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『週刊エコノミスト』9月9日号 - 予想以上に深刻な「反動減」、消費増税駆け込み分を上回る落ち込み

2014-09-05 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』は先週のダイヤモンドと同じく韓国企業特集。
ヒュンダイ自動車の分析ではダイヤモンドへの優位性を示せていないが、
P28の「経常黒字が構造的ウォン高圧力に」(高安雄一・大東文化大教授)がかなり良い。

日本国内では韓国経済の沈滞を喜ぶようなバイアスの入った論が多く、
実は過去最高の経常黒字を記録したことは殆ど報じられていない。
韓国経済については更なる研究が必要だと感じる。

過剰貯蓄、内需沈滞、人口動態の劣化、輸出の鈍化に加え、
低い女性就労率、少子高齢化が進んでいる訳だから、韓国は矢張り
低成長に陥った日本と同じ道を歩み始めているのかもしれない。

『エコノミスト』2014年 9/9号


エコノミストリポートは期待通り素晴らしかった。
第一生命経済研究所・熊野英生氏が「消費増税で予想以上の消費落ち込み」と題し
駆け込み需要を大きく超える規模の消費減に強い懸念を示している。

熊野氏は政府が補正予算で経済対策を行っても「家計所得に行き渡るとは限らない」とし、
介護報酬の増額・公共事業の積算方法の見直し・公務員給与引き上げを提言しているが、
見通しは正しくとも処方箋は熊野氏に似合わず鋭さがないと思う。

低賃金のため恒常的な労働力不足に陥っている保育士・介護士に
給付付き税額控除(口座への個人番号も強制適用)を適用し、
育児世帯への現物給付を大幅に強化すればすぐ所得増が実現する。
間接税の税収はそうした合理的な使い方をしなければならない。
また、コージェネに固定価格買取を適用するのも投資増・所得増に直結する。
(莫大な需要が発生し、かつエネルギーコストが低下するから)
貯蓄性向の非常に高い正規公務員の給与を増やしたところで消費には回らない。

我が国の消費税は高齢者三経費のバラまきに使われて退蔵されるのだから、
景気悪化につながるのは自明の理である。当ウェブログが警告した通りの展開。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』はコンビニ・外食特集。
コンビニはエキサイティングな業態ではないので
「防犯対策のずさんな実態」のような批判的な記事の方が面白いと思う。
(淹れたてコーヒーもコンビニで買うと風味が実際以上に悪く感じる)

『週刊ダイヤモンド』2014年9/6号特集1コンビニ超進化/10兆円市場争奪戦/セブン-イレブン、ローソン、ファミマ、サークルKサンクス、ミニストップトップ5社の社長を直撃! /特集2ファミレス復権・居酒屋千鳥足/企業/スカイマークが抱えるリース債務の時限爆弾/7割閉校で輝き増す 都心の大家・代ゼミの皮肉


強く推したいのは、松岡真宏氏の執筆による
「増え過ぎた売り場の閉鎖が人手不足解消につながる」である。
全くその通りであり、人手不足の真犯人は経営陣だ。

労働者の待遇もEQも企業のブランド価値も向上させられない経営陣が、
人手不足を他人のせいにするのは根本的に間違っている。
過労死や重大な法規違反が確認されたら業務を一定期間停止させる位の厳罰が必要だ。
そうでもしないと自浄力が著しく低い彼らは、絶対反省しない。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊東洋経済』の仕事術特集は予想よりも良かった。
ムーギー・キム氏が「他人の真似では一流になれない」とはっきり指摘しているのも好感が持てる。
(彼の著書を読んでも、勿論同じであるが)

実践的な面では基礎的ながらプレゼンのノウハウが役立つ。
慎泰俊氏のエクセルの使い方も有益だ。
(これは東洋経済の誌面改善に役立つような気もする)

『週刊東洋経済』2014年 9/6号「一流の仕事術/GPIF狂騒曲/社長の器・西久保愼一スカイマーク社長」


GPIF特集はそれなりに真面目に書かれているが、
現下最大の問題は安倍政権がバカげた異次元緩和と財政出動を同時に行っているため
GPIFの積極運用が悪いインフレをもたらす可能性が高いことである。
また、これほど財政が悪い国であるのにホームカントリーバイアスが強過ぎてハイリスクだ。

特集でも言うように「運用収益増より保険料収入増の方が給付充実につながる」のだから、
破壊的な速度の少子高齢化の中、女性就労率を引き上げないと間違いなく日本の公的年金に未来はない

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週はダイヤモンドに注目、相続を「地価」と絡める新しい見せ方に感心した。

▽ ビジネスにしようとする業界の暗躍や、サブ特集「配当の研究」も見逃せない

『週刊ダイヤモンド』2014年9/13号特集1 相続重税! /迫りくる増税 ・加速する地価上昇/申告対象者1.5倍 チャンス到来に色めき立つ銀行・生保・税理士業界/首都圏近郊は一網打尽 あなたを襲う地価上昇の現実/今から備える節税&争続回避の秘策/特別付録 自分でできる「書き込み式」相続税計算シート/特集2 配当の研究/企業 LIXIL 藤森改革が挑む売上高3兆円


▽ 確かに医薬品は怪しいウラの多い業界だが、内容を見てみないと何とも言えない

『週刊東洋経済』2014年 9/13号「クスリの裏側/評伝 水島廣雄 そごう元会長/会社四季報 超速報 これから伸びる銘柄ランキング」


▽ マクロ経済・マーケット関連は矢張りエコノミスト

『エコノミスト』2014年 9/16号

「家計の体感インフレは既に4%」だそうだ。当ウェブログが警告した通りである。
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