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福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

観自在菩薩冥應集、連體。巻5/6・31/39

2025-07-10 | 先祖供養

観自在菩薩冥應集、連體。巻5/6・31/39

三十一聖武天皇、解脱上人は観音の化身なる事

聖武天皇東大寺金銅十六丈(約48m)の盧遮那仏を造り大伽藍を建て玉ふ。供養の日に種々の奇瑞ありし中に生まれながら成人まで唖なる人あり、大仏殿落慶の日、天皇の御前に跪きて合掌し、南謨阿利耶嚩盧吉帝湿縛羅耶菩提薩埵耶(なもありやばろきていしっばらやぼうじさとばや)と唱へて掻き消すやうに失せにけり。是南無聖観自在菩薩と云なり。又笠置の解脱上人貞慶、東大寺の俊乗和尚重源両人は道念内に催し慈悲外に普し。人皆佛の思をなしけるに重源和尚は深く観音を信じ玉へり。菩薩の慈悲優劣なしと雖も普門示現の利生悲願は観音大士に過ぎたるはなし。されば生身の観音を拝み奉らんと年来祈念し玉ひけり。解脱上人は厚く釈迦如来を信じ玉ひけり。三世の如来本誓区々なりといえども濁世成仏の導師大恩教主なり。聞法得脱偏に如来の恩徳にあらずと云事なし。然れば生身の釈迦如来を拝し奉らばやと祈誓し玉ひける程に同夜に夢を見玉ひければ、俊乗房は解脱上人は即ち観音なりと見、解脱房は俊乗和尚は即ち釈迦なりと見玉ひけり。斯りければ解脱上人は笠置を出て東大寺へ行玉ふ。俊乗和尚は東大寺を出て笠置山へ赴き玉ふ。両人平野の三間卒塔婆という處にて(般若寺の笠塔婆のこと)行合ひて共に夢の告げを語り互いに涙をながしつつ同じく三礼して契って曰く、先立ちて臨終せん者は自他の生處を示すべしと。而も建久元年(1190年)六月五日の夜解脱上人の夢に重源こそ扶桑の化縁すでに尽きて只今霊山に帰り侍ると示し給ヘリ。夢に驚き急ぎ人を遣はして尋問玉へば、此の暁和尚東大寺の浄土堂にて入滅の由答けるとぞ。凡そ東大寺をば四聖同心の建立といふ(聖武天皇・行基菩薩・良弁僧正と、開眼の導師を勤めた婆羅門僧正菩提僊那)(以上は源平盛衰記巻二十五にほぼ同じ内容)。婆羅門僧正は普賢、行基菩薩は文殊、良弁僧正は弥勒、聖武天皇は観音なりと。されば十六丈の盧遮那仏は華厳の教主即ち中胎の本地法身なり。四聖は四隅の菩薩なり。再興の重源和尚又釈迦の化身なれば寔に偶然にあらず。楞厳経に曰く、我滅度の後に諸菩薩及び阿羅漢に勅して応身して彼の末法の中に生じ種々の形となりて諸の輪轉を度せん。或いは沙門白衣の居士、人王宰官童男童女となり、婬女寡婦姦偸屠販と其の事を同じうして佛乘を稱歎すれども自ら我は眞の菩薩・眞の阿羅漢なりとは言べからず。唯し命終の時に陰に遺付有る者を除くと云ふ。若し自ら我こそ観音地蔵の化身よと名乗る者は衆生を惑乱し大妄語を作す。たとえば人の糞を刻みて栴檀形と為し、香氣を求めんが如し。是の處り有る事無し云々。「首楞嚴經卷第六「我滅度後勅諸菩薩及阿羅漢。應身生彼末法之中。作種種形度諸輪轉。或作沙門白衣居士。人王宰官童男童女。如是乃至婬女寡婦姦偸屠販。與其同事稱歎佛乘。令其身心入三摩地。終不自言我眞菩薩眞阿羅漢。泄佛密因輕言未學。唯除命終陰有遺付。云何是人惑亂衆生成大妄語。汝教世人修三摩地。後復斷除諸大妄語。是名如來先佛世尊。第四決定清淨明誨。是故阿難若不斷其大妄語者。如刻人糞爲栴檀形。欲求香氣無有是處。」)

昔の聖徳太子泰澄聖武如意尼伏見の翁(大和菅原寺(奈良市喜光寺)そばの伏見岡にすみ,3年ものをいわず起きず,ときおり頭をあげて東方に目をむけた。天平8年(736)行基が菅原寺に菩提僊那をむかえたとき,寺にはいって3人で舞をまったという。)教待和尚(教待和尚は智証大師入山まで三井寺を護持していた不思議な老僧、 大師を迎えるとともに、石窟に入り姿を隠した。)行叡居士(京都の清水寺を開いたとされる伝説上の僧)の如きは皆不思議の瑞あるすら尚自ら光を韜み玉ふ。況や今の世の人何ぞ自ら名乗るべけんや。沙石集に記せる東大寺の石切経住( いしひじりきょうじゅう )が我は観音の化身なりとて誓言にて語りければ諸人笑ひしことあり。(沙石集巻一「東大寺の石聖経住が、「われは観音の化身なり」と名乗れども、人信ぜぬままに、おびたたしく誓状するを、ある人、「観音の化身と名乗るを人信ぜすは、神通なんどを現じて見せよかし。誓状こそ無下におめたれ」と言ひければ、「あまりに久しく現ぜで、神通も忘れて侍るものをや」と言ひける。思ひ合はせられて、をかしくこそ。」)この頃世に菩薩堂と号せる大売僧あり。書を著して自ら観音の化身なりと名乗る。こそくなるよりも尚可笑きことなれど、後世の愚人は或ひは實なりとや思ふらん。悲しき事どもなり。豈弁へざるべけんや。

 

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