東北関東大震災に対応し、福島原子力発電所で大変な状況が起きていますが、TVや新聞で得られる情報にもどかしさを感じて居る方が多いと思います。
そこでNETを通じ私の疑問に応える情報を収集しました。一番参考になったのは、省エネルギー研究所の情報でした。
まず福島原子力発電所の構造図を添付しますが、これは沸騰水型と呼ばれる方式で、圧力容器で水が蒸発し(沸騰)外部にある蒸気タービンで発電します。しかし殆どの情報は圧力容器の異常圧力を開放する構造を図示していません。続編で図を添付します。
この事故では緊急停止装置は正常に動作し、制御棒により、燃料棒(ウラン)の核反応は停止しました。しかし燃料棒は停止後も発熱を続け(ウラン燃料は臨界と言われる核反応停止後もウランや内部で生成した放射性物質の自然崩壊で発熱を続ける)その熱で圧力容器内部の水が蒸発し、燃料棒が水から出てしまい、空焚き状態になってしまいました。
そして圧力容器の内部圧力が上昇したので、それを緩和する為(圧力容器の爆発を防止)圧力容器内部の気体を外部に出す、操作(又は自動)が行われ、圧力容器の外の原子炉格納容器内に漏れました。
この気体には高温の燃料棒と水が反応し、水素と酸素が生成された気体が混ざっていましたが、これに何かのきっかけで点火し爆発しました。
ここで私が納得できなかったことは、緊急時必要な非常用電源が故障してしまったことです。それも1-5号炉すべて使えないことは大変深刻でした。
これは今後大きな反省点になると思います。
省エネルギー研究所の情報を抜粋転記します。
特定非営利活動法人 省エネルギー総合研究所
"私は3月12日に日本で起こっているいくつかのトラブル──日本の原子炉の安全性──に関して心の平穏を与えるために、この文章を書いている。率直に言って状況は深刻だが、コントロール下にある。
そしてこの文章は長い。しかし、この文章を読むことによってこの惑星に一緒に住むあらゆるジャーナリストよりも原子力発電所について詳しくなるだろう。
今までそしてこれからも深刻な放射能物質の漏洩は決して起こらない。
深刻なという意味は長距離フライトや自然放射能レベルが高い特定の地域で栽培された麦で作られたビールを飲むときに受けることになる放射能レベルという意味だ。
私は地震後のこの事故に関する全てのニュースに目を通した。
正確で誤りのないレポートはただの一つも無かった。
日本の危機報道における弱点でもある。
誤りが含まれるので、私は偏った反原発記事を参照しない──これはこの頃非常によくあることだ。
誤りの中には、物理学や自然法則に関するあからさまな誤り、原子炉が建築され運用される方法に関する基礎的・基本的理解の明らかな不足による事実の重大な誤認も含まれる。
私は各パラグラフに誤りが含まれるCNNの3ページのレポートを読んだことがある。
なにが起こっているかを見る前にまずいくつかの基礎を説明しよう。
福島原子力発電所の構造
福島原子力発電所は沸騰水型原子炉(BWR)と呼ばれる。
沸騰水型原子炉は圧力釜に似ている。
核燃料は水を温め、水が沸騰し蒸気を作り、蒸気がタービンを回し、電気を作る。蒸気は冷却され、水に戻され、水は再度核燃料により加熱される。
圧力釜はだいたい250℃で動作する。
核燃料は酸化ウランである。
酸化ウランは約3000℃の高い融点を持つセラミックだ。
燃料はペレット(レゴブロックサイズの小さなシリンダを想像すると良い)に成形される。
これらのペレットは2200℃の融点を持つジルコニウムで作られた長いチューブの中に挿入され、固く密閉される。
こうして組み立てられたものが燃料棒(fuel rod)と呼ばれる。燃料棒はまとめられ燃料集合体にされる。
多くの燃料集合体が原子炉の中に配置される。全ての燃料集合体をまとめて炉心(the core)となる。
ジルコニウムのケースが第一の格納容器だ。これは放射能燃料を外界から遮断する。
炉心は圧力容器(pressure vessels)の中に配置される。これは先に述べた圧力釜だ。
