にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

0歳児と入院中以外では、RSウイルスの検査は保険適用外です

2021-09-08 18:15:14 | 病気のはなし

9月に入ってRSウイルス感染症が急増していますが、それに伴って一部の保育園などが保護者に「RSウイルスの検査を受けてくるように」と指導しているようです。

しかし残念ながらRSウイルスの検査は、0歳児と入院中を除いては健康保険を使って行うことが出来ません。

「じゃぁ、検査費用だけ自己負担すればいいのでは?」と考える方もいるかも知れませんが、残念ながら「混合診療」に該当するため出来ない決まりになっています。

この混合診療と言うのは「健康保険の範囲内の分は健康保険で賄い、範囲外の分を患者さん自身が費用を支払うことで、費用が混合すること」を指していて、一部の例外(国が認めた先進医療、該当する疾患の診療と無関係の疾患に対する検査や処方など)を除いては、健康保険の範囲外の費用を医療機関が無料で行うか、逆に関連する全ての費用(診察料や処方箋料、後日の経過観察の受診も含む)を患者さんが全額自費で支払うかのいずれかになります。

このことはノロウイルス検査(3歳未満か65歳以上、または悪性腫瘍など特別な疾患を有している場合のみ保険適用)についても同じです。

また、年齢等の適用対象の問題とは別に、療養担当規則によって「各種の検査は診療上必要があると認められる場合に行う。また、検査は、診療上の必要性を十分考慮した上で、段階を踏んで必要最小限に行う。」とされているので、単に患者さんの希望があるからという理由だけで検査をすることは認められていません。

感染を心配する気持ちは理解できますが、それ以上に大切なのは「病状を正しく把握して治療方針を立てること」ですから、お互いが納得できる診療を行いたいものです。


ワクチンを2回接種しても予防対策は怠りなく

2021-08-27 15:34:00 | 病気のはなし

いよいよ今週末からむつ市の大規模集団接種が開始されます。
9/5には希望者全員の1回目が、9/26には2回目の接種が終了となります。
そして10/10には、十分な効果が期待できる2回目終了から2週間を迎えることになります。
これでむつ市の感染予防対策の基礎が完成するわけですが、手放しで喜べるわけではありません。
まず第一に、ワクチンの効果は重症化や死亡のリスクを減らすことが主体であって、2回接種しても感染・発症する可能性が(低くはなりますが)無くはなりません。
そして、不幸にも感染してしまった場合には、ワクチン未接種者と同等の感染力を持つことが分かっています。
第二に、12歳以下の小児はワクチン接種の対象外ですし、体質・持病等の理由によってワクチンを受けることができない人もいるので、そうした人にとっては感染は命にかかわる可能性もある大きなリスクです。
残念ながら「ワクチン接種が終わったから、マスクも消毒も気にしないで、以前のように何でもやっていいよねー(笑)」とはならないのです。
いずれ新型コロナウイルス感染症も季節性インフルエンザ程度の心配をすれば済む時が来るとは思いますが、それまでは予防対策をしっかり続けて日常を取り戻していく必要があります。
口で言うほど簡単ではありませんが、自分や自分の大切な人を守るため、お互いに手を取り合って頑張っていきましょう!


ワクチンを2回接種しても予防対策は怠りなく

2021-08-27 15:34:00 | 病気のはなし

いよいよ今週末からむつ市の大規模集団接種が開始されます。
9/5には希望者全員の1回目が、9/26には2回目の接種が終了となります。
そして10/10には、十分な効果が期待できる2回目終了から2週間を迎えることになります。
これでむつ市の感染予防対策の基礎が完成するわけですが、手放しで喜べるわけではありません。
まず第一に、ワクチンの効果は重症化や死亡のリスクを減らすことが主体であって、2回接種しても感染・発症する可能性が(低くはなりますが)無くはなりません。
そして、不幸にも感染してしまった場合には、ワクチン未接種者と同等の感染力を持つことが分かっています。
第二に、12歳以下の小児はワクチン接種の対象外ですし、体質・持病等の理由によってワクチンを受けることができない人もいるので、そうした人にとっては感染は命にかかわる可能性もある大きなリスクです。
残念ながら「ワクチン接種が終わったから、マスクも消毒も気にしないで、以前のように何でもやっていいよねー(笑)」とはならないのです。
いずれ新型コロナウイルス感染症も季節性インフルエンザ程度の心配をすれば済む時が来るとは思いますが、それまでは予防対策をしっかり続けて日常を取り戻していく必要があります。
口で言うほど簡単ではありませんが、自分や自分の大切な人を守るため、お互いに手を取り合って頑張っていきましょう!


会話を伴う飲食は感染のリスクが高いので要注意です

2021-08-25 09:06:00 | 病気のはなし

デルタ株の出現で、感染リスクの考え方が大きく変わってきました。

以前は「対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触があった場合に濃厚接触者と考えられる」とされていましたが、諏訪中央病院の玉井先生の説明書にあるように、「デルタ株では体内のウイルス量が非常に多くなっているため短い時間でも感染する可能性がある」と考える必要が出てきています。
そのため、屋外での会食ですらクラスター発生が起こるようになり、「三密を避ければ大丈夫」ではなく、「マスクをしていても距離を取って短時間に」「マスクを外す必要のある飲食の場では会話は控える」ことが重要です。

これまでは濃厚接触者に該当する人に対しては保健所が検査を行い詳しい経過を追跡していましたが、感染者の急増のためその調査・追跡を行わない自治体も増加していて、無症状の感染者が感染に気付かないまま行動する可能性が非常に高くなっています。
また、ワクチンを2回接種すれば感染・重症化リスクが大きく下がることは確かなのですが、接種終了者の感染(ブレークスルー感染)も決して少なくはないことも分かってきました。

「ワクチンが済んでいるから何の心配もない」とか「私や周囲の人には症状がある人はいないから大丈夫」と思わず、常に「他者との接触があればいつどこで感染しているか分からない」と用心することが必要です。
そして、「もしかしたらコロナ?」と思われる症状(発熱、倦怠感、味覚嗅覚異常、咳、下痢など)が出現したときは、「カゼだよねー」などと高をくくらずに、まずは医療機関に相談することを考えましょう。

自粛が長期にわたり、いわゆる「自粛疲れ」になっている人も少なくないと思われますが、多数の人がワクチン接種を終えて一定の集団免疫が獲得されるまで、「自分と大切な人を守るため」にもう一頑張りしましょう!


