にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

人から言われたからじゃなく、自分で考えて決める

2020-04-28 13:22:16 | 病気のはなし
新型コロナの全世界的流行で、多くの方々が「コロナは怖い」と感じながら生活していることと思います。
ただ、ちょっと気になるのは、あちこちで「非難」の嵐が吹いていることです。

●県外への移動を避けましょう! ・・・ 県境や主要駅での検温、県外からの人お断り、県外ナンバーへの嫌がらせ、、、
●三密を避けましょう! ・・・ 公園の閉鎖、マスクをしない人への非難、営業を自粛しない店舗への非難、、、
●感染者発生! ・・・ どこのどいつだ、濃厚接触者は誰だ、関連あるかもしれないやつは来るな、、、

確かに不安な気持ちは分かるのですが、少し冷静になって考えなくては、これではまるで魔女狩りですよね。

でも、
●県内なら安心なわけではないし、県境をまたいで通勤している人がいます、出張や営業車で県外ナンバーの人もいます。
●外出すべてがダメじゃなくて密な接触を避けましょうです、マスクよりフィジカルディスタンス(2m以上)が大事です、営業しなければ倒産する心配だってあります、、、
●感染したくてした人はいません、誰が感染しているかわからないからどこで感染するかはわかりません、疑い始めたら人を見たら泥棒と思えになってしまいます。

また、国が決めたことや専門家の見立てが、正しいことばかりとは限りません。(もちろん責任逃れのような言動は非難されるべきですが)
特に「お題目」や簡単な解説だけを鵜呑みにしてしまうと、本当に必要なことが見過ごされてしまうことだってあります。

ここで大切なのは、人から言われたことを鵜呑みにするのではなく、それを
自分の頭の中でもう一度よく考えてから行動に移す
ことです。

私は次のように考えます。
●県外への移動を避けましょう! ・・・
  県内外を問わず、移動に伴ってウイルスを運んでいるかもしれません

●三密を避けましょう! ・・・
  出来れば外出を控え、必要な外出時は他者との距離を2mとりましょう

●感染者発生! ・・・
  今まで以上に「自分が他人に感染させない」ことを意識しましょう

PCR検査の結果を絶対だと思わないでください!!

2020-04-28 09:59:41 | 病気のはなし
新型コロナ流行で一躍有名になったPCR検査。
とても大切な検査ではありますが、他の検査同様100%の信頼性があるわけではありません。

診察時にもお話しさせていただいていますが、検査は医者のためにやるものです。
って書くと、「え、何それ??訳わかんない」と思われるかもしれませんね。
もちろん突き詰めれば「患者さんのため」ではありますが、そこに
「何のために検査をし、その結果をどう読み(解釈し)、治療に生かすか」
という目的が無ければ無意味です。

例えば食物アレルギーのRAST検査(血液検査)。
検査が強い陽性を示しているのに平気で食べられている人もいれば、検査値が低くても強い症状が出る人や、症状が出るのに検査値は陰性の人もいます。
食べるのを控えていたら数値が下がって、それを根拠に食べるのを再開したら重い症状がでた、なんてこともあります。
結局検査値は参考にしかならず(と言っても重要な参考事項です)、患者さんの背景(家族歴や生活環境など)、これまでの経過などと共に考え併せて、初めて診断と治療方針が成り立つのです。

話を新型コロナのPCRに戻しましょう。
新型コロナのPCR検査は、現時点では
 ●感度(陽性の人を正しく陽性と判断できる確率): 高くても70%: 感染者の30%は見逃される
 ●特異度(陰性の人を正しく陰性と判断できる): 99%位?: 1%位の人は非感染なのに陽性=感染者とされる
程度の精度と言われています。

つまり、PCR検査では「感染していない」は証明できないということで、

大切なのは、医師が要PCR検査と考えたら、陰性でも潜伏期間は経過観察 することが必要だということです。

自分もいつの間にか感染者になっているかもしれない、と思って自分の行動を見直していきましょう!