Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング686. 小説:小樽の翠610. 本気の冬だ!

2023年02月01日 | field work
 
 翠は、日勤だから既に病院へ出かけた。
 今は、いつまでも布団にもっていたい寒さだ。空腹感が起きようとする気分にさせてくれる。翠がつくっておいたスープに火をいれる。今年の寒さは、アチキがこれまでに経験したことがない寒さだ。氷河期の始まり・・・。実は軽い氷河期は江戸時代にもあった。本気の冬だ!。
 空腹感を満たすと元気が出る。酷寒のランドスケープを描きにゆこうか。そのあたりが人間の現金なところだ。
 除雪したアイスバーンの道を選び車を走らせ山を越えてゆくと平原にでる。アチキのスケッチフィールドだ。ここには、この時期しか描けない魅力がある。
 寒波が吹きすさぶから、早々に撤退し昼過ぎには街へ戻る。ほんの一寸だけ本気の寒さを体感するだけで都会人には十分。お昼は味噌ラーメンで暖をとる。元気回復、ならば午後はいつものポイントへ描きにゆこう。
 高台にある小樽公園から街へ降りてゆく途中に地獄坂がある。公園から坂道を下るのが定番コースだが、丁度階段の上あたりが海からの吹きだまりになっており2メートル以上の積雪がある。もちろんそれをかき分けて坂道を下ることはできるが身体は奈落に落ちるように沈む。だから地獄坂と呼んだのだろうか・・・。
 冬は街側から階段を上がり、民家を過ぎたあたりにある5m四方の更地から小樽湾を描いている。あまり人が通らない道を振り返ると、腰まで沈んで歩いてきたアチキの身体の跡が続いている。
 ひとしきり描くと、眼前の菁園中学校のチャイムが鳴り校舎が突然賑わしくなる。そうすると小春がやってくる。
小春「階段にオジさんの跡が続いているから、すぐわかるよ」
「(*^▽^*)」
・・・
コメント (2)
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