にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

スマホ認知症・スマホ老眼、、、若者の話です

2018-02-28 17:24:21 | 病気のはなし
日本テレビ「日テレNEWS24」にでていたスマホ関連の怖い話。
“スマホ認知症”20代の物忘れ外来患者も
若い人に増加「スマホ老眼」


内容を抜粋すると、、、
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認知症を専門とするクリニックでは、患者の30%が40代~50代、10%が20代~30代と認知症にならないような世代の受診がここ数年は増えているという。
スマホの登場で現代人は“情報入手”だけが多い状態になっている。気がつけば、脳は情報で“オーバーフロー”となり過労状態になるという。そのため、物忘れや感情のコントロールができない、自分らしさを失うといった、うつ病や認知症と同じ症状が引き起こされるという。
ほかにも症状が続くと、老後の認知症の危険も高まるということだが、スマホ認知症は生活習慣を変えれば改善するという。そのために必要なのは“ぼんやりタイム”だ。集中して何かをした後にぼんやりする時間が脳には必要だという。
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スマートフォンの画面を見続けるなど目を酷使すると、ピントを合わせる筋肉が凝っていく。そうすると、老眼のように一時的にピントの調節ができなくなる症状、これがいわゆる「スマホ老眼」だ。老眼が始まるとされる40代ではない、30代以下の若者の間で増えてきている。
「スマホ老眼」にならないためには、連続使用を避ける、断続にして休憩を入れる、少し離しがちにして雑誌を読むとか読書の距離にするほうがいい
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ということです。
ニュースの内容からは、今のところ本物の認知症や老眼ではなく、一時的な問題で元に戻るもののようですが、長い間続いて行けば不可逆的(元に戻らない)状態まで進んでいくことも懸念されます。
スマホは使うもの、スマホに使われることのないよう注意したいですね。

事故予防の基本は「注意ではなく、事前の準備」です

2018-02-23 16:06:12 | 病気のはなし
どんぐりで行う乳児健診(4か月・7カ月)では、発育や発達のチェックを行うのはもちろんですが、事故予防の啓蒙に力を入れています。
家庭内で起こる事故は、火傷、転落、誤飲、溺水、、、いろいろありますが、いずれも一程度の予防が可能なものです。
お母さん・お父さんに具体的な対応を尋ねると「注意して見るようにしています」という答えが大多数なのですが、残念ながら事故が起きないように注意するのでは事故予防にはなりません
本当に必要なのは、もし注意ができなかった時でも有効な予防策を講じておくことです。

そのためには、
1.正しい知識を身に着ける
2.繰り返しシミュレーションする
ことが大切です。

まず、どんな場面でどんな事故が起きるのか、それはどうやったら防げるのか、ということがキッチリ頭に入っていなければなりません。
そして、いつ事故が起きるかは誰にもわからないので、その場面が近づいていることに気付けるようにアンテナを高く張り、実際その場面になってしまった場合に反射的に対応ができるように準備しておかなくてはならないのです。

例えば誤飲について考えてみると、
「小さいものは誤飲の危険があるのを知っていますよね?」に「YES」と答えられても役には立ちません。
「小さいものって何mmのものですか?」に「39mm」と答えられて初めて第一関門突破です。
とは言っても単に39mmと言われただけでは、具体的な大きさや、立体感はイメージできませんね?
そんな時有用なのが、誤飲チェッカーというアクリル製の計測器や、チャイルドマウスという紙で作る計測器です。
こうしたものを利用して、普段からチェックを繰り返しておくことで、「小さいもの」が視界に入ったときに気づき、除去できるのです。

誤飲チェッカー >>>詳細はこちらをクリック


チャイルドマウス


同じことは、ストーブのガードフェンスや、水遊びの時のライフジャケット、車に乗るときのチャイルドシートにも言えます。
育児雑誌やネットを上手に利用して、正しい知識を身に着け、事故を予防してあげてくださいね。

こういう開発にこそ公的助成を!!

