福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

金光明最勝王經・全訳・・25/32

2020-01-25 | 諸経
金光明最勝王經・全訳・・25/32
金光明最勝王經・除病品第二十四(流水長者(次の流水品で有名)の父・持水(医者)が医術の秘法を説いた品で古来印度医学の重要文献とされる。)
佛、菩提樹神善女天に告げたまはく「諦聽諦聽。之を善思せよ。是の十千天子の本願因縁を今汝が為に説かん。善女天よ、過去無量不可思議阿僧企耶劫、爾時に佛ありて世に出現す。名て曰く寶髻如來應正遍知明行足善逝世間解無上士調御丈夫天人師佛世尊と。
善女天よ、時に彼の世尊は般涅槃の後、正法滅し已りぬ。像法中において王あり、名曰く天自在光と。常に正法を以て人民を化すこと猶し父母の如し。是の王國中に一長者あり、名て曰く持水と。善く醫明を解し八術に妙通し衆生病苦四大不調咸く能く救療す。善女天よ、爾時、持水長者に唯だ一子あり、名曰く流水と。顏容端正にして人の樂ひ觀る所なり。性を受くること聰敏、諸論を妙閑(よく習う)し書畫・算印・通達せざるなし。時に王國内に無量百千諸衆生類あり。皆
疫疾に遇ひ衆苦所逼乃至歡樂之心あることなし。
善女天よ、爾時、長者の子流水は是の無量百千衆
生の諸病苦を受くるを見て大悲心を起こし如是の念を作す。無量衆生諸極苦のために逼迫する所となる。我父長者は、雖醫方を善くし八術に妙通し能く衆病四大の増損を療ずといえども然も已に衰邁老耄虚嬴し扶策を假りて方に能く歩を進む。復た能く城邑聚落に往きて諸病苦を救ふあたわず。今、無量百千衆
生あり。皆重病に遇ひ能く救ふ者なし。我今當に大醫父所に至り、治病醫方祕法を諮問せん。若し解すること已りなば當に城邑聚落之所に往きて、諸衆生の種種の疾病を救ひ、長夜に安樂を得受せしめん。時に長者、子の是の念を作し已りて即ち父所に詣で稽首禮足合掌恭敬し却きて一面に住し、即ち伽他を以て其父に請ふて曰く
「慈父、當に哀愍せよ 我衆生を救んと欲し
今諸醫方を請ふ 幸に願くは我爲に説け
云何が身衰壞し 諸大(地水火風の四大)増損あるや
復た何の時中に在りて 能く諸疾病を生ずるや
云何が噉飮食して 安樂を受くることを得て
能く内身中に火熱をして衰損せざらしむるや。
衆生に四病あり 風・黄熱・痰癊(たんいん・胆汁質の病)及び總集病なり。
云何が療治するや。
何時にか風病起り 何時にか熱病發し
何時にか痰癊動き 何時にか總集生ずるや。
時に彼の長者、子の請を聞き已り、復た伽他を以って之に答て曰く
「 我今古仙の 所有る療病法により
次第に汝が為に説かん 善く聽き衆生を救へ
三月は是れ春時 三月は名て夏と為す
三月を名て秋分となし 三月は謂く冬時なり。
此は一年中に據りて 三三を別説せるなり。
二二を一節と為せば一年は六時期となる)便ち歳六時を成ず(二か月を一季節となせば一年は六節)
初二は是れ花時 三四は名て熱際となし」
五六は名て雨際となし 七八は謂く秋時なり
九十は是れ寒時 後の二を名て氷雪となす
既に如是に別を知る 薬を授て差たがはしむること勿れ
當に此の時中に随ひて飮食を調息し
腹に入れて消散せしむべし 衆病則ち不生なり
節氣若し變改せば 四大も推移あり
此時に藥資なければ 必ず病苦を生ず
醫人は四時を解し 復た其の六節を知り
身七界を明閑にし 藥を食するに差はしむるなかれ
謂く味界・血肉・膏骨及び髓腦なり。
病が此の中に入る時は 其の療ずべきや不やを知れ
病に四種の別あり 謂く風・熱痰・癊・
及以び總集病なり、 應に發動の時を知れ
