英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

TOKYO エアポート ~東京空港管制保安部~ 第5話「1枚の写真に隠された40年前のフライト」

2012-11-13 20:34:55 | ドラマ・映画
 良い話だった。特に、病状が重くてフライトに臨めない子どもたちが搭乗のシミュレーション体験をするシーンには、うるうるしてしまった。 直接、管制とは関係ない話もあっても良いんじゃないかと私は思う。

 しかし、主人公・香織の絡ませ方が大いに疑問
①古い写真に関して、病院から問い合わせが東京空港に問い合わせがあったと言うが、それが何故、保安部?そもそも、その問い合わせた病院はなぜホスピスの事に思い当たらないのか?
 病院が空港の事を知らないかもしれないので、空港に問い合わせるのはありかと思うが、空港から各航空会社に問い合わせるのが妥当だと思うが、それが何故、香織の元へ?氷室氏(別所哲也)、手抜きだぞ。

②強引に絡ませられた香織と全日空の客室乗務員教育係の田口(肘井美佳)が、敷島珈琲を経由して元パイロットの小島氏の夫人に行きつき、当時の様子を聞いたのは良いとして、その帰り道、香織が「病院に行こう」と言いだすのも唐突過ぎ。

 その他も強引な点が目立つ
③若いキャビンアテンダントの練習生が、仕事の意義や素晴らしさを理解していないと感じていたが、“小島メモリアルフライト”は練習生のためになるというのもつながりが弱い。
(確かに、生きる事、希望を持つ事の素晴らしさを実感させるのには良いイベント、授業ではあるが)

無理やり主人公の香織を中心に置こうとしたため、①②の強引さが生じた。
 この際、主人公は脇に置いておいた方がいいのではないか。例えば、リハビリ中の恋人・本上(平岡祐太)が企画の発案者になるとか。
 本上の絡みにしても、香織の行動が本上の心に働きかける(激励する)という形にして、主人公の功にしたのも、何か釈然としない。

 その他の疑問点など
⑤やはり顔を観ない竹内(瀬戸朝香)
 嫌味を言う時はやはり顔を合わさない。さすがに助言をする時は相対していた。

⑥上層部が反対した理由は
 こんな良い企画を許可しないなら、上層部はその理由を示さなければならない

⑦ホスピスの意味
 ホスピスと言うと、「末期ガン患者に対して緩和治療やケアをする施設」だと思っていたが、この話のホスピスは少し趣が違うように思った。私の思い違い?


【ストーリー】番組サイトより
初めての夜勤を終えた篠田香織(深田恭子)の元に氷室一生(別所哲也)がやって来た。氷室は、羽田空港の近くにある病院から問い合わせがあったという、全日空の航空機前でパイロットとCAと子供たちが写っている古い写真を見せ、何か知らないかと尋ねる。

写真を調べるため「敷島珈琲」にやってきた香織と酒井真奈(佐々木希)。そこへ山下佑司(瀬戸康史)が知り合いの全日空で客室乗務員教育係をやっている田口七美(肘井美佳)を連れて来た。すぐに写真を見せるが、田口もわからないという。しかし「敷島珈琲」のオーナーで元管制技術官の横山博(小野武彦)が、パイロットはすでに亡くなっている小島健吾だと教えてくれた。

後日、香織と田口が小島の家を訪ねると、妻の鈴子が写真はホスピスの子供たちを飛行機に乗せてあげるという、小島が5年がかりで実現させたボランティアイベントだと説明してくれた。翌日、2人は写真の返却も兼ねて病院を訪ねた。窓から飛行機が見える病院内では子供たちが飛行機の模型やぬいぐるみで遊んでいた。スタッフから子供たちの様子を聞いた2人は、再び"小島メモリアルフライト"を実現させるべく動くことを決意する。

香織と田口がそれぞれの場所で準備を進めていたが、順調に進んでいた香織とは反対に田口の航空会社から許可は出せないとの連絡が氷室を通して入った。再度、交渉しようとする香織に竹内裕美(瀬戸朝香)はアドバイスを送る。
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「渡辺竜王」考 その2~渡辺将棋の特性~

