福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

心は奥底で万物一つであること

2019-05-25 | 法話
以前から、生老病死にかかわらず、どういう立場でも救われる道があるはずであり、それをお釈迦様もお大師様や各宗の祖師方も古来口を酸っぱくして説かれてこられたのではないかと思っていました。
そしてその救いの道は「心」の働きにあるのではないかと思ってきました。
そしてずっと、その「心」は万民万物共通に深いところでは「一つ」であるという真理が厳然としてあるのではないかと思い始めていました。
今朝も四無量観を修していて、改めて自分の心の奥底は万人共通の心につながっているという感を深くしました。ちょうど井戸を掘るように自分の心を掘っていくと地下水脈がありこれが万物につながっている、とうより万物の心そのものが自分の心でもあったのだという感を持ちました。

・古来「心」はさまざまに探求されてきました。結論からいうと密教では心には無限の深さ広がりがあるということが説かれていました。集合論から言っても無限であるということは当然すべての心が別々ではありえないので、一つでなければならないのです。後に述べる、「高尾口決」、「十地経」等にこれをうらずける記述がありました。

・心の研究では、小乗大乗ともに当初は六識として眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識がとかれてきました。
・後、唯識ではこれに末那識(自我意識)と阿頼耶識を加えて八識説を唱え
・中国の摂論宗では九識説を説き、 前五識(眼識・耳識・鼻識・舌識・身識)第六識(意識)第七識(未那識・マナ識)第八識(阿羅頼耶識・アラヤ識)第九識(阿摩羅識(アマラシキ・根本浄識)としました。
・さらに密教の釋摩訶衍論ではこれら八識に多一識心、一一識心(平等一如を悟る根本智)を加え十識としています。大師は「弁顕密二教論」において「心量に十あり、云何が十と為すや、一は眼識心、二は耳識心、三は鼻識心、四は舌識心、五は身識心、六は意識心、七は末那識心、八は阿梨耶識心、九は多一識心、十は一一識心なり。是の如くの十の中に、初の九種の心は眞理を縁ぜず、後の一種の心は眞理を縁じて而も境界となすことを得る。今、前の九に據って是の如くの説をなして離心縁相という。(また心の計らいには十種類ある。[眼識心]・[耳識心]・[鼻識心]・[舌識心]・[身識心]・[意識心]・[末那識心]・[阿梨耶識心]・[多一識心]・[一一識心]である。この十のうちで、初の九種類の心は真理を思慮することができず、最後の[一一識心]のみが真理を思慮し、しかもこれを境界とすることができる。いまは前説の九種類の心によって"[心縁の相](主観的な思惟の対象)を離れる"というのである。)」と述べられています。
・さらに秘密曼荼羅十住心論第十には大師は「衆生の自心その数無量なり。衆生狂酔して覚せず知せず。大聖彼の機根にしたがってその数を示し玉う。唯蘊抜業(声聞・縁覚)の二乗は但し六識を知り、他縁覚心(法相・三論)の両教は但し八心を示す。一道極無(天台・華厳)は但し九識を知り、釈大衍には十識を説き、大日経王には無量の心識無量の身等を説く。この如くの身心の竟究を知るは即ち是れ秘密荘厳の住処を知るなり。(衆生の心は無限に深い、自心の心の限りない深さを衆生は狂酔して知らない。仏様は機根にしたがってその深さを教えておられる。声聞・縁覚は眼・耳・鼻・舌・身・意の六識を知り、法相・三論の行者は六識に未那識・阿羅頼耶識をくわえた八識を知り、天台・華厳の行者は八識に阿摩羅識をくわえた九識を知り、釋摩訶衍論では十識、大日経では無量の心を説く、このように心身の深さは無量であると悟るのを秘密荘厳の住処を知るという。)」と説かれています。
・これを諸仏を配して空間的にとらえれば、高尾口決に「經云。西北彌勒。東北觀音。今正云。西北觀音。東北彌勒。東南普賢。西南文殊。言四無量時。慈無量彌勒。悲無量觀音。喜
無量文殊。捨無量普賢也。若配九識者。觀音 眼識、 彌勒 耳識、 文殊 鼻識、 普 賢 舌識、 阿閦 身識、 寶生 意識、 無量壽 第七識、 不空成 就 第八識、 央壹佛 第九阿摩羅識」とあります。すなわち阿摩羅識は大日如来であるから万物共通であるとわかるのです。

心の奥底はすべての生きとし生けるものにつながっているとすれば、毎日の自分の心のもち方一つで世界をよくすることもできるはずです。


















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