福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

地蔵菩薩三国霊験記 5/14巻の9/17

2024-08-04 | 先祖供養

地蔵菩薩三国霊験記 5/14巻の9/17

 

九、常燈を犯す罪業の事。

後鳥羽院の御宇文治年中(12世紀後半)に伊予の國河野(愛媛県北条市)と云う所に秦の伊之(これゆき)とて有徳武勇の人あり。因果の道理を能く分別し三宝を敬重す。積善余慶ありて弥よ家も盛(さかる)に願望影の如く應ぜり。常に供佛施僧の営をなしける。爰に或僧法を示すを聞くに一切衆生は無明の中より生を受けて十二因縁に滞り長く流転し出離の道を失ひ二十五有の巷に迷ひぬるは唯心源暗き故なり、されば經の中に燈明の功徳莫大なりと見へたり。或經説かく、燈明は肉眼を明むる智慧の根元なり。又云く、佛前に一燈を供養する人は永く黒闇地獄に堕せずといへり(佛爲首迦長者説業報差別經「若有衆生。奉施燈明。得十種功徳。一者照世如燈。二者隨所生處。肉眼不壞。三者得於天眼。四者於善惡法。得善智慧。五者除滅大闇。六者得智慧明。七者流轉世間。常不在於黒闇之處。八者具大福報。九者命終生天。十者速證涅槃」)。且亦諸佛菩薩の中に未来の引導の師には地蔵菩薩に超侍るはなしと云々。伊之(これゆき)真實に有難く思ひ光孝寺の地蔵尊に参詣して常灯明を供養し奉りけるに寺僧私に此の施を用て伊之が志を欺く事久し。されば佛眼明らかに観照し玉へばにや寺中災難鋒起して別當俄かに悪瘡出来て終に過去してんげり。現因如是未来の悪報云ばかりなし。或は爐炭の中に身を苦しめ、鐵舂(てつきゅう)に入り呵責せらる。此の時に當って後悔すれども益なし。別当一心に地蔵尊を念じて願くは今度ばかり娑婆に還して給はれ、若し蘇生あらば斎戒持律の行人となりて一切衆生に此の業因を知らしめんと掌を合せける所に薩埵来臨ありて、我に値遇の縁ありとて閻王に乞玉へば速やかに許し給ふ。故に薩埵南方に指し給ふかと思へば生活(いきかへり)侍る。人心付きて泣血して語りぬ。聞者悉く信を起こしけると云々。此の事を聞くにつけて佛前の灯明を汚し或は光明をかりて私用を行ふ事なかれ。常灯の邊には諸天常に影向し魔障さらになしと經説分明也。又法華經には、一香燈を供養すれば皆佛道を成ずと説き玉ふ(妙法蓮華經分別功徳品第十七「若以華香瓔珞幢幡繒蓋香油酥燈供養經卷。是人功徳無量無邊。能生一切種智」)。譬喩經には、諸佛菩薩に燈明を供養せし功徳に依りて身は十方國を照らし現在未来の利益を受ることを説く。せめて供養するまでにそあらねずとも光明を見てなどか敬信なからんや。

引証。本願經偈に云ふ、吾地蔵の威神力を観ずるに恒河沙劫に説くも盡し難し。見聞瞻禮すること一念の間もせば人天を利益すること無量の事あらん。若しは男、若しは女、若しは龍神報盡きて應當に悪道に墜つべきに至心に大士の身に帰依せば壽命轉増し罪障を除く(地藏菩薩本願經見聞利益品第十二「爾時世尊而説偈言 吾觀地藏威神力 恒河沙劫説難盡 見聞瞻禮一念間 利益人天。無量事若男若女若龍神 報盡應當墮惡道 至心歸依大士身 壽命轉増除罪障」)。

 

 

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