式
発電方式(水の利用方法):流込み式
出力認可最大出力:3900kW 常時出力: 850kW
水力発電の方法に、流れ込み式というのがあって、ダム水門で水流を止めたり流したりするのではなく、水路で流れてくる水を常時使って発電するということを、初めて知りました。
つまりこの方式では、消費量ピークの時間帯だけ発電するのではないのです。
手取川は日本でも有数の上流から海までの落差の大きい急流河川だそうです。そのため、大きなダムとしては手取川ダムしかないのですが、途中にいくつも取水堰があって予想以上に多くの小規模水力発電所群があります。川の土砂が取入口に堆積することが弱点で、何年か経過すると重機で取り除く必要があります。
発電機には水車が必要ですが、その羽根の摩耗の仕方が他の川よりも激しいとのこと。理由はこの川の砂には石英の成分が多く、それが硬いのですり減りやすいと説明されました。
過去には。何度か大洪水があって、この建物も相当浸水してしまいました。現在では大きなダムができているので水害は発生しません。
~ 追記 2017-06-18 ~
レンガの積み方を書いておきます。
この建物は明治時代後期の建設ですが、「イギリス積み」が採用されています。レンガの段毎に長手と小口が側面に現れています。・・他にはフランス積み(あるいはフランドル積み(ベルギーの一部):同じ段に長手と小口が交互に現れる)などがあります。 参考:全愛知県赤煉瓦工業協同組合web
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手取川水系には、22ヶ所の発電所があり、1年間の発電量は約16億kWhで石川県内の必要な電力量の約1/6にあたります。