人類学のススメ

人類学の世界をご紹介します。OCNの「人類学のすすめ」から、サービス終了に伴い2014年11月から移動しました。

分子人類学の本19.遺伝と人間

2014年05月04日 | K1.分子人類学の本[Molecular Anthropo

Dobzhansky1973

遺伝と人間 (1973年)
価格:¥ 756(税込)
発売日:1973

 この『遺伝と人間』は、元カリフォルニア大学の遺伝学者のテオドシウス・ドブジャンスキー(Theodosius DOBZHANSKY)[1900-1975]さんが書いた分子人類学の教科書です。原題は『Heredity and the Nature of Man』で、直訳すると「遺伝の人類の自然」となるでしょうか。1964年に原著が出版され、1973年に杉野義信さんと杉野奈保野さんによる翻訳で、岩波書店から出版されました。

 ドブジャンスキーは、1900年にロシアで生まれキエフ大学を卒業します。当時のロシアは激動期で、1927年にアメリカに移住してコロンビア大学でトーマス・ハント・モーガン(Thomas Hunt MORGAN)[1866-1945]の下で遺伝学を研究します。モーガンは、ショウジョウバエを使って実験を行っており、染色体の研究により、1933年にノーベル賞を受賞しました。モーガンが1930年にカリフォルニア工科大学に移籍すると、ドブジャンスキーも一緒に移籍しています。その後、コロンビア大学・ロックフェラー研究所等で研究を続けました。

 本書の内容は、以下のように、全5章からなります。

  1. 遺伝とは何か
  2. 人間の多様性
  3. 人種
  4. 遺伝的負荷と放射線障害
  5. 人類の行くえ

 本書は、出版されてからかなりの年月が経っており内容も古くなっていますが、当時の考え方が伝わる点で参考になります。


最新の画像もっと見る