人類学のススメ

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人類進化の本8.ネアンデルタール・ミッション

2009年08月07日 | E5.人類進化の本[Human Evolution:Jap

ネアンデルタール・ミッション―発掘から復活へフィールドからの挑戦 ネアンデルタール・ミッション―発掘から復活へフィールドからの挑戦
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2000-02

 この本は、高知工科大学の赤澤 威先生が、長年にわたって、西アジアでネアンデルタール人の遺跡の発掘調査を行い、1993年にシリアのデデリエ洞窟でネアンデルタール人骨を発見し、復元するまでの物語を書かれたものです。2000年に、岩波書店から出版されました。

 西アジアでの発掘調査は、元東京大学の故鈴木 尚先生を団長に、「東京大学西アジア洪積世人類遺跡調査団」という組織で行われてきました。この調査団は、以下のように第6次まで継続して行われました。

  • 第1次調査:アムッド洞窟(イスラエル)・1961年4月~9月
  • 第2次調査:アムッド洞窟(イスラエル)・1964年8月~11月
  • 第3次調査:ケウエ洞窟(レバノン)・1967年9月~12月
  • 第4次調査:ドゥアラ洞窟(シリア)・1970年8月~12月
  • 第5次調査:ドゥアラ洞窟(シリア)・1974年8月~11月
  • 第6次調査:ドゥアラ洞窟(シリア)・1984年6月~9月

 私は、1984年の夏、アメリカ留学に行く途中で赤澤 威先生とシリアのドゥアラ洞窟の発掘調査に参加させていただきました。最後の第6次調査で、調査期間は約3ヶ月におよびましたが、残念ながら人骨は出土しませんでした。本書にも、一部、私の名前が出てきます。この本も、出版時に赤澤先生から寄贈していただきました。

 本書の内容は、以下のようになります。

  • プロローグ.ネアンデルタールとわたし
  • 第1章.西アジアへの旅立ち
  • 第2章.シリア砂漠に生きたネアンデルタール
  • 第3章.デデリエ・ネアンデルタールとの出会い
  • 第4章.西アジアの人類史
  • 第5章.変わるネアンデルタール像
  • 第6章.ネアンデルタール像を拓く:デデリエの子供を甦らせる
  • エピローグ.わたしとネアンデルタールのこれから

 この本は、日本人として2番目にネアンデルタール人骨を発見した物語であり、大変、興味深い本です。1番目は、故鈴木 尚先生がアムッド洞窟で発見したアムッド人になります。ただ、見逃してならないのは、赤澤先生も西アジアで調査を始めてから、約30年後にようやく発見したという点です。


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