圧力容器は第二の格納容器である。
これは釜の頑丈な部分の一つであり、数百℃の炉心が安全に格納されるように設計されている。
これはいくつかの点で冷却を回復させるシナリオに関連する。
原子炉の全体のハードウェア──圧力容器と全てのパイプ、ポンプ、冷却(水)蓄積は、第三の格納容器に格納されている。
第三の格納容器は分厚い鋼鉄で完全に密閉されている。
第三の格納容器はただひとつの目的のために設計され製造されている。
完全な炉心溶融を無期限に封じ込めるためだ。
この目的のために、大きく厚いコンクリート製のたらいが圧力容器(第二の格納容器)の下に成形され、第三の格納容器の中は全て黒鉛で満たされる。
これがいわゆるコアキャッチャ(core catcher)だ。
もし炉心が溶融し圧力容器が爆発(最終的には融ける)したとしても、コアキャッチャが溶け出した燃料や他のすべてのものを捕える。
このように核燃料が散開することで冷却されるのだ。
原子炉の基礎
ウラン燃料は核分裂によって熱を発生する。
重いウラン原子はより軽い原子に分裂する。
核分裂によって熱と共に中性子(原子を構成する一つの粒子)を生成する。中性子が他のウラン原子に衝突すると、ウラン原子は分裂し、さらなる中性子等を生成する。
これが核分裂連鎖反応と呼ばれる。
多くの燃料棒を他と隣接するように単純にまとめると、急速に過熱が進み、約45分後に燃料棒の溶解に至る。
ここで原子炉の中の核燃料は「決して」核爆弾のタイプの核爆発を起こすことは無いということに言及しておく価値があるだろう。
核爆弾を作ることは実際とても難しい(イランに訊いて下さい!)チェルノブイリでは、過度の圧力上昇によって爆発が生じ、水素爆発と全ての格納容器の破裂、融解した原子炉材料が環境中に放出された(ダーティボムだ)。
何故同じことが日本で起きないかは次に述べる。
核分裂連鎖反応をコントロールするために、原子炉のオペレータはいわゆる制御棒(control rods)を利用する。
制御棒は中性子を吸収し、即座に連鎖反応を止める。
原子炉はこのように作られているため、オペレーションが正常に行われている場合には、全ての制御棒が外される。
炉心が熱を生成するのと同じ速度で、冷却水が熱を取り除くのだ(そして熱を蒸気と電気に変える)。
正常運用時には250℃程度と十分な余裕がある。
制御棒を挿入し核分裂連鎖反応を停止させた後も、炉心は熱を放出し続ける部分に課題がある。
ウランは連鎖反応を止めているが、多くの中間生成物である放射能元素がウランの分裂過程で発生する。
特にセシウムとヨウ素同位体がメインとなるが、これらの放射性元素は最終的により軽い原子に分裂して、放射性物質では無くなる。
これらの元素は崩壊の間熱を発生し続ける。熱がウランから再生成されることはないため(制御棒挿入後はウランの崩壊はストップしている)、熱はだんだん下がって行き、全ての中間放射性元素が使い果たされるまで、数日かけて冷えていく。
この残留熱が現在の頭痛の種だ。
一つ目の種類の放射性元素は燃料棒のウランとウランが崩壊するときの中間放射性元素であって、共に燃料棒の中にある(セシウムとヨウ素)。
二つ目の種類の放射性元素が燃料棒の外で生成される。
最も大きな違いは、これらの放射性元素はごく短い半減期を有し、急速に崩壊し非放射性元素に分裂するということだ。
おおよそ秒単位の話だ。
そのため、もしこれらの放射性元素が環境中に出たとしても、そう、たしかに放射性元素は放出されたが、しかし、それは全く危険ではない。
あなたが“R-A-D-I-O-N-U-C-L-I-D-E”と書いている間に、それらは非放射性元素に分裂し危険ではなくなるのだ。
それらの放射性元素はN-16、窒素(空気)の放射性同位体(型)だ。
あとはキセノンのような希ガスだ。
しかしそれらは何処から来るのか? ウランが分裂するとき、中性子を生成する(前述のとおり)。
