にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

下北管内小中学校臨時休業状況について

2018-01-30 18:09:08 | 病気のはなし
インフルエンザの流行により下北管内の多数の小中学校で臨時休業措置が取られています。
どんぐりのHPに当該週のどんぐりにおけるインフルエンザ診断状況と、管内小中学校臨時休業状況を掲載することにしました。
院内診断状況は毎日更新、学校臨時休業状況は情報が入り次第の更新となります。
青森県公式HPの感染症発生情報(週報)と共にご活用ください。


インフルエンザ急増、学級・学年閉鎖も多数

2018-01-30 14:08:58 | 病気のはなし
インフルエンザが爆発的に増加し、下北地区でも学級閉鎖や学年閉鎖(小規模校では学校閉鎖)が続々と出てきました。
ほとんどはB型なのですが、一部A型が多かったり、両方が流行中の学校もあります。
こういう状況になると、カゼ症状のある人にインフルエンザの検査をして出校(登園)停止の有無を決めるやり方には、感染拡大の効果はほとんど期待できません。
医療機関に行けばインフルエンザの患者が多数いるので、自分が他のカゼであっても帰るまでに感染してしまう可能性がありますし、登校すれば学校中にウイルスが漂っているのと同じですからやはり感染の可能性が大ということになりるからです。
こういう段階では、医療機関側は「カゼ症状を発症し、他の疾患を疑う必要性が低いと判断されたら検査をせずともインフルエンザと診断する」こととして(感染症定点のインフルエンザ届出基準では検査は必須項目になっていません)、学校側も学校保健安全法第一九条の「校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる」を適用すればよいのです。
インフルエンザの治療の基本は他のカゼと同様に「対症薬で症状を和らげて治癒を待つ」ですし、もし抗インフルエンザ薬による発熱期間の短縮を希望する場合でも検査結果が必須なわけではなく「医師のインフルエンザの診断」があればよいのですから、むやみに検査を行う必要はありません。
因みに出席停止措置を行う場合に最も有効なのは、「一気に5日間程度の学校閉鎖を行う」ことです。
発症者を休ませるだけでは潜伏期間中の保菌者がウイルスを撒き続けますし、学級閉鎖や学年閉鎖では他学級・他学年への拡大は防げず、ダラダラと感染が続くためです。
もちろん家庭や地域を通じての感染による再流行もあるでしょうが、今年のような爆発的な流行の場合には「学校閉鎖」が最も効果的と言えます。
疾患についての正しい知識を持つことによって、より良い対策をしていきたいものですね。

大流行することと、濃厚な医療の必要性には関連がありません

2018-01-26 15:40:22 | 病気のはなし
インフルエンザやノロ胃腸炎などが流行し始めると、新聞やテレビなどが大きく報道し、学校や園、職場などが急に大騒ぎを始めます。
確かにこれらの感染症は、周囲への感染力が強くて瞬く間に広がっていくのですが、一方でインフルエンザでは20-30%、ノロでは50%以上もの割合で症状の出ない不顕性感染があるともいわれていて、症状のある人を見つけて隔離や治療をしたからと言って感染拡大をシャットアウトできるわけではありません。
また、入院が必要になるような重症はその一部にすぎず、対症薬でも数日で軽快していく人が圧倒的多数を占めていますから、躍起になって検査をやって見つけようとしたり、検査陽性=抗ウイルス薬投与などと十把一絡げな対応をする必要もありません。
じゃぁ、放っておけばいいのか?と聞かれたら、それは違います。
感染力が強いのは症状のある間の一定期間(インフルエンザなら発病から5日程度、ノロなら嘔吐・下痢が続く間)で、感染ルートも飛沫(咳やくしゃみなど)・接触(手で触れるところ)が中心(ただし空気が乾燥していると遠くまで漂う)なので、これらの疾患が流行を始めたら、通常のカゼの症状であってもインフルエンザやノロに準じて登園・登校の基準や感染予防・消毒方法を考えるようにすることは大切です。
そのうえで、個々の症状の重い場合や入院が必要になる場合などには、鑑別診断をしっかり行って、必要に応じた治療計画を立てればよいのです。
むやみに病名に振り回されずに、的確に判断をして対処をしていくように心がけたいものですね。

