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経団連会長、「カネで政策を買う」ことを事実上認める - 政治献金再開で自民党に媚び諂うのか

2014-09-10 | CSR(企業の社会的責任)関連
経団連が政治献金を再開するそうだ。
早速自民党に挨拶に出向いているので
安倍内閣主要閣僚のパー券をこそこそ買っていた電力大手と同じく、
カネで政策をコントロールして利益誘導を行う目的にしか見えない。

研究によれば経営陣が高齢化した日本企業は
投資よりも内部留保を増やす傾向が強く、総じて資本効率が悪い。

また、稼ぎにならないからか、経済団体は身内の問題は見て見ぬふりをする。
オリンパスや大王製紙のようなガバナンス問題は形だけ処分、
ワタミのような労働問題は放置されている。

三井住友の元頭取、西川善文氏は「経団連はもはや無用の長物」と
痛烈に批判したが、氏の批判が的確であったことが立証されたと言えるだろう。

当ウェブログは歴然たる事実に基づいて以下のように主張した。

「自民党の自称「成長戦略」など成功したためしがない」

「特に減税は過剰貯蓄を誘引するだけで経済成長に結びつかない」

「日本企業の収益は向上してもその恩恵は一部の株主や企業に集中し、
 国民全体は豊かにならない。企業収益と賃金統計を比較すれば明白である。
 恩恵を受ける人々は公益と私益を混同し、自己の特権を当然視して同胞を蔑視している。
 成長政策と偽称して実際には自らへの利益誘導を公然と行っている」

日本企業の成長は、独力で成し遂げられたものではない。
人口オーナスの恩恵と、勤勉で優秀な労働力に支えられて成長できたのだ。
(その証拠に、生産年齢人口が減少に転じた90年代後半から日本株はボックス圏で停滞している)

▽ 法人減税・所得減税によって成長率は全く改善せず、実際はゼロ成長に陥った

『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(武田知弘/森永卓郎,中央公論新社)


当ウェブログの指摘は、残念ながら事実で立証されつつある。

「大企業の利益誘導にばかり熱心な圧力団体が
 「五重苦」「六重苦」と称して政府にゴネて利得を得ようと策動しており、
 それらは経済成長とは殆ど関係がないと主張してきた。
 (高度成長期には法人税は今より重く、原発は存在しなかった)」

「彼らが実際には主に市場の成長性で投資行動を決定していることは明白である。
 面と向かって国民を欺き、株主と経営陣の利益を優先しているのである。
 株主の利益を優先するのは理の当然であるが、あたかも日本のためであるかのように
 見え透いた宣伝と醜悪な自己洗脳は止めるべきである」

「帝国データバンクの直近の調査結果を見る限り、
 当ウェブログの見方が当たっていたと言わざるを得ない。
 法人減税によって生まれる余裕資金の使途の1位は「内部留保」だそうだ」

「このような内向き、草食系の企業に減税の恩典を与えるなどとんでもない。
 環境税や残業割増賃金を引き上げて自己革新を促し、
 海外からの直接投資を促して劣等経営陣を淘汰すべきである」

「日本の成長率向上を妨害する強力な要因の一つは、大企業の利益誘導行為である」

日本経済は成長率でも労働生産性でも一人当たりGDPでもスウェーデンに完敗しており、
経済団体の主張するような企業利益誘導策・人件費カット促進などより、
政策による労働時間の効率化・積極的労働市場政策の方が遥かに合理的であるのは明白だ。

 ↓ 参考

法人減税分の資金の使い道、1位は「内部留保」- 次元の低い「成長戦略」は所詮この程度
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b05cdada9cec55a50f2d43ab46a65b79

円安でも海外生産は過去最高、日商の三村会頭は配偶者控除廃止に反対 -「経済成長を蝕む」日本の大企業
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/60e2a0b17fb4f7482a2e98961439e2b7

「六重苦」は日本企業の醜悪な二枚舌 - 円安でも進む海外生産、内部留保は1年で6兆円も急増
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9cf3dc1afa84673f7b3a99479d771008‎

▽ プルトクラート(政治と癒着した超富裕層)は、政治献金によって政策を操ることに極めて熱心である

『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房)