春中には痰癊動き 夏内には風病生じ
秋時には黄熱増し 冬節には三倶起す
春は澁・熱・辛を食し 夏は膩に・熱・醎(かん・からい)・醋(じゃく・酢のこと)、
秋時には冷・甜(かん甘)膩(に・あぶら)
冬には酸・澁・膩・甜。
此の四時中に於いて 服藥及飮食、
若し如是の味によらば 衆病由って生ずること無し
食後の病は癊(いん・心臓の病気)に由る 食消の時は熱により
消後は風に由りて起こる 時に准じて須く病を識れ
既に病源を識り已らば病に隨て設藥し
假令へ状殊(症状)を患ふとも 先ず須らく其の本を療ぜよ
風病は油膩(滋養)を服し 患熱は利(便利)を良と爲す
癊病(胸の病)は應に變吐すべし 總集は三藥(以上三つ)を須もちゆ
風・熱・癊、倶に有る 是を名て總集となす
病の起る時を知ると雖も 應に其の本性を觀るべし
如是に觀知し已りて 順時に授藥せば
飮食と藥と差たがふこと無し 斯を名けて善醫者となす
復應に八術を知れ、諸醫方を總攝するなり
此において若し明閑ならば 衆生の病を療ずべし
謂く、針刺・傷破、 身疾并に鬼神、
惡毒及び孩童、 延年氣力を増す
先ず彼の形色・語言及び性行を觀じ
然る後に其の夢を問ひ 風・熱・癊の殊なりを知る
乾痩にして頭髮少なく 其心は定住無く
多語にして飛行を夢む 斯人は是れ風性なり
少年にして白髮生え 多汗及び多瞋
聰明にして夢に火を見る、 斯人は是れ熱性なり
心定り身平整し 慮審びらかにして頭に津膩(しんに・脂垢)あり、
夢に水白物を見る 是れ癊性なりと應に知るべし。
總集の性は倶に有り、 或は二、或は三を具す
一偏増有るに随ふ 應に知るべし是れ其の性なることを。
既に本性を知り已りて病に准じて授藥し
其の死相無きことを驗して 方に救ふべきの人と名ずく。
諸根倒して境を取り、尊と醫人とに慢を起こし
親友に瞋恚を生ず 是れ死相と知るべし
左眼白色に變じ 舌黒く鼻梁攲(い・そばだつ)して
耳輪舊と殊なり 下脣垂れて下に向ふ。
訶梨勒(かりろく・インド産シクンシ科の高木。果実を風邪・便通などの薬にする)の一種は 具足して六味有り
能く一切の病を除く 忌むことなく藥中の王なり
又、三果(訶梨勒・阿摩洛迦・仳仳得果)三辛(千畳・胡椒・畢鉢)は 諸藥中に得易し
沙糖・蜜・蘇・乳とは 此れ能く衆病を療ず
自餘の諸藥物は 病に随って増加すべし
先に慈愍心を起こして財利を規ること莫れ
我已に汝の爲に療疾中の要事を説く
此を以て衆生を救ひ 當に無邊の果を獲べし」
善女天、爾時、長者子の流水は親しく其の父に八術之
要・四大増損・時節不同・餌藥方法を問ひ、既に善く了知す。
自ら能く衆病を救療するに耐ふることを忖りて、即便ち遍く城邑・聚落所在之處に至り、百千萬億の病苦の衆生有るに随ひて、皆な其所に至りて善言慰喩して、如是の語を作す「我は是れ醫人なり。我は是れ
醫人なり。善く方藥を知る。今汝等が為に、衆病を療治し悉く除愈せしめん」と。善女天、爾時に衆人、長者子の善言慰喩して許して治病を為すを聞く。時に無量百千衆生の極重病に遇ふありて、是の語を聞き已りて身心踊躍して未曾有なるを得る。此の因縁を以て、所有る病苦は悉く蠲除(けんじょ・除く)するを得、氣力充實して平復すること本の如し。善女天よ。爾時に復た無量百千衆生の病苦深重難療治の者あり。即ち共に長者子所に往詣して、重ねて醫療を請ふ。時に長者子は即ち妙藥を以て服せしむ、皆な除差を蒙る。善女天よ。是の長者子は此國内に於いて百千萬億衆生の病苦を治し、悉く除差することを得たり。
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