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原発再稼働反対派が増加、日経調査では6割に迫る - 利権勢力の必死の策動が見事に裏目に出た

2014-09-04 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
「東電撤退報道」と「慰安婦誤報」で喜んだのが保守系メディアや原子力擁護派で、
ここぞとばかりに朝日批判に精を出している。

今回の件は朝日新聞が自ら墓穴を掘った失態であり、
所詮は数ヵ月程度でほとぼりが冷める程度の話であるが
各メディア・各論者のスタンスは興味深い。
(因に、慰安婦問題では朝日報道より遥かに重大な問題がある)

嬉々として真っ先に朝日批判を展開したのが例えばメディアでは産経・読売、
論者では池田・石井というかぐわしい面々が目立つ。

この背景には、朝日新聞が原子力・電力関連のカネで鋭い報道を見せていて、
彼らがうまく言い返せなかったというある種の怨念が隠れている可能性が高い。

直近の朝日報道では、原子力と薄汚れたカネの問題を厳しく追及してきたが、
読売も産経も、池田・石井コンビも何一つ有効な反論ができなかった。
何しろ
中部電力の元役員が電力業界から政界への裏金2.5億円を証言、
関電の元副社長が歴代の首相に毎年1000万円の献金と、
電気料金を原資として年間数億円の裏金を政界に配ったと証言している

のだから、正面から「反撃」できないとなると側面か裏口から攻撃するしない。

吉岡斉・九大副学長が著書で証言しているように、
原子力推進勢力の習性は条件反射のように決まっている。
彼らは真正面から反論できなくなると、

○細かい技術的側面で相手の揚げ足を取る
○論敵の人格的・倫理的側面を攻撃する

つまりは問題の矮小化とすり替えである。
今回もまた、見事にお家芸が発揮されていると言えよう。

▽ 日本の原子力の歴史は、欺瞞と政治的暗闘に満ち満ちている

『新版 原子力の社会史 その日本的展開』(吉岡斉,朝日新聞社)


世論は幸いにして薄汚い原子力の裏事情を分かってきて、再稼働反対派が増えている。
以下のような状況なのだから至極当然の話である。

「またしても馬鹿馬鹿しい利権政治の発露である。
 電力会社からパーティー券をこそこそ買ってもらっていた
 自民党要人の一人、石破幹事長が「再稼働していかないと、この国の未来はない」と発言した」

「原子力比率の高まりとともに、我が国の経済成長率が低落してきた事実も知らず、
 よくも平然と事故の賠償すらまともにできない電力大手を庇えるものである」

「自民党政権時に自民と癒着した電力大手関係者が風力発電の普及を妨害し、
 エネルギー政策のリテラシーの低い政治家がコージェネを推進しなかったから
 今日のような事態を招いたのである。責任転嫁も甚だしい」

「一般国民にすぐさま見抜かれるような癒着を放置している自民党は、
 エネルギー政策に関しては完全に「終わっている」と言えよう」

「大して雇用を生み出さないエネルギー多消費企業の利益を代弁し、
 省エネ・再生可能エネ推進を怠ってきたのだから自業自得である」

「自民党の歴代首相の側近は全員、国会へ呼び出して証人喚問すべきだ。
 確実に竹下以降も裏金が動いている筈である」

「原子力は元々、不正と腐敗と癒着の固まりである。
 当ウェブログは一貫して「原子力は政治的に汚染されている」と主張してきたが、
 歴然たる事実が「汚染」を立証している」

彼らの言うように、原子力が安全で安いエネルギーなら、
どうして国民に隠れてこそこそ裏金を動かす必要があるのか。
堂々と行動できないのは、彼ら自身が後ろ暗さを自覚しているからだ。

 ↓ 参考

石破幹事長、パー券を買って貰い原発再稼働を力説 - 原子力利権と癒着してきた自民党らしい利益代弁行為
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a4600fe290d604e06747312829f04a26

ウォーレン・バフェット「原発を持つ電力会社には絶対投資しない」- 経済合理性がなく、癒着塗れの原子力
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8e9581b66eae3edcb4460c3bd69e2900

電力各社「事故の賠償は無理、原発費用は消費者に転嫁させろ」-証明された「原子力は高リスクでコスト高」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d121c9b7403f1918e88f81a7dfd7cf43

▽ 裏工作に奔走する利権勢力は、国民に知られるのを何よりも恐れている

『原発ホワイトアウト』(若杉冽,講談社)


