みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

『週刊エコノミスト』9月16日号 - 消費低迷は反動減などではなく、ただの実質所得低下に過ぎない

2014-09-12 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』はタイミング完璧な円安インフレ特集。
アベノミクスの太鼓持ち論者以外はみな素晴らしい。

何と言ってもP32、ニッセイ経済基礎研究所・斎藤太郎氏による
「家計の体感インフレ率は4%超の現実」がお薦め。

○食料・電気代・ガソリン等の生活必需品の価格上昇率が5%超に急伸
○個人消費の落ち込みは増税の反動減ではなく、実質所得低下によるもの
○駆け込み需要の少なかった衣類・食料・外食でも消費が減少している

この惨状で成長率が伸びる筈がない。
特集巻頭にある浜田名誉教授の主張を一撃で撃破していると言えよう。

また、P34のBNPパリバ・河野龍太郎氏による「アベノミクスの四つの誤算」において、
アベノミクスが始まってから実質雇用者報酬の回復が腰折れし、下方屈曲したことが図表で分かる。
公共事業が民間投資を阻害する「クラウディング・アウトが生じてきた」という的確な指摘もある。

一方、暢気な浜田氏は成長率見通しの下振れすら直視せず、
「国民は金融政策で景気回復することを知っている」「構造改革の出番」と称し、
2012年秋から米経済指標が顕著に回復し、ユーロがECBのアナウンスで反転上昇した事実を無視している。
(具体性のない「構造改革」論は、手詰まりに陥った証拠である)
「晩節を汚した」と後世の史家に断罪される可能性が高まっている。

『エコノミスト』2014年 9/16号


他にはP84、上智大学の西脇靖洋氏による
「中国人富裕層を呼ぶポルトガル」が興味深かった。

日本でも投資移民制度を導入したら中国人が殺到するのは確実だろう。
国籍条項の設定と違法行為が確認された際の厳重処分は絶対必要だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』は相続特集として今年最高の出来。
細部では課題が残るものの当事者も関係者も「ストロング・バイ」だ。
読者に親切な「後悔しない税理士選び」や「書き込み式シート」も良い。

しかし、立川や仙台で高額マンションが次々売れているというのは末期的症状だ。
三年以内にこのバブルは弾けると確信させられた。

『週刊ダイヤモンド』2014年9/13号特集1 相続重税! /迫りくる増税 ・加速する地価上昇/申告対象者1.5倍 チャンス到来に色めき立つ銀行・生保・税理士業界/首都圏近郊は一網打尽 あなたを襲う地価上昇の現実/今から備える節税&争続回避の秘策/特別付録 自分でできる「書き込み式」相続税計算シート/特集2 配当の研究/企業 LIXIL 藤森改革が挑む売上高3兆円


田中泰輔氏は短期では左程的中しない印象があったが、
今回のコラムは完璧だった。
「9~10月に105~108円、3~6ヵ月以内に110円超えもあり得る」との見通し的中!
(理由は勿論、米経済の回復である)

しかし当ウェブログとしては、既に購買力平価からオーバーシュートしており、
意想外の材料で一時的にドル100円割れが充分あり得ると確信している。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊東洋経済』もなかなか良かったが、目玉不足の観あり。

一つ候補を挙げれば、業界が強く抵抗している「高額療養費にメスを入れる費用対効果の導入」だろう。
抵抗の強さは、効率化の余地が大きいということを意味する。(電力業界とほぼ同じ構図である)

『週刊東洋経済』2014年 9/13号「クスリの裏側/評伝 水島廣雄 そごう元会長/会社四季報 超速報 これから伸びる銘柄ランキング」


巻頭コラムで阿部彩女史が現政府の子供の貧困対策を
教育にばかり偏っていて的外れと厳しい語調で批判している。

しかしこれは執筆者自身のスタンスにも責任があり、
財源の裏付けなくして本格的な貧困対策など実施できないという認識が足りない。

もし子供の貧困対策を本気で行いたいなら、
執筆者自身を含め正規公務員の賃金を1%、貧困対策へ移転すれば良かろう。
(年収400万円以上の公務員としても構わない)それで数千億円の予算が確保できる。
その位の真剣さを見せない限り、貧困改善はあり得ない。

間接税1%分を充てる案も良いのだが、貧困に冷淡な日本国民は全力で反対するだろう。
(醜悪なモラルハザードも確実に発生する)
まずは高所得層に属する執筆者自身が身を切らないと信用されない。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週の注目はダイヤモンド。と言ってもメイン特集ではない。

▽ 佐々木融氏 vs 田中泰輔氏の豪華対談だ!

『週刊ダイヤモンド』2014年9/20号特集1 新幹線50周年/魅惑のJR・鉄道/特集2 個人投資家サバイバル/緊急対談『ドル円相場の大転換点はいつか?』佐々木 融・JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部長 × 田中泰輔・ドイツ証券チーフ為替ストラテジスト


▽ 東洋経済は煽り気味の学校特集、日本の教育論議が悉く場当たりなのが問題の元凶と思うが

『週刊東洋経済』2014年 9/20号「学校が危ない/スマートフォン大特集 スーパーチープ襲来す!」


▽ エコノミストは珍しいエアライン特集、中東系の動向に注目

『エコノミスト』2014年 9/23号

停滞色を深めるドイツ経済の分析も忘れてはらない。
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