石仏散歩

現代人の多くに無視される石仏たち。その石仏を愛でる少数派の、これは独り言です。

126 成田街道の石造物ー8-

2016-12-16 08:00:08 | 街道

本町通りの南側本町3丁目は寺町だが、北側の本町4丁目には、神社が多い。

森田呉服店からほんの20-30m東にあるのが、

◇厳島神社(本町4-35)

祭神の三女神は、海女を支配した宗像氏の祖先神で、海上交通の守護神として海老川沿いの回船業者や漁民の信仰を集めて来た。(宮原武夫『船橋市の歴史散歩』より)

狭い境内には、石造物は、燈籠、手水鉢、社殿再建記念碑、狛犬の定番があるのみ。

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次の信号を左折すると正面に朱色の鳥居が見えます。

◇御蔵稲荷神社(本町4-31)

「御蔵」は、飢饉に備えて幕府が建てた穀物倉庫。

3度の大飢饉もこの御蔵のおかげで切り抜けられたと謝恩の意で建てられた神社。

神社の由来の説明板になぜか、河童の銅板画が嵌め込まれています。

帰宅して調べたら、海老川には、昔から河童伝説があるのだとか。

尻に青黒い印をつけておけば、河童に襲われないのだそうです。

◇東照宮(本町4-29)

家康、秀忠親子が鷹狩りのための休憩・宿泊施設として慶長年間に建てたのが、船橋御殿。

その跡地に、家康を祭神とした東照宮が建てられた。

全国に500社ある東照宮の中で、最小と言われている。

◇道祖神社(本町4-31)

道祖神だから村境にあったのだろうが、繁華街のど真ん中で、そうした意味合いを探すのは難しい。

石仏としての道祖神は見当たらなくて、覆屋には、馬頭観音と愛染明王がおわします。

特に愛染明王は、逸品。

犬か狼か、珍しい狛犬と思ったら、三峯神社が境内社でした。

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旧道に戻り東へ行くとすぐ海老川にぶつかります。

◇海老川

   川の左が五日市村、右が九日市村

宿場があった川の西側は、九日市村。

東は、五日市村でした。

橋の欄干から船の舳先が突き出ている。

港として賑わっていたシンボルでしょうか。

海老川の両岸には倉庫蔵が立ち並び、川は物資を積んだ廻船で混みあっていました。

もちろん人の往来も激しく、船橋―日本橋間は、順風で2時間、昭和初期でも毎日2回の定期船が走っていた。(『船橋の歴史散歩』)

海老川を渡ると先方に木々の茂みと鳥居、鳥居の奥に急な石段が見えてきます。

◇意富比(おおひ)神社=船橋大神宮(宮本5-2-1)

石段を上がる。

実は、ここは裏門で正門は、京成大神宮下駅側にある。

裏門を上がるとさっき海老川橋で見たのと同じ船の舳先が突き出た境内社がある。

舟玉神社。

船橋の漁師たちから、篤い信仰を寄せられる神社なんだそうだ。

漁師の信頼を集めていたといえば、灯台として機能していた灯明台をあげなければならない。

船橋の歴史から戊辰戦争は外せないが、その市川・船橋戦争で、幕府軍がこもった大神宮は、官軍の大砲攻撃で炎上、灯明台も焼失した。

明治13年(1880)に再建され、明治28年まで、24mの高さから船橋海岸6海里(11キロ)先まで照らし続けていた。

社務所横の境内社の列に石塔が1基。

これも漁師がらみの石塔です。

「東西二十間
 永代敷石講 六人網元中」

敷石寄進はめずらしくないが、それが「六人網元」となると、がぜん漁師村の船橋らしくなる。

六人網とは、六人の漁師が三艘の舟に分乗し、二艘が広げた巻き網に、一艘が船べりや水面を叩いてイワシの魚群を追い込む漁法のこと。(『船橋の歴史散歩』)

石塔の寄進者銘から、万延元年(1860)、船橋には23人の、六人網元がいたことがわかります。

広い境内には、台石を重ねた高い燈籠が何対かと、記念碑が何枚かあるだけで、これと云って特に注視すべき石造物はない。

百度石が、忘れ去られたように参道の脇にあるので、パチリ。

船橋市全体でも、百度石は、これを含めて2基しかないのだそうです。

いつ行っても清掃が行き届いていて、清々しい気分になれる神社です。

 

 

 次回更新日は、12月21日です。

≪参考図書とwebサイト≫

 〇湯浅吉美『成田街道いま昔』成田山仏教研究所 平成20年

 〇山本光正『房総の道 成田街道』聚海書林 昭和62年

 〇川田壽『成田参詣記を歩く』崙書房出版 平成13年

 ▽「成田街道道中記」

 http://home.e02.itscom.net/tabi/naritakaidou/naritakaidou.html

 ▽「百街道―歩の成田街道http://hyakkaido.travel.coocan.jp/hyakkaidoippononaritakaidou.html

 ▽「街道歩き旅 佐倉・成田街道」

 http://kaidouarukitabi.com/rekisi/rekisi/narita/narita.html