2018-02-21 14:12:04 | つれづれ
高齢者のアクセルとブレーキの踏み間違えによる死傷事故が後を絶ちません。
もちろん高齢者以外でもないわけではありませんが、やはり加齢による咄嗟の判断能力の低下があるため、予想外の事態が発生した時にパニックになって、ブレーキと思い込んでアクセルを強く踏み込んでしまうのだと思われます。
新しい車を買うならば衝突安全システムもついてくるでしょうが、高額な費用が掛かるわけですから簡単にはいきません。
後付けできる安全システムの開発が急がれるわけですが、国が主導権をもって開発を進めているわけでも、チャイルドシートのISOFIXのように法令で義務化する方向に動いているようでもないため、繰り返される事故が放置されている状況です。

そんな中、今日ネットにこんな情報を見つけました。
ブレーキとアクセルの機能を集約…踏み違えない「ワンペダル」で事故防止
    (読売新聞「ヨミドクター」)

熊本市の「ナルセ機材」が開発した、踏み込めばブレーキがかかり、ペダル右側のレバーを足で外側にずらせば加速する「ワンペダル」
埼玉県川口市の「ナンキ工業」が開発した、一定以上の力でアクセルを踏むと警告音が鳴り、ブレーキがかかる「STOPペダル」
いずれも20万円以内で取り付け可能で、ペダルの付け替えは自動車の改造にあたらず、車検の基準をクリアできているそうです。

ただし規模の小さい町工場のため、需要があっても供給が間に合わないのが難点。
こういうことにこそ、税金を投入して普及を図ってほしいものですね。

流行っているのはインフルエンザだけではありません

2018-02-16 11:23:09 | 病気のはなし
テレビが「インフルエンザ大流行!!!」と騒ぎ立てるので、世の中「インフルエンザ心配性」だらけになっていますが、実際にはインフルエンザ以外にも多種類の感染症が発生しています。
どんぐりでも、溶連菌やマイコプラズマは毎週見つかっていますし、症状からヒトメタニューモウイルス感染症やウイルス性胃腸炎を疑わせる患者さんも少なくありません。
ここで重要なのは病名ではなく、病状です。
「カゼ=外部からの病原体による感染症」と考えればよいので、症状が軽ければ基本は「対症薬で症状を和らげて治るのを待つ」ですが、症状が重かったり(特に乳幼児のRSやヒトメタニューモウイルス)、合併症が心配になる疾患(代表が溶連菌)の場合には、病原体によって治療方針が異なってくるため、検査等も含めての診断が大切になります。
周囲が騒いでいる病名に振り回されず、病状をしっかりと看て、適切なタイミングで受診をしてあげてくださいね。

「インフルエンザの検査を受けて来てください」は間違った指導です

2018-02-06 13:06:38 | 病気のはなし
「インフルエンザの検査を受けて来てください」という受診が未だに後を絶ちません。
毎年のように教育委員会に「受診を勧めることは大切だが、検査を求めることは間違っている」という申し入れをするのですが、なかなか改善がありません。
学校の先生達は、なぜ検査を求めるのでしょうか?
子ども達が罹っている疾患は、決してインフルエンザだけではありません。
溶連菌やマイコプラズマ、RS、ヒトメタニューモ、アデノ・・・様々な感染症が出ているのですから、インフルエンザさえ検査すればいいわけではないのです。
まるで子どもの状態より、報告書に数値を入れるために受診を促しているかの様態です。

ところで皆さんは、文部科学省が「学校において予防すべき感染症の解説」という冊子を出しているのをご存知でしょうか?
  >>> 詳しくはこちら(文部科学省HP)をご覧ください

この中には、
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4 学校保健安全法関係条文
○学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)
○学校保健安全法施行令(昭和三十三年政令第百七十四号)
○学校保健安全法施行規則(昭和三十三年文部省令第十八号)

○学校保健安全法  (出席停止)
第十九条 校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。
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2 学校における感染症への対応
(1)学校において予防すべき感染症の考え方   (第一種、第二種、第三種の感染症)
各感染症の出席停止の期間は、感染様式と疾患の特性を考慮して、人から人への感染力を 有する程度に病原体が排出されている期間を基準としている。
感染症の拡大を防ぐためには、患者は、
・他人に容易に感染させる状態の期間は集団の場を避けるようにすること
・健康が回復するまで治療や休養の時間を確保すること
が必要である。
なお、診断は、診察に当たった医師が身体症状及びその他の検査結果等を総合して、医学的知見に基づいて行われるものであり、学校から特定の検査等の実施(例えば、インフルエ ンザ迅速診断検査やノロウイルス検査)を全てに一律に求める必要はない。  
また、全員の皆勤をクラス目標に掲げている等の理由で、体調が優れず、本来であれば休養をとるべき児童生徒が出席するといったことがないよう、適切な指導が求められる。
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と、感染者のみならず、感染の疑いがあったり、感染の恐れある者であっても出席停止の措置ができること、検査の必要性は医師が判断するものである旨が明記されています。

診断・治療に寄与しない無駄な受診を勧めたり、検査陽性者が何%になったかを錦の御旗に措置を考えたりすることの無いように、今一度学校も保護者も医療従事者も、正しい知識を共有したいものですね。