スカシテンジクダイの群れ。この珊瑚は見覚えがあるから何回もここで撮らされている。ストロボを使えば誰でもこのように撮れる。
このようにカリッと撮れているときは、photoshopの自動トーン補正、自動コントラストをかけても画像は変わらない。さらに自動カラー補正をすると濁った色になる。これだけはやめておこう。
デバスズメダイ下の岩場をみると、無数の穴が開みえる。昨年まではここに珊瑚の群生が見られたはずだ。それが今年は皆無となっている。人為的にどこかの国の漁船が持ち去る場合も考えられるが、それにしては珊瑚の枝すら見当たらない。ここは冬の海流の流れでさらわれたと考えた方がよさそうだ。人的被害などに比べれば、はるかに自然の猛威の方が大きいのではなかろうか。
先日ニコンW300の後継モデル登場を期待しニコンのHPを徘徊していた。なにしろ私はニコンF以来のユーザーだし、博士(デザイン学)というデザイン学の専門家ですから。
ダイビングをするデザイン学の専門家の立場からみると、ニコンW300には、ハウジングレスという優れた仕様があるが、ダイビングの水深限度40mを満たしていない、魚眼のコンバージョンレンズがつけられない、ストロボのON・OFFがボタン一つで操作できない、イメージセンサーが小さすぎて画質が低い、RAWでブラケット撮影ができない、と5つの仕様上の課題がある。だから後継機種に期待するわけだ。
ところでニコンZシリーズのWEBサイトで開発者の顔ぶれが複数紹介されている記事を読んでいた。マーケティング、開発といった具合に統括という言葉が複数登場する。あらっ!、そもそも統括というのは本来1人なり1セクションのはずだが。それぞれに統括という名称をつけ複数登場するという表記自体が言葉の運用と矛盾しているではないか。
通例統括といったら、細分化した分野を一つにまとめるときに使う言葉であり1人なり1セクションである。WEBサイトをみていると、ニコンDfのときのような全体を統括する1人の統括者の姿が見えない。
そのなかでマーケティング統括?という言葉に首をかしげた。えっ!、マーケット市場自体が大きく縮小しているところでマーケティング!?。
マーケティング理論が効果があったのは市場拡大の20世紀、今では大量の商品アイテムを抱えるコンビニをはじめとする流通業が使う理論だが、それに引き替え製造業はアイテム数が桁違いに少なく技術力の方が問われてくるから、今はマーケット理論はさしたる重要ではない。それにプロダクトデザイナーだって製品開発にあたりマーケティングの専門知識を駆使しているのだから、あえてそんなディレクターをおく必要はないと私は思うのだが・・。まあ組織名称なのでこだわる必要はないのだが・・・。
そんなことを考えていると今では、SONY、Canon、FUJI、Panasonicとイメージセンサー製造企業が撮影機材を開発している。ニコンはイメージセンサーを設計はしているが製造をしていない。
というのも、イメージセンサーの製造は、カラープログラムと関係してくるからだ。SONY、Canon、Fujiは、それぞれに明快なコンセプトを持ったカラープログラムを有している。他方でニコンには、そうした色に対するコンセプトが感じられないように思われるのだが・・・。
今頃なんでニコンは、ミラーレス仕様(PanasonicやOlympusでは9年前からミラーレスだが)で新マウントにしたか?。従来のニコンマウントで十分ミラーレスはできたしボディを小さくすることもできたのに、マウントを大きくしてしまった。このあたりがよくわからない。開発全体の統括者がみえないから、多分よくわからないのだろう。
そうなるとニコンW300の後継機種はマーケット上の架空理論でつくられる可能性を感じる。今後私、つまりダイバーが期待する仕様で製品開発される可能性は皆無と判断した。だからニコンは捨てて、新たにオリンパスTG6とハウジング、INONのコンバージョンレンズ、ライト一式を調達しようという結論になる。ハウジング不用論者が、あえてハウジングにするのだから選択の余地がないダイビング器材である。
そうした個人的話はおいといて、マーケティングという分野は容易に勉強できる。それだけ科学概念でいうところの一般化しやすい分野だし実学で大変応用しやすい性質がある。実際の建築や都市の空間を扱うこの私でさえも、多変量解析を用いてマーケティングの審査付き学術論文を投稿しアカデミーの専門雑誌に掲載された経験があった。応用してこそのマーケティングだし、大学のマーケティングの専門家がちゃんと学生達に指導していれば、それで十分役立つ分野だ。
だから企業組織でマーケティング統括などの言い方をわざわざする必要はない。むしろ今の製品開発のプロダクトデザイナーや技術者や販売者が基本知識として十分理解している。
そうなるとプロダクトデザインの現場で、文科系概念がしゃしゃりでるなよ!、と私は考えている。文科系の屁理屈ではプロダクトデザインは1mmたりとも形にならないのだ。
ニコンも、わからなければバラバラにしてみる17世紀のデカルト思考に回帰してしまったようだ。科学技術はバラバラにして、つまり専門分化して進んできた経緯があった。明治期我が国のアカデミズムもデカルト思想で先進国に追いつこうとしてきた。もとよりScienceの訳語に科学という日本語をあてたのは福沢諭吉だったが、科学とは専門分化された諸科の学という意味だ。20世紀中頃から学問は、インターディプシナリーという言葉が示すように、それまでの専門分化から統合化への道を歩いている。そのデカルト思想は、1950年代にカールポパー(歴史主義の貧困)に論破されてしまった。
人間が関わる環境は3タイプしかない。空気がある地上、空気がない水中と宇宙だ。だからニコンW300も水中と宇宙で使えるようになってフィールド機材だ。だからフィールド機材の製品開発方針は極めて明快なはずだが・・・、そこをマーケッターがかき回すわけだろ。そりゃ期待薄の開発になるさ。
追伸
代表的な一眼レフのマウント径をあげておく。
従来のニコンマウント:44mm、ニコンZ:55mm、キャノンE:54mm、ミノルタα=SONY A:50mm、SONY E=46mm、フォーサーズ:46mm、マイクロフォーサーズ:40mm、とある。時系列で見るとSONY Aが50mmからSONY Eの46mmへ縮小。パナソニックとオリンパスのフォーサーズもマイクロフォーサーズへと縮小しており、マウント径の縮小化傾向がある。口径を大きくしたのはニコンだけ。
沖縄県慶良間諸島、万座 2019年5月12,13,14日
Nikon CoolpixW300
ISO125,焦点距離12mm,露出補正±0,f/4.5,1/200
ISO125,焦点距離4.3mm,露出補正±0,f/2.8,1/125
ISO125,焦点距離13mm,露出補正±0,f/4.5,1/100