四国八十八所の霊験その1１６

７７番から78番郷照寺までは７ｋｍくらいです。丸亀市内を抜けていきます。




丸亀城を望む丸亀市内は丁度お祭りでした。花火もあがりなにかわたしの丸亀入りを祝福してくれているように勝手に感じてしまいました。しかしここから先がながいのです。前回も何回も迷いました。町の中はかえって距離感が掴めなくてあせるのです。今回も前と同じようにいけどもいけどもつきません。


そのうちまえにふらふらよろよろしながら歩く若いお遍路さんをみかけました。あまりふらふら歩くのでこれでは遍路のイメージを悪くするなどと勝手に心の中で批判してしまいました。いかに足が痛かろうともっとしっかり歩けないものかなどと思ってしまったのです。

ところが途中でさきのよろよろ歩きの遍路さんが見えなくなりました。ハッとして地図を見ると、細い路地に入らなければならないところを見逃して通り過ぎていたことに気がつきました。勝手に格好悪いなどと批判していたお遍路さんが後姿で案内してくれていたのです。大変恥じ入りました。サラリーマン生活でもこういうことがよくおこるのだろうと思いました。職場の仕事のできない人をパワハラしたりするひとがいますがこういう人は要注意です。自分が迷うことになりかねません。これからも人を無下にさげすむものではない、心しなければと思いました。

78番郷照寺は行基菩薩開基の時宗の寺です。88所中唯一BGMがながれていました。1回目はいやだと思ったのですが、思い直しお経に熱中しました。すると全く苦にはなりません。大師堂では私が読経をはじめるとともに中でご祈祷がはじまりました。２２年のときはさすがにBGMはなくなっていました。


境内からは宇多津の海がみえます ふと「生きている人が成仏できなければ死者も成仏できない。死者が成仏できなければ生者も成仏できない。逆に生者が成仏すれば死者も成仏するのだ。」とおもいました。今は死者も生者も深い迷いのなかです。汚物の中の蛆虫の様に自覚症状もなく嬉しげに終日のたうちまわっています。

坂田徹全法話集に「四国の郷照寺本堂で読経中のこと、近所の人で神経痛で全身不随となった人が毎日身内に助けられて日参していたのが丁度この日結願の日であったという事でした。私たち同行の目の前でそれまで一歩も歩くことのできなかった足が動いて一歩一歩本尊様にむかって歩き始めたのを見たときは感激は一入のものがありました・・」とあります。