存在感薄らぐ経団連の政治献金 かつての集金力復活は難しい(日本経済新聞)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140909/bsg1409090500002-n1.htm
”経団連が政治献金への関与を5年ぶりに再開するのは、政治とカネに対する批判を受けるリスクをあえて許容し、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による日本経済再興に賭けた形だ。しかし、政治資金の大部分が政党助成金により賄われる時代になり、以前と比べ企業献金自体の存在感は薄らいでいる
 「(政策をカネで買うのか、という批判については)心外だ。今の日本には、そんなことを言っている余裕はないはずだ」。榊原定征会長は、8日の記者会見で声を荒らげた。
 経団連の会員企業に献金額を割り当てる政治献金の斡旋方式で、企業・団体から100億円近い献金が自民党側(国民政治協会)に流れた。その後、政財界癒着の批判を受け、経団連は1993年に斡旋方式を廃止すると、企業・団体献金は急減。政党助成金の導入もあり、民主党への政権交代前には30億円程度に縮小した
 経団連は、奥田碩会長時代にも「政治コストの企業負担は社会的責任」として、5段階の政党評価と呼び掛け方式を採用したが、思うように献金額は伸びなかった。経団連の影響力の低下と政治献金額の減少を関連づける関係者も多い。
 だが、今回の献金への関与再開は奥田方式の復活であり、政党評価と献金は「全く別もの」(榊原会長)として扱う方針。
〔中略〕
 経団連がかつての集金力を復活させることは現実的に難しい。アベノミクスに対する支援を目に見える形で行うためには、会員企業が設備投資や賃金アップなど積極的な経営に踏み切るよう、指導力を発揮しなければならない。(小島清利)”

新会長はのっけから本音剥き出しの発言を行っている。
「心外だ」というのは、政策をカネで買うことはないとの意味ではなさそうだ。

その後に「今の日本には、そんなことを言っている余裕はない」と続くのだから、
政策をカネで買うのを批判している余裕などない、
カネで政策を買うのは当然であり問題などないと公言していることになる。
一般国民を睥睨する露骨な本音が実に分かり易く表現されていると言えよう。


アベノ不況 正規社員1か月で17万人減少し求人倍率は0.68倍(週刊ポスト)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140910-00000002-pseven-bus_all
”7月の有効求人数は前月比0.5%減と4か月ぶりに減少。新規求人倍率も前月から悪化し、新規求人数も前月比マイナス1.5%と減少した。
〔中略〕
 そして、より深刻なのが、「雇用の中身」だ。雇用者全体の数を見ると、7月は5613万人。1年間で約50万人増えている。ただし内訳を見ると、7月の正規社員数は3307万人で、6月の3324万人から1か月で17万人も減少している。第一生命経済研究所の首席エコノミスト・熊野英生氏がいう。
 「財務省の法人企業統計を見ると『人員数(従業員+役員)』は減少傾向が続いています。ところが、総務省の労働力調査では『雇用者数』は増えている。なぜこんなギャップが出てくるのか。それは『人員数』の中に派遣社員が含まれないからだと考えられます。つまり、この差こそが非正規社員の増加を示している。『雇用者数』を押し上げているのは派遣労働者の増加なのです
 7月の有効求人倍率は1.1倍だが、正規社員の求人倍率に限れば0.68倍に過ぎず、求人統計を押し上げているのもパートなどの非正規雇用なのだ。労働運動総合研究所の藤田宏・事務局次長はこう解説する。
「第2次安倍政権が発足した2012年12月、正規社員数は3330万人でしたが、今や3307万人と20万人以上減っている。一方、1843万人だった非正規は1939万人と約100万人増えています」
 政府と御用新聞が伝える「雇用回復」は、正規が減って非正規が増えている現象に過ぎないのだ。”

企業を優遇したところで質の良い雇用が増えないのは明白である。
経団連による大本営発表よりも週刊誌の記事の方が正しい。
屢々奇天烈な政策提言を披露する大衆メディアであっても、
熊野氏のような優秀なエコノミストに取材すれば
以上のように的確な報道を行うことができるのである。

正社員が増えていないのは定年退職増と嘱託での再雇用増の影響とも推測されるが、
実質賃金が低下している上に社会保険料負担が重くなる一方なのだから、
どのみち先は暗く、経済団体が日本経済を活性化することもできない。
(寧ろ特定企業と株主だけが恩恵を受ける可能性が極めて高い)
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