ほとんどの中性子は他のウラン原子に衝突し、核分裂連鎖反応を継続させるが、一部は燃料棒を離れ、水分子に衝突する。
そこで、非放射性元素が中性子を捕まえ、放射性元素に変わる。
上述のように、それは速やかに(秒単位で)中性子を放出し、元の美しい自己を取り戻す。
二つ目の種類の放射線は、後で環境中に放出された放射性元素について話すときに非常に重要になる。
福島で何が起きたのか
"ここで主な事実をまとめたい。日本を襲った地震は原子力発電所の設計値よりも5倍も強い(リヒタースケールは対数的に働くため、発電所の設計値である8.2と実際の8.9の間は5倍である。0.7ではない)。
日本のエンジニアリングに対して最初に賞賛すべきところで、全てが持ちこたえた。
8.9の地震が襲ったとき、原子炉は全て自動停止プロセスに入った。
地震発生から数秒後には制御棒が炉心に挿入され、ウランの核分裂連鎖反応は停止した。
今や、冷却システムが残留熱を取り除かねばならない。残留熱負荷は通常の運用条件の熱負荷のおおよそ3%だ。
地震は原子炉のゲイブ電力供給を破壊した。
これは原子力発電所の最も深刻なアクシデントの一つで、発電所の停電はバックアップシステムを設計する上で最も注意される部分だ。
電力は冷却ポンプを稼動させるのに必要だ。
発電所が停止されているため、自分で必要な電力を供給することはもはやできない。
1時間は物事はうまく進んだ。
複数の緊急ディーゼル発電機のうちの1つが必要な電力を供給するために作動させられた。その後、津波が襲った。
発電所設計時に想定されていた津波よりもより大きいものだ(上記のとおり5倍だ)。
津波は全てのバックアップのディーゼル発電機を破壊してしまった。"
"ディーゼル発電機が故障した際、原子炉のオペレータは非常用バッテリパワーに切り替えた。
バッテリはバックアップのバックアップの一つとして設計され、8時間にわたって炉心を冷却する電力を供給する。
そしてそれはなされた。
8時間以内に別の電力源を発見し、発電所につながなくてはならない。
電力網は地震によってダウンしていた。ディーゼル発電機は津波によって破壊された。
そこで可動式のディーゼル発電機が投入された。
物事が悪い方向に進み始めた。外部発電機は発電機に接続することが出来なかった(プラグが合わなかった)。
そこでバッテリが枯渇した後は残留熱を取り除くことができなくなった。"
"ストーブの上にある我々の圧力釜を想像してみよう。熱は低いが電源は入っている。オペレータは、あらゆる冷却システムの能力を使って可能なかぎり熱を除去しようとする。しかし圧力が上昇し始める。現在の1stプライオリティは、第二の格納容器である圧力釜と同様に、第一の格納容器の完全性を確保することだ(燃料棒の温度を2200℃以下に保つ)。圧力釜(第二の格納容器)の完全性を確保するためには、圧力を時々逃がしてやる必要が有る。非常時に圧力を逃がす能力は極めて重要なので、原子炉は11もの圧力逃しバルブを有している。オペレータは圧力をコントロールするために時々蒸気を放出し始めた。この時点で温度はおよそ550℃となった。
これが放射能漏れに関するレポートが入ってきたときに起こっていたことだ。
私は蒸気放出が理論的に環境への放射性元素の放出と同様であること、なぜそうなのか、それが危険ではないことを説明してきた。
放射性窒素は希ガスと同様に人の健康に害を与えない。
蒸気放出のどこかの段階で爆発が発生した。
爆発は第三の格納容器(最終防衛ライン)の外の原子炉建屋で起こった。
原子炉建屋は放射能を封じ込めるのに何の機能も果たしていないことを思い起こして欲しい。
まだ何が起こったかは明らかではないが、次が考えられるシナリオである。
オペレータは蒸気放出を圧力容器から直接環境中にするのではなく、第三の格納容器と原子炉建屋の間の空間に行おうとした(蒸気中の放射性元素が安定するための時間をより確保するため)。
問題はこの時点で炉心が高温に達していたことで、水分子が水素と酸素に分離し、爆発性混合物になっていたことだ。
