石仏散歩

現代人の多くに無視される石仏たち。その石仏を愛でる少数派の、これは独り言です。

115山梨市の丸石道祖神-5-(日下部地区)

2015-11-25 05:56:47 | 民俗

2015年11月のテーマは「山梨市の丸石道祖神」。1日からは、八幡地区を5回に分けて、16日からは、山梨、加納岩、日下部、日川、後屋敷を各地区ごとに分けて掲載します。
各地区は、昭和29年、合併して旧山梨市になる前の町村です。なお、岩手地区は、日程の都合で取材していません。

日下部地域は、昭和29年合併して旧山梨市になる前の日下部町。

山梨市の中央部で市役所周辺、JR東山梨駅北側一帯。

▼下井尻424番地路傍

台石に珍しく石工銘が彫られている。

「高遠 石工浅次郎」。

私にもブランド信仰があると見える。

「おっ、高遠の・・・」

それとなく風格がありそうに見えるから面白い。

▼下井尻776番地 西上組道祖神場

この道祖神場のどんど焼きについては、ブログ「山梨県峡東地域の道祖神祭」http://www.digi-ken.org/~archive/kyoto_dosojin.html#simoijiri

に詳しく載っています。「NPO地域資料デジタル化研究会デジタルアーカイブ」の許可を得て、写真と文を紹介します。

山梨市下井尻西上組・どんど焼き

 山梨市下井尻のどんど焼き行事では、「おこや」と呼ばれるわら小屋を作る。同地区の西上組では、伝統的に中学生以下の子供達が組内の家庭を回り、小屋の材料となるわら、竹、薪(ここでは「もしき」と呼ばれる)をもらい集める。この作業を昔は、「木勧進」(「きっかんじょ」と呼ぶ)といったが、現在では、「きっかんじょ」は小正月の前の晩に、組内の家庭を回り、祝い言葉を申して、金銭をもらって歩くことの意味に使われる。祝い言葉は以下の様である。
 「きっかんじょ、きっかんじょ、お祝いもうせ。家内安全、農業繁盛(または商売繁盛)」
 小屋作りのリーダーは「親方」と呼ばれ、中学3年生から選ばれる。親方は、小屋作りの指揮をするほか、きっかんじょで得た祝い金の分配を行う役目もする。

山梨市下井尻西上組の道祖神は、丸石の数の多さと礎石の石組が大きいことで知られる。「おこや」と呼ばれるわら小屋は、道祖神隣の「道祖神場」という専用の空き地が確保されている。
 おこやは、切り妻式で、昭和30年代頃までは、内部にいろりを設けて、餅をやいたり、甘酒を暖めて呑んだり、遊びの場となっていた。現在は、どんど焼きの火勢を強めるため、果樹の剪定枝を詰め込んでいる。

 

 

 山梨市下井尻西上組のどんど焼き行事を記録に残した。(平成13年1月14日夜撮影)

おこやが燃え上がる瞬間

 提供・「NPO地域資料デジタル化研究会デジタルアーカイブ」

 

▼七日市場 辻四つ角 辻組道祖神場

台石も自然石なのは、珍しい。

丸石は加工してあるように見えるがどうだろうか。

▼七日市場664番地 下組道祖神場

逆光の分かりにくい写真だが、この広い空地は祭場専用。

ドンド焼きも火災の心配なく盛大にやれそうだ。

丸石が枠に収まり切れずに転げ落ちている。

それでも丸石を見つけるといそいそと車で持ち帰るんだろうな、この辺の人は。

この「山梨市の丸石道祖神」を初めから読んでくれた人は、お気づきだろうが、燈籠の竿は穴だらけ。

縁石にも穴がある。(「凹み穴」については、当ブログNO44-45、56-60をご覧ください)

市井の石造物なら気兼ねなく穴を穿った、その証拠ではないか。

▼七日市場 七日市場公会堂前中組道祖神場

数ある丸石神の中で、この丸石神が最も有名かも知れない。

なにしろ直径120㎝の巨大自然丸石。

県内最大というから、当然、日本一ということになる。

どこにあったものか。

見つけた者たちの欣喜する姿が目に浮かぶようだ。

ここ七日市場の3組の道祖神祭は、市内でも盛況でオコヤも精巧で傑作だと評判が高い。

祭の写真があるのでお借りした。

七日市場公会堂前の道祖神は、日本全国でも最大級の丸石道祖神をご神体とする。直径110cm、高さ95cmの安山岩自然石が安置されている。

七日市場のどんど焼きでは、わら小屋を作らず、丸石のご神体に常緑樹の枝を飾る。提供・「NPO地域資料デジタル化研究会デジタルアーカイブ」

▼七日市場 石島公会堂北側 石島組道祖神場 

 中組と同じように、丸石神を包むようにオコヤを作っている。

 

  写真提供・「NPO地域資料デジタル化研究会デジタルアーカイブ」5372

こうした立派な小屋を、大人と子供が共同して建て、ドンド焼きで燃やすーそうした年中行事がある日下部の人たちを心から羨ましく思う。

▼小原東 日下部小学校北東の

丸石神と蚕影神がまるで夫婦のように寄り添って祀られている。

養蚕はもうなくなったのだから、蚕影(こかげ)神を祀る必然性はないわけだが、丸石神のある所、蚕影神ありと人々の頭にはセットで刷り込まれているようだ。

▼小原東 朝日天神社

神社の細長い境内の隅に雑然と丸石が積まれている。

台石なのか、丸石神なのか、いささかはっきりしない。

1個の方が神威があるように私には見えるが・・・

 

◇参考図書 

 〇『山梨市史 民俗編』平成17年

 〇市史編纂委『山梨市の石造物』平成13年

 〇中沢厚『山梨県の道祖神』昭和48年

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