原発再稼働「進めて」32% 本社世論調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS24H0P_U4A820C1PE8000/
”政府が重要電源と位置づける原子力発電に関しては「再稼働を進めるべきだ」が32%で、前回より3ポイント下がった。「再稼働を進めるべきではない」は56%と4ポイント上がった。原発から火力や再生可能エネルギーでの発電に移行した場合、発電コストが上昇して電気料金が上がる可能性を「受け入れられる」は61%に達した。「受け入れられない」は31%だった。〔以下略〕”

世論は健全だ。原子力利権勢力の胡散臭さをよく分かっている。
但し、電気料金高騰に大人しく耐えているだけではいけない。
消費電力を極限まで減らして利権勢力を締め上げるべきである。

太陽電池、コージェネレーション、熱利用の効率化で
快適かつ低コストの生活が可能となり、
省エネ・再生可能エネへの投資で日本経済も成長する一石二鳥、
そして利権勢力も撃滅できるので一石三鳥である。

いや、いまだにバカ高い天然ガスを輸入して国富を損耗させている
電力業界の失態をそれなりにカバーできるので一石四鳥かもしれない。


原発再稼働「国民全体の願い」 経団連会長(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASG785F8HG78ULFA01P.html‎
”経団連の榊原定征会長は8日、原発の再稼働について、「安全が確認された原発は、速やかに再稼働すべきだ。国民全体の願いでもある」と述べた。
〔中略〕
 榊原会長は「老朽化した火力発電所を無理に稼働させている今は綱渡り状態。電気料金は家庭用、産業用とも上昇しており、経済成長の大きな足かせになる」と語り、原子力規制委員会による審査を経たうえで、早期の再稼働が必要との考えを改めて強調した。
 経団連は、原子力規制委員会による審査の作業を早めるよう求める提言を日本商工会議所と経済同友会と共同発表するなど、繰り返し原発の早期再稼働を訴えている。”

という訳で、天下の経団連会長が「国民全体の願い」と称して
とんでもない嘘をついていたことが誰の目にも明らかになってしまった。

恐らく、この「国民」は、一部のエネルギー多消費企業と
原子力関係者のことで、他の大勢の国民を無視したカテゴライズと思われる。


菅元首相を「おっさん」、混乱の張本人と指弾(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140830-OYT1T50010.html
”当時首相だった菅直人氏についての吉田昌郎氏の言及には、混乱の張本人として指弾する強い憤りがにじむ。
 「(菅氏が)こんな大人数で話をするために来たんじゃないとかいうことで、場所変えろとか何かわめいているうちに、この事象(水素爆発)になった」
 福島第一原発4号機の原子炉建屋の水素爆発より30分ほど前の2011年3月15日午前5時30分頃。菅氏は東京電力本店に乗り込み、東電幹部らを前に「日本が潰れるかもしれないときに撤退などあり得ない。命がけでやれ。撤退したときは東電は100%潰れる」などと激高しながら話した。
〔中略〕
 「使いません、『撤退』なんて。菅(氏)が言ったのか誰が言ったのか知らないが、そんな言葉、使うわけがない。誰が撤退なんていう話をしているんだと逆にこちらが言いたい」
 水素爆発は、菅氏の話が終わって間もなくの同6時過ぎに起きた。
 「吉田調書」の中で、吉田氏は、菅氏が事故調の調査などに対し、「(首相)官邸の反発を受けて、東電側が全面撤退の主張を撤回した」との認識を示していたことについても批判。
 「あのおっさんがそんなのを発言する権利があるのか。あのおっさんだって事故調の調査対象でしょう。自分だけの考えをテレビで言うのはアンフェアも限りない」と述べ、菅氏のことを「おっさん」と呼ぶほどの憤りを示していた。”

読売新聞は「江戸の敵を長崎で討つ」ような記事を出している。
過酷事故を起こした当事者の責任と安全神話を振りまいた大手メディアの責任から目を逸らし
菅内閣や東電の「撤退指示」と報じた朝日報道への批判に誘導しようとする意図が見え透いている。

勿論、事故後の吉田氏の超人的な働きは全国民が認め賞賛するところである。
しかし吉田氏自身は所長になる前に東電の原子力部門の要職を務めており、
福島第一原発で起きた、歴史に残る過酷事故に対する重大な責任がある。

「あのおっさん」との呼称は己の事故責任の重さを忘却したものであり、
国民の吉田氏への絶大な評価を傷つけ、氏自身を自ら貶めるものだ。
大変残念なことである。(だからこそ氏自身が公開を望まなかったのかもしれない)
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