そしてそれが爆発し、第三の格納容器の外側、原子炉建屋にダメージを与えたのだ。
そこでNETを通じ私の疑問に応える情報を収集しました。一番参考になったのは、省エネルギー研究所の情報でした。
まず福島原子力発電所の構造図を添付しますが、これは沸騰水型と呼ばれる方式で、圧力容器で水が蒸発し(沸騰)外部にある蒸気タービンで発電します。しかし殆どの情報は圧力容器の異常圧力を開放する構造を図示していません。続編で図を添付します。
この事故では緊急停止装置は正常に動作し、制御棒により、燃料棒(ウラン)の核反応は停止しました。しかし燃料棒は停止後も発熱を続け(ウラン燃料は臨界と言われる核反応停止後もウランや内部で生成した放射性物質の自然崩壊で発熱を続ける)その熱で圧力容器内部の水が蒸発し、燃料棒が水から出てしまい、空焚き状態になってしまいました。
そして圧力容器の内部圧力が上昇したので、それを緩和する為(圧力容器の爆発を防止)圧力容器内部の気体を外部に出す、操作(又は自動)が行われ、圧力容器の外の原子炉格納容器内に漏れました。
この気体には高温の燃料棒と水が反応し、水素と酸素が生成された気体が混ざっていましたが、これに何かのきっかけで点火し爆発しました。
ここで私が納得できなかったことは、緊急時必要な非常用電源が故障してしまったことです。それも1-5号炉すべて使えないことは大変深刻でした。
これは今後大きな反省点になると思います。
省エネルギー研究所の情報を抜粋転記します。
特定非営利活動法人 省エネルギー総合研究所
"私は3月12日に日本で起こっているいくつかのトラブル──日本の原子炉の安全性──に関して心の平穏を与えるために、この文章を書いている。率直に言って状況は深刻だが、コントロール下にある。
そしてこの文章は長い。しかし、この文章を読むことによってこの惑星に一緒に住むあらゆるジャーナリストよりも原子力発電所について詳しくなるだろう。
今までそしてこれからも深刻な放射能物質の漏洩は決して起こらない。
深刻なという意味は長距離フライトや自然放射能レベルが高い特定の地域で栽培された麦で作られたビールを飲むときに受けることになる放射能レベルという意味だ。
私は地震後のこの事故に関する全てのニュースに目を通した。
正確で誤りのないレポートはただの一つも無かった。
日本の危機報道における弱点でもある。
誤りが含まれるので、私は偏った反原発記事を参照しない──これはこの頃非常によくあることだ。
誤りの中には、物理学や自然法則に関するあからさまな誤り、原子炉が建築され運用される方法に関する基礎的・基本的理解の明らかな不足による事実の重大な誤認も含まれる。
私は各パラグラフに誤りが含まれるCNNの3ページのレポートを読んだことがある。
なにが起こっているかを見る前にまずいくつかの基礎を説明しよう。
福島原子力発電所の構造
福島原子力発電所は沸騰水型原子炉(BWR)と呼ばれる。
沸騰水型原子炉は圧力釜に似ている。
核燃料は水を温め、水が沸騰し蒸気を作り、蒸気がタービンを回し、電気を作る。蒸気は冷却され、水に戻され、水は再度核燃料により加熱される。
圧力釜はだいたい250℃で動作する。
核燃料は酸化ウランである。
酸化ウランは約3000℃の高い融点を持つセラミックだ。
燃料はペレット(レゴブロックサイズの小さなシリンダを想像すると良い)に成形される。
これらのペレットは2200℃の融点を持つジルコニウムで作られた長いチューブの中に挿入され、固く密閉される。
こうして組み立てられたものが燃料棒(fuel rod)と呼ばれる。燃料棒はまとめられ燃料集合体にされる。
多くの燃料集合体が原子炉の中に配置される。全ての燃料集合体をまとめて炉心(the core)となる。
ジルコニウムのケースが第一の格納容器だ。これは放射能燃料を外界から遮断する。
炉心は圧力容器(pressure vessels)の中に配置される。これは先に述べた圧力釜だ。
圧力容器は第二の格納容器である。