2012-11-13 14:21:42 | 将棋
 渡辺将棋の特性は、合理性と実戦性にある。

 対局に勝つ事が一番の優先事項…というより唯一の目的と言っても良いかもしれない。渡辺竜王の場合、勝利へのアプローチが実に合理的で実戦的である。
 例えば、感想戦や『将棋世界』の「イメージと読みの将棋観」などで、ある局面において有力そうな手が示されても、「実戦では指さないから、調べても仕方がない」「この戦型にはならないので、あまり興味はない」といった旨の発言をしている。

 封じ手も、はっきり戦略の要素と考えている。2007年に出された『頭脳勝負』(渡辺明著)において、
 「封じ手をするほうは一手先の局面を考えることができる。選択肢が多い局面で封じ手をして、相手の意表を突くことができれば、二日目の朝に「一本取った」というように精神的に有利になれる」
と述べている。
 この「一本取った」という表現は実戦的な渡辺竜王らしい表現だが、これは一般読者を意識した分かりやすさを重視したとも考えられる。
 さらに、封じ手まであと1時間、消費時間は同じという条件で、自分に手番がある時、次の一手が①「誰が考えてもこの一手」、②「有力な選択肢がいくつもある」場合に分け、
 ①の時は、当然の手を封じ手にしても、相手にもその後の展開を考えられてしまい、1時間も払う価値はないと述べている。(指し手を進め、②の機会を窺う)
 ②の時は、封じた側はその後の展開を午後6時~翌朝9時まで考えることができるのに対して、相手は各々の変化をなんとなくしか考えることができない。これならば1時間を払う価値は十分にあると記している。

 そしてさらに、渡辺竜王の将棋観を示す出来事が起こった。
 11月5日、A級順位戦▲屋敷九段×△渡辺竜王戦。将棋は「矢倉91手組」と呼ばれる最前線の手順で、NHK杯戦2011年(2010年度)決勝の羽生×渡辺戦もこの類型で、先手の羽生二冠が変化している。
 
 91手目の▲8一飛成までの消費時間は屋敷九段の2時間3分、渡辺竜王25分。ここで、竜王は有力手の一つの△4三金を6分で着手している。
 以下▲4一龍(36分)△4二歩(35分)▲3四歩(27分)△1四歩(11分)▲1一銀(56分)△1三玉(5分)▲3六桂(4分)△同成銀(58分)以下19手指し継いだが、その後の竜王はほとんど1分未満で指し(計10分)午後7時59分に投了している。消費時間は屋敷九段4時間45分、△渡辺2時間30分、指し手119手(持ち時間、各6時間)。
 中継サイトによると、▲3四歩が盲点になっていたとのこと。盲点の一手の後、11分で△1四歩を指しているのは、竜王らしい勝負術だ。

 渡辺竜王は、この一局について、
「予定通りの進行でしたが研究に大きな穴が空いていて、簡単に負けてしまいました。予想外の手が出てから時間を使うつもりでしたが、その時点で既に敗勢というお粗末な将棋。結局、時間を使うところがなく持時間6時間を半分以上余しての投了。
 こういうことが減るように研究精度を高めないといけません。申し訳ない内容でした」

と述べている。
 確かに、研究精度を高めるのは肝要なことであるが、こういう対局姿勢でいいのかなと、ほんの少し疑問を感じる。対局が研究発表の場のように感じてしまう。
 私はこの対局をリアルタイムでは観戦できず、9時ごろサイトを開いたら終局していたのには驚き、少々ガッカリした。リアルタイムで見ていた方はどういうふうに感じたのだろうか?91手組の通り進み、その後竜王がどんな秘手を見せてくれるのかと待っていたら、ほとんど見せ場なく終局。91手まで定跡(VTR)を見せられ、さてと思ったら終了…。

 研究に穴が開いていたのは仕方がないとして、研究手順を再現するのみでなく、その途中で読みを入れていれば修正できたかもしれない。もしかしたら、途中で気がついたという可能性もあるが、そこまで(91手まで)の考慮時間が25分では、その可能性は低い。
 考慮時間を有効に使うため、事前の研究で対局における時間と労力を節約し、その分を未知の局面に当てるというのは合理的で正当な戦略である。
 しかし、観戦者の立場としては、研究手順を踏まえていたとしても、その過程で読み(気迫)を入れ、その結果、同一手順で敗れたとしても、対局者にとって渾身の一局であったとしたら、私はそのことに重みを感じることができる。
 屋敷×渡辺戦の渡辺竜王の指し手には、何の感動もなかった。
コメント (10)
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