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カンボジア経済

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書籍 インフラ協力の歩み 自助努力支援というメッセージ

2021年06月26日 | 経済
 シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」の第2回配本「インフラ協力の歩み 自助努力支援というメッセージ」が刊行されました(東京大学出版会:3700円)。著者は、国際協力機構(JICA)の山田順一副理事長です。戦後賠償から「質の高いインフラ・パートナーシップ」まで、日本とアジア諸国を結んできたインフラ協力の思想と通史をふりかえり、今の日本の援助が光る条件を考えるとしています。
 内容は、第1部「日本のインフラ支援の歴史・理念・効果(日本のインフラ支援の歴史、インフラ協力の理念と効果)」、第2部「各国におけるインフラ支援の歴史(インドネシア、ミャンマー、フィリピン、ベトナム、タイ、中国、インド)」、終章「インフラ支援を成功に導くもの――他国の援助と差別化せよ」となっています。
 第1部、第2部で、日本の円借款等による途上国のインフラ開発支援は、大きな効果を発揮したことを示し、終章で、その成功の要因を分析しています。その要因とは、長期計画におけるコミットメント、既存制度との連続性、長期的な信頼関係の構築等であるとしています。また、インフラ支援への批判に対し、「相手国の人材育成を伴い、相手国の自助努力を引き出した例に満ち溢れている」と反論しています。最後に「中国援助との差別化」について、中国援助の問題点を指摘し、「日本と中国のインフラ開発の決定的な違いは、日本には領土や資源といった野心はなく、かつ法治、人権、民主主義などの普遍的な価値観を世界と共有していることである」と断じています。日本のキーワードは「質が高い」ことであるとし、技術や工法が高度であるだけでなく、入札の透明性、環境・人権へのセーフガードの順守、債務の持続性の評価などを事業ごとに確保することにあるとしています。
 私は筆者と海外経済基金同期入社であり、同じ時代を過ごしてきただけに筆者の分析や主張には大きく同感するところです。筆者もあとがきで、「今後の日本のODAを背負う援助機関の若者やコンサルタントや建設会社商社の方々の参考になればと執筆を続けた」としています。多くの方々にぜひ読んでいただきたいと思います。

東京大学出版会のサイト
http://www.utp.or.jp/book/b561885.html


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