GWを境にインフルエンザは下火になってきた様子です。(まだ安心はできませんが)
半日以上高熱が続いて受診した方に検査を行っても、陽性に出るケースが明らかに少なくなってきました。
ただ、インフルエンザの検査や診断には限界があるので、その点を理解した上で様々な判断をする必要があります。
具体的に言えば、
1.ウイルスに感染しても、すべての人が発病するわけではない。
2.インフルエンザが発症しても、微熱や軽い症状で終わる人も多い。
3.検査は、ウイルス量が一定以上にならなくては陽性にならない。
ということです。
2と3については、これまで何度かこのブログでも取り上げてきたので、今回は1について考えてみたいと思います。
2009年に新型インフルエンザ(A/H1N1)が流行した時、大阪府が新型インフルエンザが集団発生した関西大倉中学・高等学校の生徒、教職員の抗体検査を行いました。
その結果「抗体価が高値で、5-8月の症状の有無が確認できた98人のうち、18人(18%)は無症状だった」という事実がわかりました。
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http://www.cabrain.net/news/article/newsId/25576.html 参照
つまり
診断の確定した人の周りには、ほとんど症状がないか無症状でもウイルスを保有して感染源になる人が少なからずいる!
ということです。
別の見方をすれば、一定の診断確定者が出た時点でその集団は流行の真っただ中にいるということで、それ以降は流行の判定のために発熱者全員に検査を行う意味はあまりありません。
学校や幼稚園・保育園では、学校保健安全法で
感染者だけでなく、感染の恐れのあるものに対しても出席停止などの措置を行うことができることになっているので、インフルエンザを疑う症状(高熱や関節痛、咳など)が出た人は感染者(推定)として対処すればよいだけです。
もちろん症状が辛い、基礎疾患がある、家族にハイリスクの人がいるなど、必要と思われる場合には検査を行って治療方針を決めることになります。
マスコミなどが騒ぐから不安になってしまうのではなく、医療と社会が上手に連携して、適切な対処が行われるようになることを期待しています。