世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

We can do it !  

2011年06月22日 | 人生
2度目の給料支払い日を控えて



スタッフとの話し合いを行った。




早い話が


賃金交渉だ。





お互いの生活をかけた死闘


といっても過言ではないほど





火花を散らす。






相手が外国人であるからして



これは



ある意味


外交交渉ともいえる。






ボクは


現状の銀行通帳の数字を示し


経費の詳細を説明したうえで、

差し引いて



残額が


彼らの給与にショートしていることを伝える。

(情報をすべてガラス張りにする)






その上で



「いくら必要か」


と切り出した。


(結論から入る)






グダグダいい訳8言い逃れ)したり



説教がましいことは一切言わない。






何より


数字がすべてを物語っている。





そして


何より




その数字の意味するところは



最前線で働いてきたスタッフである彼らが


嫌というほど理解している。






彼らは



自らホワイトボードに数字を書きだした。





そして


本来もらえるであろう給与の金額を示す。



そうすればいくら不足しているか分かる。


(この間、一切口を挟まない)







一か月前


最初の給料日に




ボクは身銭を切った。





その時一つの条件を出した。



「ボクが身銭を切るのは、これが最初で最後だ。



次からは



稼いだ分で分けてくれ」 と。





彼らは頷(うなず)いた。


つまり



同意した。







そしてこの日


「ショートしている分、身銭を切ることは不可能だ」 

と約束通り告げた。





その上で


「この稼ぎだけの金額では


君たちの生活はやっていけないことは分かる。




だから



いくら欲しい」




と単刀直入に聴く。






彼らは


再びホワイトボードに向かって書きはじめる。




そして


ショート分を約半額にした数字をボクにしました。






同時に



来月からの時給を大幅に減らす(3割~4割カット)ことを


彼ら自身から提案してきた。




ナント



最低給与ギリギリの線だ。






その代わり


それを保証しろという。




最もな話だ。







ボクは




黙って



ジョッキのビールを空けると


トイレに行って時間を置いた。




(結論を急がず、間をとる)


しかもビールを飲みながら交渉を行っている。





これは


夕方からお客さんと飲み始めていたからだが




商社マン時代


当たり前の光景で




ずいぶん鍛えられた。








トイレから帰り、



「君たちの給与を保証するだけの


売り上げの裏付けは?」



と赤ら顔で話題を切り返す。





彼らはまたホワイトボードで数字をはじき出す。



一日の最低売り上げを示す。





彼らの計算能力は高い。



充分可能な数字だ。








来店客数と


一人当たりの客単価でそれは決まる。





どちらか


あるいはその双方を伸ばさなければならない。







経営とは


単純なものなのだ。






「客数」 × 「客単価」 = 「売上」


なのだから。





もちろん


経費削減も必要だ。




利益率が


彼らの給料に大きく反映する。





あとは


どうすれば



「客数」



および



「客単価」


を伸ばせるか。





これが



いわゆる

『マネイジメント』 なのだ。





そのとき


ボクは




完全に

ドラッカーに成り切っていた。





彼が


「マネイジメント」 の中で言っていることは



何も難しいことはない。





ビジネスを行う上で

すべて


当たり前のことなのだ。









彼らの示した数字を指して



一言


聞いた。




「Can you?」




「Yes」


と、力強い返事が返ってきた。





ボクは


これを待っていた。





彼らの 「モチベーション」 を上げたかったのだ。






こちらからノルマを押し付けるのではない。




彼らが

自分で挙げた数字に


責任を持たせる。





彼らは


自ら示した数字に向かって邁進するだろう。





「Deal! (よし、手を打とう!」


ボクの一言に


彼らはほほ笑んだ。




そして


ボクは再びビールをあおって言った。



「We can do it !!」




彼らは呼応した



拳を挙げて。


「Yes, we can do it !!」

                       









命を賭けた(?)交渉は終わった。




最後は


オバマで締めくくった感がしないでもなかったが。






蒸し暑い梅雨の夜、



ギンギンに冷えた生ビールが


火照った身体を冷やしてくれそうだ。







さて


明日から




金策に走らねば。





今夜は(も)


あおろう!