学校の「インフルエンザ検査を受けて結果報告を」は健康保険対象外です

2018-01-23 11:29:31 | 病気のはなし
毎年この時期になると「インフルエンザの検査を受けて結果を報告してください」という学校や園が出てきます。
指示を出す側とっては、医療機関での検査を免罪符にしようとしたり、報告書に数値を書き込むための手順としか考えていないのかもしれませんが、医療機関は検査請負機関ではありません。
学校保健安全法第一九条では、「校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。」としていて、疑い診断でも、また今後感染する可能性のある者であっても、必要があれば出校停止措置ができることになっています。
高熱が出て、元気がなくて、、、という時に「インフルエンザも流行している時期なので、医療機関を受診してください」と指導するのは理解できますが、流行期であってもインフルエンザかどうかだけが問題なわけではありません。
経過と診察所見からおおまかな見立てを立てて治療方針を決めていくので、疑うべき疾患がいくつもあれば検査を行って鑑別していく必要が生じますし、逆に疑う疾患が一つだけだったり、症状が軽微で検査結果によって治療が大きく変わることはないと判断すれば検査は不必要になります。
そうした診察を経ることのない「とにかく検査をやってほしい」という希望は医療保険の対象ではなく、健康診断と同じ自由診療での対応となり、その場合には検査だけではなく診察料・薬剤料等も含めてすべてが自費=100%負担になります。
また医療機関(特に小児科)には多種多様な感染症の患者さんが集まってきますから、不必要な受診は感染症の拡大にもつながってしまいます。
もっと疾患についての理解を深めてよりよい対策を行えるように、教育委員会が中心となって教育と医療の連携が図れるようになるといいですね。

インフルエンザがブレークです!

2018-01-17 17:49:43 | 病気のはなし
新学期が始まり、予想通りにインフルエンザがブレークしました。
今年はA型B型の同時流行ですが、現状ではBが優勢です。
そのほか溶連菌、マイコプラズマなども相変わらず出続けています。
安易に発熱=インフルエンザと考えずに、症状の経過や所見、周囲の状況を総合的に判断して、必要な検査や治療を組み立てていくことになります。
状態が重くなければ、慌てて受診して「明日また来てください」にならないように、まずはゆっくり休ませてあげましょう。

時代錯誤の抗体検査要求

2018-01-10 16:37:26 | 病気のはなし
今日来た高校生の話です。。。
県内の医療系大学に進学するとのことで、感染症(麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜ)の抗体検査結果を要求する書類を持ってきました。
この書類には、「過去のワクチン歴は不問で、抗体検査をして低抗体価ならワクチン接種」としか書かれていません。
日本環境感染学会が改訂版のガイドライン(この記事のフローチャート)を出したのは2014年のこと、既に3年以上が経過しているのにもかかわらず、旧態依然な抗体検査ありきの姿勢です。
これが医療系大学の提出書類だというのですから、なんともはや悲しいやら(そこの学校のレベルの低さが)恐ろしいやら、、、
医学会全体として国(この場合は文科省)に意見していかなくては変わらないのでしょうね。

感染症がいろいろと・・・

2018-01-09 17:47:12 | 病気のはなし
1月も既に9日が経過しました。
まだ冬休みの真っただ中ですが、年末年始の大移動もあってか、さまざまな感染症が出ています。
今日1日でインフルエンザ5人(AもBもあり)、溶連菌3人、マイコプラズマ1人を診断しています。
これから保育園の登園再開、学校の三学期開始と、感染の更なる拡大が懸念されます。
うがい・マスク・手洗いをしっかり行い、体調が思わしくないときは無理せずお休みをしてくださいね。
インフルエンザ予防接種がまだ完了していない人は、急いで接種をしましょう。(どんぐりでは今月末まで接種します)

明けましておめでとうございます

2018-01-05 09:40:11 | つれづれ
今日から2018年の診療をスタートしました。
年末からインフルエンザもチラホラ増えてきているようですが、RSウイルス、マイコプラズマ、溶連菌など、いろいろな感染症が流行中です。
冬休み・年末年始で大きな人の移動もあったので、いつどんな病気がブレークするかわかりません。
うがい・マスク・手洗いをしっかり行い、休息もきちんと取って、病気の予防に努めましょう。
もし症状が出たときも慌てずにまずは状態を観察し、ぐったり感などがあれば急いで、無いようならば半日から1日程度の様子を見て医療機関を受診しましょう。
残り少ない冬休み、元気に楽しく過ごしてくださいね!