にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

6歳未満のチャイルドシート・ジュニアシートは義務です!

2021-09-17 11:21:55 | つれづれ

「赤ちゃんを車に乗せるときはチャイルドシートに」というのは今や常識になっていますが、こうした「幼児用補助装置(チャイルドシート・ジュニアシート)」をいつまで使う必要があるかについてはしっかりと意識されているとは言えない状況で、車の中を子どもが自由に動き回っているのを見ることも少なくありません。

道路交通法上は、6歳未満の乳幼児を車に乗せる際は「規定に適合する、発育の程度に応じた幼児用補助装置」を使うように書かれていて、チャイルドシート・ジュニアシートを使わなかった場合は交通違反で違反点数1点(反則金は無し)となります。
 ※6歳以上の子どもがジュニアシートを利用することは問題ありません

では、チャイルドシートからジュニアシートに変更するのはいつが良いのでしょう?

国土交通省のサイトによれば、幼児用チャイルドシートは体重9~18kg、身長65~100cm、年齢1歳~4歳くらいとされているのに対して、ジュニアシートは体重15~36kg、身長135cm以下、年齢4~10歳くらいとなっています。
これをおおざっぱに言えば、3歳になるまではチャイルドシート、3歳を過ぎて身長も100cmを越えたらそろそろジュニアシートと覚えておけば間違いないでしょう。

ただし、ジュニアシートには背もたれのあるタイプ(シートベルトが肩にかかる高さを身長に合わせられる)と座面だけのタイプがあって、安全性については明らかに背もたれタイプの方が高いので、可能な限りこちらを選ぶ方が無難です。

ちなみにシートベルトは最低140cm以上ある人(おおむね小学4年生の平均身長)を想定して設計されていますから、法律で義務付けられている6歳を超えていても身長がまだ十分に高くなっていない間は、座面だけのタイプでもよいのでジュニアシートを使用することが望まれます。

こうしたチャイルドシート・ジュニアシートですが、皆さんはどこに装着していますか??
チャイルドシートについては多くの方が後部座席につけていると思われるのですが、ときどき助手席についているのを見ることがあります。
助手席に子どもを乗せるのには様々な理由があるのでしょうが、事故が起きてしまった時を想定するとお勧めすることはできません。

車の安全装備として今や当たり前のエアバッグですが、これは作動するときに内部の火薬が爆発して一瞬で膨らむので大きな衝撃が生じます。
その影響は助手席に大人が座った状態での事故被害を最小限にするように設計されているため、たとえチャイルドシートやジュニアシートをつけていても子どもがエアバッグによって顔面や胸部などに大怪我をする可能性があるので注意が必要です。
もしやむを得ない理由で助手席で使用する場合には、シートを一番後方まで下げて使用すること、チャイルドシートは前向きにするか助手席エアバッグをOFFにすることなど、事故による被害を最小限にするための工夫が必要です。(それでも後部座席に装着するよりはリスクが高くなります)

事故はいつ起きるか分かりません。
起きてしまってから「○○しておけばよかった・・・」とならないためにも、多少の不便には目をつぶって、しっかり後部座席にチャイルドシート・ジュニアシートを装着してあげましょう。


0歳児と入院中以外では、RSウイルスの検査は保険適用外です

2021-09-08 18:15:14 | 病気のはなし

9月に入ってRSウイルス感染症が急増していますが、それに伴って一部の保育園などが保護者に「RSウイルスの検査を受けてくるように」と指導しているようです。

しかし残念ながらRSウイルスの検査は、0歳児と入院中を除いては健康保険を使って行うことが出来ません。

「じゃぁ、検査費用だけ自己負担すればいいのでは?」と考える方もいるかも知れませんが、残念ながら「混合診療」に該当するため出来ない決まりになっています。

この混合診療と言うのは「健康保険の範囲内の分は健康保険で賄い、範囲外の分を患者さん自身が費用を支払うことで、費用が混合すること」を指していて、一部の例外(国が認めた先進医療、該当する疾患の診療と無関係の疾患に対する検査や処方など)を除いては、健康保険の範囲外の費用を医療機関が無料で行うか、逆に関連する全ての費用(診察料や処方箋料、後日の経過観察の受診も含む)を患者さんが全額自費で支払うかのいずれかになります。

このことはノロウイルス検査(3歳未満か65歳以上、または悪性腫瘍など特別な疾患を有している場合のみ保険適用)についても同じです。

また、年齢等の適用対象の問題とは別に、療養担当規則によって「各種の検査は診療上必要があると認められる場合に行う。また、検査は、診療上の必要性を十分考慮した上で、段階を踏んで必要最小限に行う。」とされているので、単に患者さんの希望があるからという理由だけで検査をすることは認められていません。

感染を心配する気持ちは理解できますが、それ以上に大切なのは「病状を正しく把握して治療方針を立てること」ですから、お互いが納得できる診療を行いたいものです。