カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

IMF IV条協議結果2015 マクロ経済の好調を評価

2015年11月19日 | 経済
 国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。本年7月に行った2015年のカンボジアとの協議結果詳細について、11月16日にIMFから発表がありました。
 主なポイントは以下の通りです。(1)カンボジアは過去5年間の平均でも7%以上とアジア諸国の中でも最速レベルの成長を続けている。2015年は7.0%、2016年は7.2%と予測。 (2)物価上昇は問題なし。2015年は1.1%、2016年は1.8%と予測。(3)経常収支赤字は、輸出多様化と石油価格低下により、対GDP比で2015年11.1%、2016年10.6%と縮小傾向にある。外国直接投資と公的借款で埋め合わせて総合収支は黒字を維持している。(4)外貨準備は2015年50億ドル(輸入の4.0月分)、2016年55億ドル(輸入の4.0月分)を見込み安定的。(5)財政赤字も対GDP比で2015年2.0%、2016年2.6%と低レベルにある。なお、添付されている債務持続性分析報告書(DSA)では、カンボジアの対外債務の状況を「低リスク」に分類し、当面問題ないものとしています。
 カンボジアの経済のリスクとしては、国内的には金融セクターの脆弱性、賃金上昇による競争力低下と労働争議を挙げています。国外リスクとしては、米ドルの増価やヨーロッパの経済鈍化による縫製品輸出の低迷、中国経済の予想外の低迷による観光客減少や直接投資減少等が挙げられています。
 IMFの理事会では、このレポートに基づき、カンボジア経済の良好な実績、ミレニアム開発目標達成における目覚しい進展、低所得国から低位中所得国への格上げ等を高く評価しています。特に、サプライチェーンへの統合による輸出の多様化と拡大に有利な位置にいるとしています。また、インターバンク市場に欠かせない譲渡性預金証書(NCD)の創設を評価しています。同時に、不動産・建設セクターへの貸付急増等の急速な信用拡大には懸念を示し、金融危機等の万一に備えた経済政策の準備と拡充を勧告しています。最後に、経済多様化と包括的成長に向けた継続的努力への期待を表明しています。特に、競争力強化のために、インフラの改善、人造り、投資環境の改善が必要であると勧告しています。
 非常に詳細な英文のレポートですが、統計数字等については最も信頼が置けます。下記のIMFのサイトをご覧ください。

IMFの発表
http://www.imf.org/external/np/sec/pr/2015/pr15518.htm


にほんブログ村 海外生活ブログ カンボジア情報へ
にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする