福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

秩父三十四所観音霊験圓通傳 秩父沙門圓宗編・・15/34

2023-10-15 | 先祖供養

 

秩父三十四所観音霊験傳 巻第三

第十五番 母巣山蔵福寺。御堂五間四面南向。

本尊十一面觀音 立像御長一尺二寸五分(約40㎝) 定朝作

 

當寺本尊は、其始近江國坂本に坐せしを、同國堅田の商人守り奉り、此地に來て安置しける。其來由を尋るに往古江州に疫疾大に流行、牛馬に至る迄其災いを脱れず。一國の憂上下の悲嘆、上古にも斯の如き例 を知ずと云あへり。定朝深く是を愍み丹心に祈て觀音を彫刻し奉、國中の人民に拜ませけるに、旱に雨を得たる如、病者悉く快然たり。理成哉、十一面觀音は能熱病を治し給ふの誓有て、瓶水を持て給へり(佛説十一面觀世音神呪經「一切蠱毒一切熱病無能侵害」)。泰澄大師帝都に於て疱瘡流行し時、此尊の秘法を修し給へば、國中の民夭死を免れたり(「泰澄和尚伝記」)。南都二月堂の牛王にも、南無頂上佛面除疫病と云へり。瘴煙消除の本尊なる事、是等を考へて知るべし。仁壽殿の御本尊も十一面の像なる由、定珍抄に見へたり。其頃堅田の商人、越前の國へ行て湯尾峠を通けるに、其姿いと奇怪なる者十餘人通けるが、其物語するを聞に、今歳は江州の人種を盡さんと謀しに、定朝が十一 面の像を作て防しに依てかなわず、是より東の方に至らばやと云。一人が曰、吾も左は思へど、若亦彼 觀音を東國に移して結縁せば如何せん、吾黨は高麗大唐へや漂泊べき、あな心憂き業也けるとつぶやき通る。商人是を聞て大に怖畏して本國へ立皈、國民に告ぐ。定朝則此像を商人に授て、速に東國へ赴き 有縁の地に安置すべしてと命ぜらる。商人則此像を負て東國に至り、此處に知音の者有て尋問ける折から、此母巣の森に至て負たる本尊盤石を荷へるが如、さては此處ぞ有縁の境成らめと、知音の里人に語れば、里人曰、此境は圓通大士(首楞嚴經序「觀音之圓通」)有縁の地にて數ヶ處の霊場郡中に羅列せり、最此處安置すべき處ならん と。則此事を領主に訟へければ、領主随喜して御堂を造立して永く此地に止め奉れり。此處に尼が池、 柳島、若獅子山など云處有、何れも故有地名也。中にも尼が池は河伯年々人を害しけるが、尼の形に化して本尊を拜し上天せし舊跡也とぞ。詠歌に曰

「嬰子の母その森の蔵福寺 父諸ともに 誓頼もし」

詠歌の意、嬰児のと云る五文字は 母その森と讀る枕詞ながら(

・永承四年内裏歌合(1049)五番「いかなればおなじ時雨にもみぢするははそのもりの淡(うす)く濃からむ〈藤原頼宗〉」

・成尋母集(1073頃)「ゆきかへりかりこま山をまつほとにははそのもりはちりやはて南」

・秩父神社の鎮守の森は、古くから「柞乃杜」(ははそのもり)と呼ばれた。)女人成仏の意を含り。五障三従(・五障「妙法蓮華經提婆達多品第十二」では巷間以下の様に女人の五障がいわれているが竜女は女人で成仏するといいます。

「女人身猶有五障一者不得作梵天王二者帝釋三者魔王四者轉輪聖王五者佛身」

・三従は『超日明三昧経』下に「少くは父母に制せらる。出でて嫁ぐは夫に制せらる。自由を得ず。長大なるは子に難ぜらる」)の女人だに佛の誓願にて往生をとぐれば、況や男子をやと頼母しく思て本師彌陀の本願を頼むべし。

 

 

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