これは釜の頑丈な部分の一つであり、数百℃の炉心が安全に格納されるように設計されている。
これはいくつかの点で冷却を回復させるシナリオに関連する。
原子炉の全体のハードウェア──圧力容器と全てのパイプ、ポンプ、冷却(水)蓄積は、第三の格納容器に格納されている。
第三の格納容器は分厚い鋼鉄で完全に密閉されている。
第三の格納容器はただひとつの目的のために設計され製造されている。
完全な炉心溶融を無期限に封じ込めるためだ。
この目的のために、大きく厚いコンクリート製のたらいが圧力容器(第二の格納容器)の下に成形され、第三の格納容器の中は全て黒鉛で満たされる。
これがいわゆるコアキャッチャ(core catcher)だ。
もし炉心が溶融し圧力容器が爆発(最終的には融ける)したとしても、コアキャッチャが溶け出した燃料や他のすべてのものを捕える。
このように核燃料が散開することで冷却されるのだ。
原子炉の基礎
ウラン燃料は核分裂によって熱を発生する。
重いウラン原子はより軽い原子に分裂する。
核分裂によって熱と共に中性子(原子を構成する一つの粒子)を生成する。中性子が他のウラン原子に衝突すると、ウラン原子は分裂し、さらなる中性子等を生成する。
これが核分裂連鎖反応と呼ばれる。
多くの燃料棒を他と隣接するように単純にまとめると、急速に過熱が進み、約45分後に燃料棒の溶解に至る。
ここで原子炉の中の核燃料は「決して」核爆弾のタイプの核爆発を起こすことは無いということに言及しておく価値があるだろう。
核爆弾を作ることは実際とても難しい(イランに訊いて下さい!)チェルノブイリでは、過度の圧力上昇によって爆発が生じ、水素爆発と全ての格納容器の破裂、融解した原子炉材料が環境中に放出された(ダーティボムだ)。
何故同じことが日本で起きないかは次に述べる。
核分裂連鎖反応をコントロールするために、原子炉のオペレータはいわゆる制御棒(control rods)を利用する。
制御棒は中性子を吸収し、即座に連鎖反応を止める。
原子炉はこのように作られているため、オペレーションが正常に行われている場合には、全ての制御棒が外される。
炉心が熱を生成するのと同じ速度で、冷却水が熱を取り除くのだ(そして熱を蒸気と電気に変える)。
正常運用時には250℃程度と十分な余裕がある。
制御棒を挿入し核分裂連鎖反応を停止させた後も、炉心は熱を放出し続ける部分に課題がある。
ウランは連鎖反応を止めているが、多くの中間生成物である放射能元素がウランの分裂過程で発生する。
特にセシウムとヨウ素同位体がメインとなるが、これらの放射性元素は最終的により軽い原子に分裂して、放射性物質では無くなる。
これらの元素は崩壊の間熱を発生し続ける。熱がウランから再生成されることはないため(制御棒挿入後はウランの崩壊はストップしている)、熱はだんだん下がって行き、全ての中間放射性元素が使い果たされるまで、数日かけて冷えていく。
この残留熱が現在の頭痛の種だ。
一つ目の種類の放射性元素は燃料棒のウランとウランが崩壊するときの中間放射性元素であって、共に燃料棒の中にある(セシウムとヨウ素)。
二つ目の種類の放射性元素が燃料棒の外で生成される。
最も大きな違いは、これらの放射性元素はごく短い半減期を有し、急速に崩壊し非放射性元素に分裂するということだ。
おおよそ秒単位の話だ。
そのため、もしこれらの放射性元素が環境中に出たとしても、そう、たしかに放射性元素は放出されたが、しかし、それは全く危険ではない。
あなたが“R-A-D-I-O-N-U-C-L-I-D-E”と書いている間に、それらは非放射性元素に分裂し危険ではなくなるのだ。
それらの放射性元素はN-16、窒素(空気)の放射性同位体(型)だ。
あとはキセノンのような希ガスだ。
しかしそれらは何処から来るのか? ウランが分裂するとき、中性子を生成する(前述のとおり)。
ほとんどの中性子は他のウラン原子に衝突し、核分裂連鎖反応を継続させるが、一部は燃料棒を離れ、水分子に衝突する。