新型コロナ、そのイメージちょっと違っていませんか?

2021-08-24 14:38:00 | 病気のはなし

青森県にも新型コロナウイルス感染症の大波が押し寄せてきています。
デルタ株になって、若年者の感染・重症化も多くなっていています。
ところで皆さんは、コロナ感染症をどう考えているでしょうか?
「大半は軽症で、重症化したり死亡したりするのは一部」って思っていませんか?
そして、その重症度についてのイメージは、医療者とはズレていませんか??
分かりやすく説明したサイトもあるので、ぜひご一読ください。

  >>>BuzzFeed Newsへジャンプ


12歳以上の小児のコロナワクチン接種について その2

2021-08-23 10:31:00 | 病気のはなし

6/12に小児の新型コロナワクチン接種について書いた時点では、「小児の流行・重症化は少ないので、慌てて接種する必要はなく、効果や副反応を見ながらよく検討を」と考えていましたが、デルタ株の流行に伴い全く違った様相を呈してきました。
以前の「小児の感染はほぼ大人から」「小児や若年者での重症化は少ない」が、現在では「小児から小児へ、小児から家族への感染も少なくない」「若年者の重症化リスクが以前より高くなっている」「感染した場合に十分な医療を受けることができない可能性がある」と変化していて、小児や若年者であっても感染・重症化リスクを減らす必要性があると考えた方が良いようです。
海外でのデータではありますが、若年層でのワクチン副反応で最も心配されていた心筋炎については「感染後の心筋炎発生リスクよりも明らかに少なく、大部分のケースでは回復している」ということなので、接種を回避する理由にはならないと考えてよさそうです。
とはいえ、予防接種は(新型コロナワクチンに限らず)決してノーリスクではありませんので、迷った時にはかかりつけ医と相談するなどして最終判断をしてくださいね。


12歳以上の新型コロナワクチン接種について

2021-06-12 09:57:00 | 病気のはなし

65歳以上の高齢者の半数が1回目の接種を終えました。
高齢者の集団接種日には、施設(高齢者以外の)や学校・保育園の職員等への優先接種も並行して開始されています。

今後12歳以上の小児や高校生年齢の接種も開始となりますが、若年層では高齢者と比べると副反応の発現率が高いこと(危険なわけではありません)、痛み刺激に対する不安などが起こりやすい年齢であることから、接種を受けるかどうか、受けるとしたら集団とかかりつけ医での個別とどちらにするか、ご家族でよく話し合って(悩んだ時はかかりつけ医と相談して)決めてほしいと思います。


むつ市の新型コロナワクチン接種

2021-06-07 10:12:00 | 病気のはなし

むつ市では、行政と医療そして市民が一体となって、新型コロナの市中発生をほとんど起こさずに経過する中、ワクチン接種も着々と進んでいます。
医療体制については、6/1に基幹病院敷地内に20床の専用病棟が運用開始、間もなく療養施設も開設される予定とのことです。
ワクチン接種は、医療従事者、介護施設職員については、既にほぼ全員が1回目の接種を終了し(2回目も間もなく終了)、高齢者も医療機関個別と集団の組合せで半数近くが1回目の接種を終えました。
今後はクラスター発生予防の観点から、学校や幼稚園・保育園の教諭や保育士、警察官、集団接種にかかわるスタッフ等にも接種を対象を広げていくそうです。
64歳以下の一般の方々についても、高齢者の接種に目途が付いたことで、プロジェクトチーム内で速やかに接種が「終了」できるように計画立案中とのことです。
今後とも市民・行政・医療が良い連携を取りながら、このコロナ禍を乗り越えていきたいですね。


胃腸炎が増えてきています

2021-05-15 12:05:53 | 病気のはなし

下北地区では新型コロナは何とか流行にならずに済んでいますが、胃腸炎がチラホラと出てきていて、他院でノロの診断を受けたお子さんもいるようです。
胃腸炎にかかったときに大切なのは、まずは嘔気が落ち着くまでゆっくり胃腸を休ませてあげることです。
脱水を心配したり、本人が欲しがるからと言って、無理に水分を摂らせて嘔吐を繰り返しているケースが少なくありません。
嘔吐は長くても半日程度、今年は数回程度で落ち着くケースが多いようなので、慌てずにそこまで待ってあげましょう。
嘔吐が止まったようならば「ペットボトルのキャップやティースプーン1杯」くらいから水分摂取を始め、その後徐々に増やすようにしましょう。
ある程度の水分が摂れるようになったら食事もOKですが、赤ちゃんのお腹に戻ったと思って、消化に良いものをごく少量から始めてください。
ウイルスの排泄は、口からは1-2週間、便からは3-4週間続くとされているので、症状が落ち着いても、食器等の消毒、おむつ処理などに注意が必要です。
ノロ、ロタ、アデノなどという種類によって治療や家庭での対処法に違いが生ずるわけではないので、基本的にウイルス検査は不要です。
多くの胃腸炎ウイルスにはアルコール消毒は無効なので、汚物は熱湯や塩素による消毒で対処してください。