にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

10×1 より 1×10で

2011-05-28 17:34:54 | 病気のはなし
ここの所ウイルス性胃腸炎、中でもロタウイルス胃腸炎が増えています。
繰り返す嘔吐と発熱で始まり、その後水様性の下痢が続くことが特徴ですが、昔と比べると軽症が多く、何日も吐き続けて重度の脱水になり入院することは珍しくなりました。
とは言っても初日は嘔吐を繰り返すため、見ている保護者の方にとっては脱水が心配になるところですね。
そこで一生懸命水分を摂らせようと努力をしてくれるのですが、その方法を間違ってしまって、かえって嘔吐を誘発しているケースが少なくないので、注意が必要です。
嘔吐中の腸管は穴の開いたバケツのようなものですから、いつものように水分を入れてやっても、漏れるばかりで体の中には溜まってくれません。
穴の場所が底に近ければ、たくさん入れるほど漏れる量も増えてしまうことになりますが、穴の場所がどこかは残念ながら外からは見えないのです。
ではどうすれば…
穴が開いているとは言っても底がないわけではありませんから、少しの量にすれば漏れるのはわずかで済みます。
それを繰り返していけば、トータルとしてはたくさんの水分が入ることになります。
10×1 より1×10というのは、そんな意味です。
ちなみに最初に飲ませる量はスプーン1杯(5cc)程度から、もしくは氷を舐めて溶けたのを飲み込む程度。
数分おきにこれを繰り返しながら、徐々に1回量を増やしていきましょう。
飲ませるのはただの水やお茶より、経口補液剤と呼ばれるものが望ましいです。
薬局等で購入できますが、自宅で簡単に作ることもできるので、是非作り方を覚えてください。
水(ぬるま湯)1Lに砂糖40g(大さじ4)と塩2-3g(小さじ1/2くらい)、たったこれだけです。
味付けはレモンやグレープフルーツ(カリウム補給にもなる)がお勧めです。

エコ、リサイクル・・・ でもその前に

2011-05-10 08:33:34 | つれづれ
原子力発電は安全、しかもエコ。
国も電力会社もマスコミも総出で宣伝してきましたが、今回の大震災・大津波でその神話は脆くも崩れ去りました。
すると一気に脱原発の声が雨後の筍のように聞こえるようになりましたが、本当にそれでいいのでしょうか?

大地震などの災害時には原子力発電の安全性が損なわれるだけではなく、周辺地域の安全をも脅かす存在となりかねないことは、もはや誰の目にも明らかだと思いますが、今の日本の電力事情は、これまでの政策から原子力に大きく依存していて、即停止となれば大規模停電の恐れがあります。
また一方で、火力発電は石油や石炭という有限資源を利用するとともに温暖化の要因の一つであり、大規模な水力発電は森林伐採等の自然破壊を伴うこと、太陽光発電は莫大な土地が必要な上に雪国などでは効率が悪いこと、風力発電は発電量が低く低周波による健康被害の問題が懸念されることなど、代替となる発電方法にもデメリットがあるのも事実です。

ちょっと考えてみてください。
そもそも、本当にこんなに電力が必要なのでしょうか?
どんどんと大量に生産し、安価だからと消費し、修理するより新品を買ったほうが安いからと廃棄して莫大なゴミをつくり、増えたゴミのために費用をかけてリサイクルし・・・
何だか矛盾していますよね。

便利さやコストだけを追求するような社会から、人や物を大切にする社会に変わっていくことが、これからの日本に必要な気がします。
どうやってそれを実現していくか、他人任せではなく、自分の問題としてみんなで一緒に考えていきたいですね。

インフルエンザB型に加えて、溶連菌も増加中

2011-05-06 13:08:36 | 病気のはなし
あちこちの学校等でインフルエンザB型の流行が見られています。
連休で学校の枠を超えた人の交流が増えているので、まだまだ予断を許しません。
それとは別に、先週あたりから溶連菌の患者さんが増えてきています。
発熱とともに強いのどの痛みや赤いイチゴ状の舌、体の発疹などが出た場合は、強く疑う必要があります。
発熱したからと慌てて受診せず、まずはお子さんの様子を良く見てあげてくださいね。