そこで、非放射性元素が中性子を捕まえ、放射性元素に変わる。
上述のように、それは速やかに(秒単位で)中性子を放出し、元の美しい自己を取り戻す。
二つ目の種類の放射線は、後で環境中に放出された放射性元素について話すときに非常に重要になる。
福島で何が起きたのか
"ここで主な事実をまとめたい。日本を襲った地震は原子力発電所の設計値よりも5倍も強い(リヒタースケールは対数的に働くため、発電所の設計値である8.2と実際の8.9の間は5倍である。0.7ではない)。
日本のエンジニアリングに対して最初に賞賛すべきところで、全てが持ちこたえた。
8.9の地震が襲ったとき、原子炉は全て自動停止プロセスに入った。
地震発生から数秒後には制御棒が炉心に挿入され、ウランの核分裂連鎖反応は停止した。
今や、冷却システムが残留熱を取り除かねばならない。残留熱負荷は通常の運用条件の熱負荷のおおよそ3%だ。
地震は原子炉のゲイブ電力供給を破壊した。
これは原子力発電所の最も深刻なアクシデントの一つで、発電所の停電はバックアップシステムを設計する上で最も注意される部分だ。
電力は冷却ポンプを稼動させるのに必要だ。
発電所が停止されているため、自分で必要な電力を供給することはもはやできない。
1時間は物事はうまく進んだ。
複数の緊急ディーゼル発電機のうちの1つが必要な電力を供給するために作動させられた。その後、津波が襲った。
発電所設計時に想定されていた津波よりもより大きいものだ(上記のとおり5倍だ)。
津波は全てのバックアップのディーゼル発電機を破壊してしまった。"
"ディーゼル発電機が故障した際、原子炉のオペレータは非常用バッテリパワーに切り替えた。
バッテリはバックアップのバックアップの一つとして設計され、8時間にわたって炉心を冷却する電力を供給する。
そしてそれはなされた。
8時間以内に別の電力源を発見し、発電所につながなくてはならない。
電力網は地震によってダウンしていた。ディーゼル発電機は津波によって破壊された。
そこで可動式のディーゼル発電機が投入された。
物事が悪い方向に進み始めた。外部発電機は発電機に接続することが出来なかった(プラグが合わなかった)。
そこでバッテリが枯渇した後は残留熱を取り除くことができなくなった。"
"ストーブの上にある我々の圧力釜を想像してみよう。熱は低いが電源は入っている。オペレータは、あらゆる冷却システムの能力を使って可能なかぎり熱を除去しようとする。しかし圧力が上昇し始める。現在の1stプライオリティは、第二の格納容器である圧力釜と同様に、第一の格納容器の完全性を確保することだ(燃料棒の温度を2200℃以下に保つ)。圧力釜(第二の格納容器)の完全性を確保するためには、圧力を時々逃がしてやる必要が有る。非常時に圧力を逃がす能力は極めて重要なので、原子炉は11もの圧力逃しバルブを有している。オペレータは圧力をコントロールするために時々蒸気を放出し始めた。この時点で温度はおよそ550℃となった。
これが放射能漏れに関するレポートが入ってきたときに起こっていたことだ。
私は蒸気放出が理論的に環境への放射性元素の放出と同様であること、なぜそうなのか、それが危険ではないことを説明してきた。
放射性窒素は希ガスと同様に人の健康に害を与えない。
蒸気放出のどこかの段階で爆発が発生した。
爆発は第三の格納容器(最終防衛ライン)の外の原子炉建屋で起こった。
原子炉建屋は放射能を封じ込めるのに何の機能も果たしていないことを思い起こして欲しい。
まだ何が起こったかは明らかではないが、次が考えられるシナリオである。
オペレータは蒸気放出を圧力容器から直接環境中にするのではなく、第三の格納容器と原子炉建屋の間の空間に行おうとした(蒸気中の放射性元素が安定するための時間をより確保するため)。
問題はこの時点で炉心が高温に達していたことで、水分子が水素と酸素に分離し、爆発性混合物になっていたことだ。
そしてそれが爆発し、第三の格納容器の外側、原子炉建屋にダメージを与えたのだ。