Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング693. 小説:小樽の翠617. はえぎわのわらしつくれ!!

2023年02月08日 | field work

 昨日から車を借りっぱなしにして家の前に置いてある。いつも同じ時間帯の風景ばかりじゃつまらない。たまには一念発起して朝陽を描こうと目論んだからだ。それに街が動き出す頃には道路の除雪も終わっているだろう。
 翠は夜勤だから1時間後には帰ってくるだろう。昨日のポトフの残りを温めて身体も暖めなきゃ。ついでに車のヒーターも入れておこう。車が暖まったら屋根の雪を下ろして出かける。こんな零下の時間帯に沢山の準備がいるのが寒い国の暮らし方だ。
 実は、朝早く出かけるのにも訳があり、リュウ君と昼飯を食べようと予定していたからだ。
・・・
リュウ君「毎月薬をもらわないと毎日できないんですよ・・・」
「はあっ、それじゃインポじゃないじゃん!」
リュウ君「そのあたりが微妙でね。上さんが二人目も欲しいなといっているからさぁー」
「オオッ、なんだそれは・・・」
リュウ君「上さんは、貴方二人目のわらすがでぎねがったっきゃ、わの弟夫婦につぐってもらうはんで心配すねでいよ、っていうんだよ。弟の嫁はまだ二十歳なんだよ」
「はぁっ、!」
リュウ君がフィリピーナの上さんの弟のケツを蹴っ飛ばして『はえぐわのわらすつぐれ!!。嫁はまだ二十歳だべな。すかすかどやれ!!』、といってる姿を想像していたいたら笑ってしまった。
リュウ君「そったごどは、フィリピンではよぐある話なんだって。わらすつぐるのがてげだとぎは、出来だでのわらすくれだりするんだよ」
「できあいの子供をくれるんだ・・・」
リュウ君「わーも、めごぇのもらっとげば、といったんだ。簡単だびょん」
リュウ君の話を聞いていると、日本の田舎の昔話を思い出していた。誰の子供でもいいから、さっさと育てて農作業の時の子守役にしなきゃ・・、というあれである。子供は飯を食わせるかわりに子守役をする商品なんだ。
リュウ君「だはんでえの上さんも、最近はわらす!、わらす!!、って騒がねぐなった」
日本でいうところの養子縁組かぁー・・・。
田舎じゃ当たり前にしていたな。
そういえば、アチキも小学校に上がる前に、親戚の叔母さんが家に来なさいよと、養子になりかけたこともあったな。それで実際に養子に預けられたんだ。それで病気になり、やっぱ身体の弱いのはいらんよ、となった。そんな小さい頃の微かな記憶を思い出していた。
リュウ君から感じられる懐かしさは、そんなところにあったのか・・・。
それにしても、人間の世界は子供は味噌や醤油と一緒だ。
つまり即物的なんだね。
そんな話題を魚にして、プロバンス風のランチタイムだった。
・・・
リュウ君「今日も天気がわりはんで船は欠航だ。汽車で帰ります」そういってリュウ君は乗り換え案内を検索していた。
リュウ君「ええっと・・南小樽が15時36分、南千歳で17時26分発の北斗20号、新函館北斗で20時43分のはやで95号で新青森に21時45分着、でっ、青森駅が21時59分着、上さんに車で迎えに来てもらうべがな・・・」
「北斗20号が怠いよね」
リュウ君「もうずぎ小樽にも新幹線の駅出来るずら。すたっきゃ青森がら1本で来らぃるじゃ」
「そのころには、二人目をもらっているかなぁー・・・」
(*^▽^*)
・・・・
小樽も寒波が弱まってきた。今日は無事に青森まで帰れるだろう。
コメント
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